恩師への手紙

叱られて初めて気づくこと

「先生の教え子でよかった」と心の底からそのように思えるのは、私が小学校5・6年の担任だったM先生です。先生と出会ってから約30年経ちましたが、感謝の気持ちを手紙にしてお伝えしたいと思います。

私は小学校の低学年の頃から、生意気な子どもだったと思います。3歳上に兄がいた影響で先回りして勉強した結果、算数の九九は小学校入学時にほぼ理解していましたし、漢字もクラスメートよりも早く習得していて、授業が退屈に感じていました。授業を真剣に取り組んでいる先生方を前にして、顔や態度に出ていた可能性があります。

そんな生意気な私に対し、5・6年担任のM先生は度々叱ってくれました。授業中の態度や言葉づかいなどを細かく注意されましたが、特に厳しく叱られたのは2回あります。1回目は、日直の仕事をさぼって真っ先に帰った時です。放課後に通っていた習い事のことで頭が一杯で、日直の仕事である黒板消しを完全に忘れてしまいました。

2回目は、当時同じ学年に足の不自由な子がいたのですが、下校途中に私がその子の荷物を持って手伝ったことを報告した時でした。その子は小学校2年生の時に交通事故に遭って左足が一部欠損しており、左足のことで同級生からも頻繁にからかわれていました。私は自信満々に「手伝ってやった」ことを報告に行ったのですが、そんな私にM先生は「上から目線で、かわいそうやから助けてやったという態度はよくない」と叱責しました。絶対に褒めてもらえると思って先生のところに報告に行ったのですが、逆に怒られたので固まってしまいました。私はしばらく考えてから「~してやったとは、もう二度と言いません」と伝えました。すると先生は「困った人を助けたことは間違ってないで。でも、もっと相手の気持ちに寄り添ってほしい」と優しく語りかけてくれました。

当時の私は、その言葉の意味を100%理解できていなかったと思いますが、大人になるにつれて、少しずつですが漸く分かるようになってきました。M先生から教わった2年間があったからこそ、物事に取り組む時には常に謙虚な気持ちを持っていたいと思うようになりました。感謝の気持ちを言葉や態度でしっかり示すことができるよう、これからも努力します。M先生、叱ってくれて本当にありがとうございました。