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運用担当部局:広報室広報係

平成23年度入学式式辞

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 本来であれば入学式の式辞は「おめでとう」という言葉から始まりますが,君たちが冒頭で黙祷してくれましたように,現在,わが国は,東日本大震災という何百年に1度という大きな災害に見舞われています。1万2千人を超える死者,1万7千人を超える安否不明者,そして,16万人を超える避難生活者。この会場にも,茨城,岩手,福島などの被災地から入学者が数名いらっしゃいます。命を落とされた人々への哀悼と,様々なご苦労を重ねられておられる人々にまずお見舞いを申し上げます。

 さて,大阪教育大学は,明治7年(1874年),今から137年前の「教員伝習所」をルーツにもっています。戦後は,1949年(昭和24年),大学として発足し,62年の歴史を刻んできました。その間,学名を「大阪学芸大学」から「大阪教育大学」へと変更し,池田,天王寺,平野地域にあった3キャンパスを統合しました。そして,教員養成課程だけではなく,教養学科という教員養成大学では唯一の学科を有しています。長い歴史と伝統をもつ大学であります。さらに君たちが学ぶキャンパスは2つあります。柏原キャンパスは国定公園の中にあり極めて美しい環境にあります。また,天王寺キャンパスは大阪市という都市の中心にあって,オアシスのようなたたずまいを示しています。
 今日入学してくれた皆さんは1,231人ですが,在校生を合わせた学生総勢は,約5千人となります。さらに,かつて本学の分校があった池田,天王寺,平野地域に11におよぶ附属学校園をもっています。小学校が3校,中学校が3校,高等学校校舎が3校,特別支援学校が1校,幼稚園が1園です。附属池田小学校では,10年前,児童教職員殺傷事件があり,8人の尊い命を失うという,つらい経験ももっています。11の附属学校園を合わせますと,約5千人の児童・生徒数となります。合わせると本学は約1万人の児童・生徒・学生を抱えています。その点でも極めて規模の大きい,教員養成大学としては西日本で最大規模です。

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 教員養成課程はいうまでもなく,教員養成を主たる目的とした課程であります。戦前からの長い歴史の中で,本学の卒業生は大阪の教育界はもちろん様々な分野で活躍しています。例を挙げると,大阪府内で43の市町村がありますが,そのうち3分の1近くの教育委員会の教育長は本学の卒業生です。
 教養学科は20年に及ぶ歴史を刻んできています。卒業生の約3割が中学・高等学校の教職に就いていますが,約7割は一般企業等に就職し,幅広い分野で活躍しています。

 本日これから演奏される本格的なオーケストラは,教員養成大学では全国で本学だけが有しています。スポーツにおいても,本学の学生はさまざま活躍をみせています。例を挙げると,女子ハンドボール部は昨年,全国一の栄光を勝ち取ってくれました。剣道は全国トップクラスの成績をしばしば挙げています。硬式野球部は現在,近畿学生野球リーグの1部で活躍しています。男子サッカー部は現在,2部にいますが,かつて1部リーグに属し,関西の私学の強豪と伍していました。そして,柏原キャンパスには,彫塑など様々な美術品が屋外に展示されています。このように,本学は歴史と伝統だけでなく,現在も脈々と活躍しつつある大学であるということを,心に留めて新しいスタートを切ってもらいたいと思います。
 それでは,入学者の皆さんにメッセージを一言送りたいと思います。
 大学が学問研究を中心にするのは,もちろんのことですが,昨今,大学の教育の中で培われた知識や能力が,どのように社会に役立っているのかが強く問われ,その在り方が求められてきています。そのことは,大学においても社会人基礎力というものをしっかりと培うべき使命があるという声となってきてあらわれています。例えば,コミュニケーション力,実行力,あるいは基本的生活の規律などです。

 その中で,特にわたしが社会基礎力として,君たちに今日の入学式の日に心に刻んでほしいことの1つとして,「人のこと,他人のことをわがことのように感じ受け止めることのできる力」といったものがあるのではないか,そういうものが今の社会には極めて重要な要素となっているのではないかということです。
 現在の社会は,多くの人たちが,様々に違った立場や環境にありながら,それぞれ多様な個性を発揮してその特徴を生かしていく社会であります。しかし,その一方で,立場を異にし,多様な人々の間で,他人のことをわがことのように受け止めていく能力が求められています。そのことなくしては,現代社会は,単なるばらばらで無方向な社会にすらなってしまう,と考えています。

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 時あたかも,大きな震災を受けた年に本学の学生となった君たちに,このことを受け止め自ら成長していくような力として培っていただきたいと思います。そのことが,記憶されるべき年に入学した君たちの大きな指針になっていくのではないかと思います。大阪教育大学はみなさんを歓迎します。この長い歴史と伝統をさらに君たちの力で育み,大きくしていってくれることを信じ,期待をし,式辞としたいと思います。