恩師への手紙

教師を目指すきっかけを与えてくれた先生

「雪合戦がしたい!」
「雪だるまつくりたい!」

朝の会で、私たちが先生にそう叫んだのは、卒業を控えた小学6年生の1月のことでしたね。 

たまに降ることはあっても、朝になれば溶けてしまう地方に住んでいた私たちは、雪の積もった校庭を見ることがありませんでした。小学校6年間で経験する大体の行事も終わって、後は卒業式を待つだけになっていた私たちは、小学校生活を名残惜しんだり中学校生活に思いを馳せたりする毎日を送りながらも、退屈だったのかもしれません。

先生は、私たちの申し出に対し、いったん職員室に戻り、しばらく経ってから、

「やりましょう」

と言ってくれましたね。その時の教室の興奮、その後の友人との雪合戦や片手に収まるくらいの大きさの雪だるまづくり、そして雪の中を走り回ったこと、私はその時のことを卒業して25年経った今も、鮮明に覚えています。私が学校の先生になりたいと思った一番の理由は、この時経験した雪合戦の思い出が強く印象に残ったからです。

――子どもたちと学校で雪合戦がしたい――

そのために、私は先生と同じ小学校の先生を目指しました。動機は不純かもしれませんが、たしかにあの時の経験が、私の将来を決定してくれたと思います。

今になって思えば、学校の施設とはいえ、いつでも自由に使えるわけではなく、校長先生の許可や、他のクラスの授業との兼ね合い、予定していた授業進度の変更等、児童には知り得ないさまざまな調整が必要だったはずです。特に、卒業間近の6年生の3学期では、なおさら難しいところがあったと思います。それでも先生は、私たちのために、即断してくれました。本当に感謝しています。

私は結局、小学校の先生にはなりませんでしたが、小学校の先生を目指す学生を育成する大学教員として毎日を過ごしています。

またいつか、お会いできることを楽しみにしています。