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運用担当部局:広報室広報係

特別支援教育コーディネーター養成プログラム

はじめに

 平成14年12月に定められた、平成15年度からの10年間を計画期間とする国の新たな「障害者基本計画」では、21世紀にわが国が目指すべき社会として、障害の有無にかかわらず国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会の実現が明示されている。そうした社会の実現に向けて、わが国の福祉も教育も言わば措置から支援へと体制が大きく変わり始めている。
 障害のある人たちの福祉に関しては、平成15年4月から、従来の施設を中心に進められてきた措置制度に代わり、障害のある人たち自らがサービスを選択し、契約し、利用する支援費制度が新たにスタートした。また、平成17年10月には「障害者自立支援法」が成立し、平成18年4月から一部が施行され、同年10月からは完全に施行されている。
 障害のある子どもたちの教育に関しては、21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議が平成13年1月にまとめた「21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)」において、障害のある児童生徒等の視点に立った一人ひとりのニーズに応じた教育的支援の在り方が提言された。さらに、特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議が平成15年3月にまとめた「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」では、障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」から障害のある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換を図ることが目指されている。平成16年12月には「発達障害者支援法」が成立し、平成17年4月から施行されている。中央教育審議会は平成16年2月に初等中等教育分科会に特別支援教育特別委員会を設置して、特別支援教育を推進するための制度の在り方についての検討を重ね、平成17年12月に「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」をまとめている。この答申に基づいて、「特殊教育」から「特別支援教育」への転換と、盲・聾・養護学校の「特別支援学校」への転換、小・中学校等における特別支援教育の推進に向けた学校教育法等の一部改正が平成18年6月になされ、平成19年4月に施行されている。
 特別支援教育とは、従来の特殊教育の対象の障害だけでなく、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症等を含めた障害のある児童・生徒の自立や社会参加に向けて、その一人ひとりの教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善または克服するために、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行うものである。そのための重要事項として、個別の教育支援計画の策定と実施と評価、特別支援教育コーディネーターの配置、広域特別支援連絡協議会等の設置が進められており、そのための必要事項として、地域の特別支援教育のセンター的役割を担う学校として盲・聾・養護学校から特別支援学校への制度の改正、小・中学校における「特殊学級」から学校としての全体的・総合的な対応への転換が図られている。
 このように、障害のある児童生徒の教育はいま、小・中学校等の通常の学級に在籍している発達障害のある児童生徒への教育的支援も視野に入れながら、量的にも質的にも大きく変わり始めている。障害の重度・重複化、複雑化、多様化に適切に対応するために、関係機関との連携と生涯にわたる支援など、教育体制の改善・整備が求められている。
 特別支援教育では、一人ひとりの障害の状態等に応じた適切な支援、学校内の協力体制の構築、学校外の関係機関との連携協力等が重要であり、その要の役割を果たす特別支援教育コーディネーターの配置は全国の小・中学校等において進められてきている。
 大阪教育大学は、文部科学省特別教育研究経費(教育改革)による事業として、教育委員会との連携協力により「特別支援教育コーディネーター養成プログラムの構築」開発研究を平成19年度から平成21年度までの3年間にわたり進めている。この開発研究は、特別支援教育コーディネーター養成プログラムの開発と特別支援教育コーディネーターネットワークの構築を目的としている。

研究の目的

 特別支援教育に関しては、一人ひとりの障害の状態等に応じた専門的支援、学校内の協力体制の構築、学校外の関係機関との連携協力が求められている。その中心的役割を果たすのが特別支援教育コーディネーターである。平成15年度から開始された文部科学省の特別支援教育推進体制モデル事業により全国的に小・中学校等において特別支援教育コーディネーターの配置が進められてきている。しかし、そこには課題もある。特別支援教育コーディネーターの多くは行政機関等による短期的な研修を終了した者で、専門的に長期にわたる研修ではなく、コーディネーターに求められる様々なスキルについても十分なことができているとは言い難い。現場の特別支援教育コーディネーターは、様々な事例に直面してその対応に苦慮しているのが実情である。
 そのような課題の解決に向けて、本研究は、大阪教育大学と教育委員会の連携協力のもと、特別支援教育コーディネーター養成プログラムの開発と特別支援教育コーディネーターネットワークの構築を目的としている。

研究の方法

 特別支援教育コーディネーター養成プログラムの開発と特別支援教育コーディネーターネットワークの構築という目的を達成するためには、いくつかの基礎研究を進めていく必要がある。

(1)連絡協議会と検討委員会の設置
a.特別支援教育コーディネーター養成プログラム開発研究連絡協議会の設置
  本研究を推進するために、大阪教育大学、大阪府教育委員会及び政令指定市教育委員会等の関連部局、盲・聾・養護学校長、研究団体、親の会等の関係者からなる特別支援教育コーディネーター養成プログラム開発研究連絡協議会を設置している。
b.特別支援教育コーディネーター養成プログラム開発研究検討委員会の設置
  本研究の特別支援教育コーディネーター養成プログラム開発に係る研究を行うため、特別支援教育コーディネーター養成プログラム開発研究連絡協議会の下に、特別支援教育コーディネーター養成プログラム開発研究検討委員会を設置した。大阪府が既に養成した特別支援教育リーディングスタッフ及びコーディネータ一等に委員として参加してもらっている。

(2)実態調査の実施
  大学等による特別支援教育コーディネーター養成の現状について訪問調査を実施している。また、全国の自治体によるコーディネーター養成の現状について資料を分析検討している。

研究への期待

 平成15年3月に、特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議がまとめた「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」において、これまでの特殊教育が果たしてきた役割や、「特殊教育」から障害のある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換が唱えられており、その中で特別支援教育コーディネーターはキーパーソンであり、すべての小・中学校に配置する必要性が述べられている。さらに、質の高い教育的対応を支える人材の確保、関係機関の有機的な連携と協力についてもその必要性が述べられている。
 このような状況のもと、各自治体においては、小・中学校等に特別支援教育コーディネーターの配置を推進してきた。しかしながら、質の高い教育的対応を支える人材の確保や、関係機関の有機的な連携と協力体制の確立は容易なことではなく、その中心となりうる人材養成は緊急の課題である。特別支援教育コーディネーター養成プログラムの開発と特別支援教育コーディネーターネットワークの構築が重要であり必要である。
 特別支援教育コーディネーター養成のための教育研究体制の整備は、ともすれば養成を担う側の独断専行になりがちである。本研究では、先行して短期研修を進めてきた大阪府教育委員会・大阪府教育センター等と十分な連携を図りながら、特別支援教育コーディネーター養成ブログラムの開発を行い、「特別支援教育コーディネーター養成プログラム(大阪教育大学版)」として発行し提供することによって、特別支援教育コーディネーター養成のモデルプランとして各大学等で利用できるようにしたい。
 また、特別支援教育コーディネーターがそれぞれの学校において直面している問題点等について、相談したり必要な情報の収集や検索をすることができる特別支援教育コーディネーターネットワークを構築したい。この特別支援教育コーディネーターネットワークは、今現場で起こっている事象についての解決策を他のコーディネーターに相談したり、また、大学や関係機関からのアドバイスを直接受けることができ、問題に遭遇しているコーディネーターには大きな負担をかけることなく課題の解決ができると考えている。

今後の研究

 特別支援教育コーディネーター養成のための教育研究体制はまだ十分に確立していない。小・中学校等の教育の現場で特別支援教育コーディネーターが直面している問題点を明らかにし、その対応策を検討する過程を通して、特別支援教育コーディネーター養成のための教育研究体制の確立を図りたい。

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