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外部評価報告書
教育活動
平成13年3月




まえがき

1.外部評価委員会委員名簿 

2. 評  価  事   項 
 
3.外部評価実施までの経緯 

4.外部評価委員会 
  
 1)開催の概要 

 2)質疑応答記録 
 
5.評価結果 
 
 1)はじめに 

 2)各委員からの評価報告 

   寺 ア 昌 男 委員長 

   石 野 伸 子 委 員 

   荻 巣 史 恭 委 員 

   玉 井 由 夫 委 員 

   浪 本 勝 年 委 員 

   宮 本 弘 子 委 員 
 
(自己評価報告書からの抜粋資料は省略しております。)

6.大阪教育大学外部評価実施委員会委員名簿
 

あ と が き  




    まえがき
                              大阪教育大学長 中 谷   彪

 本学は,明治7年(1874年)設置の教員伝習所を出発点とし,長らく師範学校として教育界及びその他の分野において多くの人材を輩出してきた。戦後の教育制度改革により,昭和24年(1949年)に新制の大阪学芸大学となり,その後,50年を越える今日まで深奥な研究実績に裏打ちされた教育を重視しつつ,新たな教育大学の在り方を探ってきた。
 この間,本学は,教養学科の設置,三分校に分散していたキャンパスの統合,さらには夜間課程の整備充実などを経て,「総合的な基幹教育系大学」たるべく努力を重ね,今後とも一層の努力を継続していく決意である。
 周知のように,昨今,大学の結果責任が問われてきている。大学評価については,平成3年(1991年)の大学設置基準大綱化以降,国公私立を問わず,各大学で行われてきているところである。本学でも,平成5年(1993年)以来,2年に1回のペースで自己点検評価を行ってきた。したがって,これまでに3回の自己点検評価報告書を公表し,現在,4回目の自己点検評価報告書の完成を目前にしている。
 ところで,自らを点検・評価することの意義と効果については疑い得ないところではあるが,その限界についても,これまで既に多くのところで多くの人々によって言及されてきているところである。
 そこで,本学が積み重ねてきた自己点検評価の客観性を検証する一つの重要な方策として,学外の有識者による評価制度(外部評価制度)を導入することを企図した。ちなみに外部評価とは,大学が実施する自己評価の客観性を確保し,自己評価を効果的に実施するために,大学の職員以外の者により,大学が実施した自己点検・評価の結果について検証を行うことである。(大学設置基準第2条参照)
 外部評価を受けるに当たって,本学が設定した項目は,平成10〜11年度(1998−99年度)の2年間に行った第3回自己点検評価項目のうちの「教育活動」の部分である。
 なお,本学の自己点検評価体制,点検評価結果の有効的活用と改善を念頭に置くとき,その実施体制については,慎重な検討が必要であることを認識し,本格的で総合的な評価システムの確立については今後の課題としたい。
 それはともあれ,このたびの外部評価の実施に当たっては,学長を委員長とし,学内の各部局長,教授会から選出された自己評価委員会委員の約半数及び学長指名委員を加えた合計17人で外部評価実施委員会を構成し,事務的な運営に当たることとした。
 外部評価委員会の委員には,各界で著名な活躍をされ,かつ「教育」に関して御造詣の深い6人の先生方に就任をお願いし,幸いにして予定していた全委員から御快諾をいただくことができた。
 各委員の方々には,短期間のうちに本学の実情を御理解いただこうとしたために,本報告書に添付した基本資料のほかに,大部にわたる資料をお届けした。日常的に多忙を極める委員の方々には,予想を遥かに超える御迷惑と過大な御負担をお掛けしたことをお詫びしなければならない。
 また,外部評価委員会の開催については,お仕事の都合や急病のため,委員全員の御出席をいただくことができなかったことは,残念であった。さらに,審議時間が,学生からのヒアリングを含めて3時間という設定であったために,論客揃いの委員の方々にとっては,十分に審議し尽くしたという満足感が保証されなかったのではないか,と危惧している。反省して,次回に生かしたいと考えている。
 そのような状況にもかかわらず,寺ア委員長をはじめ各委員からは,的を射た御指摘と貴重な御提言を多数頂戴することができた。大学としては,これらの御指摘と御提言を真摯に受け止め,改革改善に全力を尽くす所存である。
 最後になりましたが,膨大な資料を読破され,適切なる御検証をくださった外部評価委員各位に対し,本学構成員を代表して,心から感謝し,お礼を申し上げます。

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 1.大阪教育大学外部評価委員会委員名簿
           任期 平成13年2月1日〜平成13年3月31日



外 部 評 価 委 員 会 委 員
委員長 寺 ア 昌 男 (桜美林大学教授・東京大学名誉教授)
委員 石 野 伸 子 (産経新聞大阪本社文化部長)
委員 荻 巣 史 恭 (近畿日本鉄道株式会社専務)
委員 玉 井 由 夫 (大阪市教育委員会教育長)
委員 浪 本 勝 年 (立正大学教授)
委員 宮 本 弘 子 (大阪府教育委員会泉北教育振興センター所長)



 2.評 価 事 項

                              
   ―教 育 活 動 ―

 1  自己点検・評価項目の設定について

 2  自己点検・評価の観点について

 3  自己点検・評価の方法について

 4  自己点検・評価の結果について

 5  改善についての提案について

 6  自己点検・評価の実施体制について

 7  学部教育の現状について

 8  大学院教育の現状について



 3.外部評価実施までの経緯

平成12年10月 4日  「大阪教育大学外部評価実施要項」を制定
平成12年10月25日  代議員会において平成12年度に「教育活動」に関する外部評価を実施することを決定
平成12年11月20日

第1回外部評価実施委員会を開催

  (1)外部評価委員の人選

  (2)外部評価実施計画の検討

  (3)取運び日程の検

平成12年12月  6名の有識者に外部評価委員就任を依頼,併せて次の関係資料を提供

・ 大阪教育大学が平成12年度に実施する外部評価について【説明資料】

・ 2000年度大阪教育大学要覧

・ 2000年度英文大学紹介パンフレット

・ 2000年度大学案内

・ 教員養成課程紹介パンフレット

・ 教養学科紹介パンフレット

・ 2000年度大学紹介ビデオ

平成13年 1月17日

第2回外部評価実施委員会を開催

  (1)外部評価資料の検討

  (2)外部評価の実施日程の検討

平成13年 1月19日

外部評価委員予定者に次の資料を送付

 1.外部評価資料
   1)外部評価委員の皆さんに講評・評価いただき
     たい事項
   2)第3回自己点検・評価報告(抜粋)
   3)自己点検・評価のためのアンケート調査票

 2.外部評価参考資料
   1)大阪教育大学の自己点検・評価に関する
     説明資料
   2)大阪教育大学の教育課程に関する説明資料
   3)平成12年度履修便覧・履修の手引き

平成13年 2月 1日

外部評価委員予定者に委員を委嘱

平成13年 2月 5日

外部評価委員あてに「外部評価の実施に関わる質問及び追加資料の請求」を照会

平成13年 2月13日

第3回外部評価実施委員会を開催

  (1)外部評価議事次第の検討

  (2)概要説明等の分担の検討

  (3)その他の事前準備の検討

平成13年 2月20日

 質問事項に関連して,次の追加資料を外部評価委員に送付。

    ・大阪教育大学教養学科の歩み(抜粋)
    ・平成12年度履修の手引き(抜粋)
    ・情報処理センターパンフレット
    ・第5回昔の教科書展関連資料
    ・外国人留学生の手引き
    ・外国人留学生宿舎入居者の手引き

平成13年 3月 9日

外部評価委員会を開催



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 4.外部評価実施委員会     
  1)外部評価実施委員会開催の概要

      開催日時 :平成13年3月9日(金) 午後1時 〜 午後4時

      開催場所 :大阪教育大学柏原キャンパス 事務局棟大会議室
      
午後1時00分〜         ・開会
・開会挨拶
午後1時05分〜 ・外部評価委員の紹介             
・大学関係者の紹介 
午後1時10分〜 ・外部評価の進め方についての説明 
・委員長の選出            
午後1時15分〜 ・配付資料の説明
・概 要 説 明
 1)大学及び教育組織の概要説明
 2)自己評価実施体制の概要説明
 3)教育活動及び自己評価の概要説明
   (1)教員養成課程
   (2)第  二  部
   (3) 教養学科
   (4)大学院教育学研究科
午後2時00分〜 ・質疑応答 − 概要説明について
午後2時20分〜 ・学部学生からのヒアリング
   教員養成課程 学生 2名
   教 養 学 科 学生 2名
   第   二  部 学生 2名  計6名
午後2時45分〜 ・総括質疑 − 評価資料等について
午後3時00分〜 ・講評・評価 − 各委員より
 1)自己点検・評価項目の設定について
 2)自己点検・評価の観点について
 3)自己点検・評価の方法について
 4)自己点検・評価の結果について
 5)改善についての提案について
 6)自己点検・評価の実施体制について
 7)学部教育の現状について
 8)大学院教育の現状について
午後3時55分〜 ・閉会挨拶
・文書による講評・評価の提出についての説明
午後4時00分〜 ・閉会


  2)外部評価実施委員会質疑応答記録

     開 催 日  平成13年3月9日(金)13時00分〜16時00分
     場   所   事務局棟大会議室
     出 席 者   【外部評価委員】
              寺ア・石野・荻巣・浪本の各委員
              (玉井・宮本両委員については都合により欠席)
              【大阪教育大学】
              中谷学長・秋葉副学長・稲垣副学長・塩見附属図書館長
              宮野教員養成課程長・横山教養学科長・長尾夜間学部主事
              堀内附属学校部長・岸本大学院研究科主任・野田事務局長
               他事務局職員4名
               (外部評価実施委員会委員)
              有賀・小林・後藤・田中・野田・桝形・横井の各委員

 (冒頭,中谷学長から外部評価委員各位に対し,委員就任及び本日の会議出席に対する 謝辞があった後,会議に先立ち,概ね次のような挨拶を行った。)
 
 昨今,国立大学は,一方では,その教育研究活動の運営,公財政支出の必要性などについて社会に対して積極的に説明するとともに,他方では,広く社会の意見を聞くことにより,社会的存在としての大学の責任を明らかにすることが求められている。いわゆる,大学の「アカウンタビリティー」(説明責任)が問われている。
 このような情勢を受け,本学では,本年4月から,大学の運営に関する重要事項について,助言と勧告をいただくことを目的とする「運営諮問会議」を設置してきた。
 外部評価委員会の設置についても,この一連の流れの中に位置づくものである。
 大学評価については,多元的な評価が要請されている。形態としては、「自己点検・評価」,「外部評価」,本年度から実施される「大学評価・学位授与機構による評価」があり,この他に,相互評価として「大学基準協会による評価」もある。
 このうち,大学の「自己点検・評価」並びに「外部評価」については,「大学設置基準」(省令)の第2条に定められているところである。その第1項では,「大学は教育研究水準の向上を図り,当該大学の目的及び社会的使命を達成するため,当該大学における教育研究活動の状況について自ら点検及び評価を行い,その結果を公表するものとする。」とあり,これは,大学の「自己点検・評価」についての義務規定である。
 さて,同規定の第3項では,「大学は,第1項の点検及び評価の結果について,当該大学の職員以外の者による検証を行うよう努めなければならない。」と定められている。これが「外部評価」の実施に関する努力規定である。
 すなわち,外部評価とは,各大学が実施する自己点検・評価の客観性を確保し,自己点検・評価を効果的に実施するために,学外者によって,大学が実施した自己点検・評価の結果について検証するということである。
 このことを,今回,委員の方々にお願いするもので,本学としては,初めての外部評価である。
 本学では,過去3回にわたり「自己点検・評価」を実施してきたが,今回は,第3回の「自己点検・評価」のうち,「教育活動」に限定して,外部から検証をお願いするということである。
 忌憚のないご意見をいただき,今後の本学の教育研究活動に役立てていきたいので,御審議のほど,よろしくお願いしたい。

 委員長の選出について
 大阪教育大学外部評価実施要項第3条第2項に基づき,委員の互選により寺ア委員を委員長に選出した。

 (寺ア委員長から概ね次のような就任挨拶があった。)

大学評価・学位授与機構による第1回目の評価項目が「教養教育」で,大阪教育大学の教養学科は,一番最初の標的になるおそれがある。
 私としては,国立大学のとりわけ独立行政法人化を睨んでの大学評価の新時代が始まったと思っている。特に行政評価の高まりはこれから激しくなるであろう。
 私どもの外部評価は,大学評価・学位授与機構による評価とは異なり,大学が選んだメンバーによっての外部評価,いわば自己評価の発展形態であり,さらに外側からの評価が加わってくることになる。
 つまり,私どもの評価は,おそらく今後強まってくる大学評価・学位授与機構による全国の大学の統一的評価を睨んだものになるし,外部評価の結果はこれまでと違って随分大きい意味を持つと思っている。
 そういう点では,非常に責任の大きい仕事を任されたことになるが,よろしくお願いしたい。

 (はじめに,大学側から「大学の概要」,「自己点検・評価体制」,「各部局における自 己点検・評価結果の概要」について,説明が行われた後,次のような質疑応答がなされた。)

(荻巣委員)
  入学者に対する卒業者の割合は,およそどれくらいであるか。
(秋葉副学長)
  平成12年5月1日現在で入学者1,100人のうち卒業者は931人である。
 国立大学における留年者は,年々高くなってきており,入学者の約15〜20%である。本学においても,その割合に当てはまっている状況である。

(石野委員)
  教員の授業内容を検討する組織,システムはあるのか。
(秋葉副学長)
  次年度にどういう授業を展開するかということを講義概要,シラバスという形で全学に公表しているが,それについての吟味をする委員会等はまだ設けていない。
  ファカルティ・ディベロップメント(FD)を開催している状況である。
(寺ア委員長)
  他大学もおよそ同様の状況である。つまり,議論するのはカリキュラム,授業科目の名称,構成までは行うが,その中味をどうするかを決めて次年度に実施していくという 議論の機会がないということである。

(石野委員)
  学生の評価のフィードバックはどうしているのか。
(長尾夜間学部主事)
  第二部では昨年,学生を含めてFDを開催した。アンケートを採ることによって学生達の様々な授業に対するリクエストが出やすくなってきている。第二部に限ると昨年度から専任の教員のみならず,非常勤の教員にも了解を得て授業評価を行っている。むずかしいのは,学生が行った評価を新しい授業の改善にどのように活かしていくであり,検討課題になっている。
(横山教養学科長)
  教養学科では平成8年に全学に先駆けて学生による授業評価を取り入れた。その際,学生にフィードバックする何らかの体制が必要ではないかという意見も出たが,同意を得られず,とりあえず各先生方が自分達の授業を改善するということで導入が決まったという経緯がある。
 授業評価をする以上は,フィードバックしないと学生がまじめに応えてくれないということも出てくるので,今後はそうしていかなければならないと思う。
(宮野教員養成課程長)
  教員養成課程では教員個々人が学生の授業評価を受けて授業の改善を行っているが,組織としては行っていない。むしろ今後どう義務づけていくかが課題となる。

(浪本委員)
  「この講義のために予習・復習をかなりした」という項目は教員が作成したのか。
(宮野教員養成課程長)
  他大学を参考にして,独自につくったものである。
(寺ア委員長)
  むしろ,この授業を聞いて予習の必要を強く感じたか,あるいは復習することを促されたかというような項目の方がいいのではないか。

(荻巣委員)
  相対評価とはどんな評価をいうのか。
(横山教養学科長)
  最高点と最低点の間で,優,良,可,不可の割合を定め,割り振ることを相対評価といっている。アンケートの結果相対評価を行っていると答えた教員は非常に少なく,大半の教員が,その到達度により優,良,可,不可を付す絶対評価か,もしくは相対評価と絶対評価を組み合わせて判定していると答えている。

(寺ア委員長)
  一般に学生の授業評価の理論というのは,あるようでない。学生の授業評価を何回か行っているが,結局学生達の回答もわりにいい加減だと思い始めることも結構ある。
  もうひとつは,質的な評価まではできずに技術的なことに留まらざるを得ないという学生の授業評価の限界がある。

(ここで,一旦休憩をとり,別室において外部評価委員による本学の学部学生からのヒアリングが行われた後,引き続き以下のような質疑応答が行われた。)

(浪本委員)
  学生達の意見を恒常的に汲み上げるという仕組みがないように見受けられた。学生自身の意見を集約して,それを大学に伝えるというようなことを助長する体制が必要では ないか。
(長尾夜間学部主事)
  第二部では,学生を交えたFDを継続的にやっていきたいと考えている。

(荻巣委員)
  第二部の一年生の入学定員が徐々に減っていくと聞いたが,どうであるのか。
(長尾夜間学部主事)
  そんな事実はなく,定員削減が100名きた時に,50名を40名に減らしただけであって,そのことが誤って伝えられている。

(浪本委員)
  単位の上限設定の問題はどうであろうか。
(稲垣副学長)
  各回生によって履修基準単位数を割り振っている。例えば1回生では42〜48単位で幅を持たせている。専攻ごとに専門の授業科目を早く始めたり,遅くしたりと弾力的 に運用しているが,実態としては,50単位を1回生で履修申請してくると上限となる。ただ,先程言われたように,いわゆる予習,復習の問題,つまりクラス外での学習の時間を確保させようとすると,もう少し単位数の上限を抑えなければならない。本学では教務委員会を中心に上限設定と厳密な成績評価を一体化した制度整備に向けて検討を始めている。

(石野委員)
  大学でいろんなことを学びたいという学生のニーズに応えうる融通の利くカリキュラムになっているのか。
(稲垣副学長)
  教員養成のカリキュラムが免許法に縛られていて,約60単位が免許法の下での授業科目になっている。また,入学段階で募集区分が小区分になっているので,自分の専攻 を越えて他専攻の履修をしたいという学生の希望は潜在的に強くあるが,例えば実験・演習等を中心になかなか受け入れにくい状況が一方にあるのが現状である。さらに,入学後の転科,転コース,つまり自分にあってなければ変われるような制度整備についての議論を始めている。専攻の壁を低くしていくのが,共通認識になってきている。

(寺ア委員長)
  受験時代に勉強した数学と大学の数学とは距離があって,非常に困っていると聞いたが,高校の最後の段階と大学の最初の段階のつなぎ方はどうであろうか。
(横山教養学科長)
  確かにそういう問題はあり,そのために授業の工夫が必要になり,少人数制のゼミなどで丁寧な指導をしていくというようなことを実践しているところもある。

(石野委員)
  親の立場からすれば,学力は少々悪くても人間性に富む先生に当たってほしいという希望があるが,大学の教育としてはどちらを求められるのか。
(宮野教員養成課程長)
  教員養成カリキュラムの全国的傾向として,学力よりはむしろ人間性に力を入れつつあるが,人間性重視が行き過ぎて,教員の学力低下という問題も起こってくると考える。
  つまり,学力と人間性のバランスをうまくやっていくことが今後の課題である。
(長尾夜間学部主事)
  時代の要請で教員養成のカリキュラムは大きく影響される。大学の4年間で教師の全 ての資質が完成されるとは思えない。むしろ教師教育全体に関わっていく大学の在り方 がこれからの教員養成系大学に求められるひとつの方向であると考える。
  学力の優れた先生か人間性豊かな先生かと割り切らずに,むしろ教師になってからリ カレントという形で本学と関係していくということを今後目指していかなければならな い。

(浪本委員)
  今回の免許法の改正は学力よりも人間性の向上に力点を置いたものとなっているが,それについてはカリキュラム上どう配慮されているか。
(宮野教員養成課程長)
  最低限のことはやっているが,上積みするような方向で本学独自の人間性を豊かにす るような科目はとくに設定していない。従来までは教科ごとに区分けした専攻をたてて いたが,平成12年度から小学校教員養成課程については,教科ごとの区分に入る前に 系という少し大きな単位を導入し,そこでもう少し基礎的な学力,教養を培うことによってある意味では人間性豊かな教員の土台作りをしようと工夫を行ったが,その成果に ついては,3,4年経過しないと判断できない。

(浪本委員)
  大学院修学休業制度に対応する動きはあるのか。
(岸本大学院研究科主任)
  現在公的な制度としては,現職の教員を有給で大学院の学生として派遣する制度があるが,これは自治体の財政規模によって大きく異なり,今は3人しか来ない。
  現職の20〜30%が修士課程で再教育するとなると相当の落差があるので大阪府・市の方でも有給ではない休職制度で来ていただく形で去年から始まっているが,現在の ところまだ非常に少ない。一時,学校現場を離れるという環境をどう整えていくのかと いうことと連動しないとなかなかむずかしい問題である。
  個人的には,現職の教員が大学院で再研修をすることは大切なことだと思っている。

(石野委員)
  学業が優秀でない,授業スキルもない,人間性も欠けているような者を教員として送り出していないか。学校教育が社会問題化している中で,大阪教育大学としてはどのあたりにポイントを置いていこうとしているか。
(中谷学長)
  教員は研究者の側面と教育者の側面を併せ持たないといけないと思っている。
 教員が完全である必要はないと思う。常に学問教育の意欲や,こどもたちの成長に対 して熱き情熱を持ち続ける努力をしていけば,学校現場においてもすばらしい教員とし て成長していくであろう。
 
(浪本委員)
  教員に対する社会的要請が高まっている現在,質の高い教員に育てあげるには大学で4年以上必要ではないか。
(岸本大学院研究科主任)
  我が国の経営組織体の80%以上が大学卒の中で修士課程以上の学歴を有する比率は30%程度ある。ところが,教員だけは,学歴構成が低く8%程度である。そうすると,教員集団という組織体の中では,大学院レベルの専門知識を積んで出てきた人たちがイニシアチブをとることが社会的に当然要請されている。ただ,社会一般では,なぜ教員になるのに大学院まで行く必要があるのかという抵抗もある。そのあたりを大学として どういうふうに乗り越えていくのかが課題となる。
  私としては,4年以上の形での教員養成に向かわざるを得ないと思っている。
(中谷学長)
  現在の教育,社会が抱えている問題に充分に応えていける教師を養成するには,やはり4年間には限界がある。ただ,学歴が長くなればいいというのではなく,本当に力量のある教師を養成していかねばならない。
  そのためには,今後,4年プラス2年という形で,少なくとも修士の資格を持った教員養成,あるいは,学部卒業後,学校現場での経験を積んだ後,現職のまま大学院で学んだり,学校現場に勤めながら,夜間に大学院で学んだりといったような多様な教育の 機会を保障しながら,養成していきたいと考えている。
(寺ア委員長)
  大学院は大衆化していくことが確実であり,当然,大学院の新しい任務の中に教職者を養成することが,今より強く入ってくるのではないか。
  また,4年制か6年制かというオールオアナッシングの議論も成り立たないのではないか。例えば4年制大学卒業の教員の需要がなくなるとは思えないし,子供達と生徒達との年齢差を考えると大学院を出た人が全部小学校に行かなくてもいいと思う。そうすれば大学院は,再教育の場になるわけである。そういうものとして,大学院からも二重の役割,学校現場の方からも二重の期待になっていきそうな気がする。

 (最後に各委員から一言ずつ質問や意見が述べられた。)
 
(寺ア委員長)
  教養学科の総合科目の特色は何か。
(横山教養学科長)
  「人間と生活」,「人間と自然」,「芸術」などを含む新しい時代の教養教育にふさわしい,学際的・総合的分野や主題別分野の授業科目によって構成され,幅広い知識と総 合的視野の形成を図ることを目的としている。
(寺ア委員長)
  現在のリベラルアーツとは何かと考える時に,大学の特色をもった教養科目を売り物にしていくことが必要である。

(寺ア委員長)
  教養教育のカリキュラムにおける教養学科の学生と教員養成課程の学生との乗り入れはどうなっているのか。
(横山教養学科長)
  基本的には分離しているが,お互いに授業は開放していて,自由選択科目として卒業 要件に加えることができる。ただ現状は資格取得科目などに偏っている傾向がある。

(荻巣委員)
  資料を見て授業の出席率が高いのに感心した。4年制,6年制という話も出たが,やはり,ミスマッチのない学生を養成して社会に輩出していただきたい。基礎知識を備えた専門性に優れた教師を養成するために,学生には安易に単位を与えないという姿勢でやっていただきたい。

(浪本委員)
  確かに最近の学生は授業によく出てくるが,授業中しか勉強しないのが現状である。
 また,オフィスアワーなどは有効に機能していないようなので,学生にも意識を高揚させる必要があるのではないか。

 (以上の質疑応答の後,文書による講評・評価結果の取りまとめ方法等について,若干の調整を行い,会議を終了した。)

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 5.評価結果     
  1)はじめに

外部評価報告の提出にあたって

寺  ア  昌  男  委員長
(桜美林大学教授・東京大学名誉教授)

 大阪教育大学自己点検・評価報告書の検討ならびに外部評価委員会の開催を経て,ここに平成12年度外部評価報告書を提出する運びとなった。
 周知のように,大学の自己点検・評価は,1991年以来,全大学がその遂行に努力することを義務づけられてきた。これに加え,最近の数年間,外部評価活動もまた最重要視される活動の一つとなってきた。大学の個性化と活性化,特に教育のグローバリゼーションと研究の国際化とに伴う水準の向上,大学のいわゆるアカウンタビリティーへの要求など,大学とそれを取り巻く新しい状況の変化が,上記の二つの活動を促している。
 記すまでもなく,自己点検・評価活動は,各大学・学部が揚げる教育・研究の目標を達成するために,どのような活動を行ない,何を達成し,どのような課題を残しているかを科学的・組織的に解明し,その成果を公表する作業である。これに対し,外部評価は,教育・研究の専門的立場から,あるいは地域・企業・省庁等の立場からの社会的観点から,大学・学部の教育実践や研究活動を評価し,その改善を促す作業である。その際,当該大学自身による自己点検・評価作業そのものも,評価対象となる。
 大阪教育大学の教員スタッフは,平成5年以降,第1回(平成4年度・5年度対象),第2回(平成6年度・7年度・8年度対象),第3回(平成9年度・10年度対象),第4回(平成11年度・12年度対象)の4次にわたり,自己点検・評価活動を重ねて来られた。そして,今回初の外部評価活動に着手され,私ども6名がこの委員に委嘱されたのである。
 私どもに求められたのは,

 1)これまで積み重ねられてきた自己点検・評価活動の設定・観点・方法・実施体制・結果等について評価検討を加えること。

 2)学部・大学院等の教育・研究活動そのものを評価するとともに,それらの改善に関し何らかの提言があればこれを示唆すること。
の二つであった。

 送付された膨大な自己点検・評価報告書を読み,外部評価委員会において精細にしてビビッドな報告を受け,さらに在学生諸君の中の一部の者との報告や懇談の機会を活用させていただき,更に委員相互の話し合いを経て,ここに本報告書作成し,提出することができた。
 評価活動の全期を通じて中谷学長をはじめとする多数の教職員諸氏ならびにヒアリングに応じてくれた学生諸君その他関係者の方々に深謝する。この報告書が大学・学部改善の一助となるならば,私どもにとっても大きなよろこびである。
 他方,ご多用の中,率直な評価意見をお寄せくださった委員諸氏にも厚くお礼申し上げる。委員長として総括的な文章は,これらの評価報告と外部評価委員会当日の諸記録,さらに委員長個人の所見を加えて作成した。
 果たして総括の実を挙げることができたか否か,不安なしとしないが,すべての評価成果を総合して,この報告書が活用されることを期待したい。 

 2)各委員からの報告

委 員 長 総 括 報 告

寺  ア  昌  男  委員長
(桜美林大学教授・東京大学名誉教授

 筆者を含む6名のメンバーが大阪教育大学の外部評価を委嘱された。1学部・研究所等に止まらず大学の全体を対象とする外部評価は,重責を伴う作業である。しかし,大学からはあらかじめすべての自己評価資料が提供され,さらに評価委員会開催当日は詳細な各部局からの報告が行われ,併せて学生のヒアリングが設定され,外部評価遂行のための周到な準備が行われた。学長,副学長をはじめ全大学教職員の方々に,厚く感謝する。
 次項以下に掲載されている各委員のコメントにも適宜触れつつ,委員長個人の見解も交えて,総括的な評価報告を記したい。

T 評価活動について

 1)今回で第3回を迎えられた自己点検評価の活動については,これを高く評価する。
 特に委員一同が共通してプラスの評価を惜しまなかったのは,評価の焦点が学士課程および大学院の「教育活動」に置かれていたことである。多くの大学が行う自己評価には,研究業績評価や対外活動評価などおよそ大学の諸活動全般を対象とするものが多いように見受けられる。予想される独立行政法人化の動向や国立大学第三者評価などに配慮する場合には,それもやむを得ない方法であろう。だが当大学の評価では,授業活動を中心とする教育活動に圧倒的な焦点が置かれている。大学の教育機能が重視される現代の状況に照らしても,これを高く評価するという意見が,外部評価委員の中に多かった。
 2)その上で,多くの評価委員が問題と感じ,今後の改善を要望しているのは,次の諸点である。
 @大学院は別として,少なくとも学科課程相互の間で,もう少し共通の調査項目を設定し,大学全体の教育評価結果を展望できるようにしていただきたい。
また,学科ごとに工夫を凝らした調査項目(ごく一例を挙げれば,教員養成課程第一部で立てられた「授業に対して良い印象を持った者の割合の関係」並びに「指導の適切さへの印象と受講生数との関係」の分析,「時間割ごとの学生出席率の分布」等)が見られる。これらは高く評価できるが,こうした分析視角が,全部の課程,学科共通のものになることを望む。今後一層の工夫を要望したい。
 A調査結果を今後どう生かすかを,さらに力強く明示できないか。換言すれば,蓄積されてきた自己評価結果が改善展望と具体的にはどうつながるか,必ずしも理解できなかった。
 記すまでもなく,自己点検・評価活動は,大学設置基準大綱化の際に条文化され,のち「努力義務」とされてきたものである。しかし,問題は,点検・評価活動の目的が行政当局によっても必ずしも明示されず,大学自体の側でも深く自覚されなかったことにある。
私見によれば,この作業の目的は,大学の所属メンバー自身が大学の自己改善・自己変革の方向を発見することにある。さらに点検・評価の対象には,教育・研究活動の実行プロセスや結果に止まらず,教育研究目標の設定作業それ自体も含まれる。言いかえると,広義の「計画」もまた,点検・評価作業の対象である。そして,この包括的な作業を通じて当大学にとっていかなる改革課題が浮かぶかが,最も肝要である。
 もちろん自己点検・評価報告書の第3部では「自己点検・評価のまとめと課題」および「教育活動の改善のための提案」が行われている。前者は相当に具体的である。だが委員の中には,この膨大な努力の結果がどう生かされるのか必ずしも理解できない,という感を抱いた者も少なくなかった。一層の努力を期待したい。
 B上記のことを達成するためには,各課程・学科・研究科でとくに学生諸君の評価の高かった活動は何であり,また,特に問題ありと見られる項目は何かといった判定が,ある全学機関で責任をもって行われ,さらにそれらの評価を生み出している条件は何かについて,一般的な判断が導き出されることが大切である。さらに,その判断を学内に浸透させることも必要になろう。そのためには,複数の委員から提案されているように,例えば学生を交えたディスカッションや対話集会なども有効かも知れない。
 貴重な自己評価結果が活用されるための,創造的な方策が編み出されることを期待する。
 3)委員のほとんどが高く評価し,言及され,筆者も共感するのは,学生諸君からのヒアリングというプログラムが準備されたことである。これは稀な試みである。
 @筆者は,2000年度に計5つの国立大学・学部および国立研究所の外部評価あるいは運営諮問会議に委嘱された。しかしそのなかでも,大学・学部で学生諸君と話ができるチャンスはなかった。大阪教育大学の学生ヒアリングは,全く初の体験であった。このような企画が実現すること自体,「大阪教育大学ではこれまで教官=学生の間に一定の信頼感が育てられてきたのではないか」と想像させるものがある。非常に充実した時間を持つことができた。
 Aヒアリングの場では,特に低学年生から,高校での勉強の程度と大学で要求される学問水準との間の差という問題がこもごも語られた(とくに教養学科や教員養成課程の数学・心理学等の分野でこの問題が深刻であるように見受けられた)。これに関連して,全体として先生方の指導の熱心さは高く評価されていたものの,高校段階と大学段階のレベルの差を埋めるためにも,入学前の学科教育に関する広報活動が詳細強力になること,また入学後一層の指導がなされることを希望するという声が,かなりの学士課程学生から聞かれた。
 他方,学生の一人が「教員養成は6年制に移行するのではないか」という予測を漏らしたことは興味深かった。学生は評論的に述べているのではなく,また学士段階卒では教職への就職が困難だということから述べているのでもない。学校現場で要求される教育内容からして,6年間の学習が必要ではないかという実感的判断から発言しているのであった。

U 全般的問題について

 1)大阪教育大学全体の将来像についてさらなる検討が行われることを期待する。
「教育活動の改善のための提案」1には,「総合的な『教育大学』としての実質を深める」という文言が用いられている。これは全国の教員養成大学の中で唯一の教養学科を持つ当大学の将来像に関わる,重要な規定であると考えられる。
「総合的な」とは何を意味し,カッコ付きの教育大学とは何か。
 @歴史的に見れば,大阪教育大学がこれまで取ってきた改編の路線は,「学芸大学への積
極的回帰」だったと言えるのではないだろうか。
 教養学科をつくる際に,他の大学のように課程として位置づけるのでなく正規の「学科」として立ち上げ,「ゼロ免課程」という蔑称じみた言葉で呼ぶような事態を避けたことは,重要な意義を持った。外部から見て,積極性を感じ取ることができる。そしてこれこそ,将来像への起点の一つとなりうると考える。
 A教育面に絞れば,外部評価委員会でも筆者が質問したように,たとえば教養学科と教員養成課程とのカリキュラム上の相互乗り入れを強化する,といった全学的配慮が重要になろう(教育課程の総合化)。
 また,日々の教育実践に対して,深い省察や熟考を繰り返していくことこそ,今後教師に求められる「専門職者としての高度化」の道である。そのためには,広い知的芸術的身体的な学識・教養が不可欠であり,また人間的素養とでもいうべきものが求められる。「教養学科を持つ教育大学」は,この条件を持っている(総合的基礎に立つ教師教育)。他方,教養学科の学生にとっても,人間の教育に関わる諸問題を知ることは,文字通り市民的教養の重要な一環となるに違いない。
 大阪教育大学は全体としてどのような教育目標を持ち,形成すべき教師像との関わりでどのような教育目標を持っているか,これらを明示してほしいという意見は,外部評価委員から多く出されている。今後いっそう探求が進むことを期待したい。
 2)大学院の今後の発展について
 上記の問題と深く関連するが,大阪教育大学の大学院の位置と役割は,今後ますます大きなものとなるに違いない。
 @恐らくその役割の中心は,現職教師の再教育であろう。また,これまでの措置の中で注目すべきものは,夜間課程が設置されていることである。外部評価委員会での報告を聞いても,特に大阪市においてこの夜間課程が設置されている意義は極めて大きく,在籍者の学習意欲も高いように見受けられた。しかし他方,先に引いた「教員養成は6年制に移行するのではないか」という学生の予測発言が出る基盤を考え合わせると,単に現職者に対してだけでなく,学士課程から直接に進学を希望する学生も,今後増えてくることが予想される。
 A大阪教育大学を「充実した大学院をもつ総合的教師教育大学」として,近畿圏のみならず西日本の教師教育のセンターにすることは夢であろうか。「大学院重点化」といったスローガンで表すのではなく,「教師という専門職の高度化を支援する開かれた大学院づくり」および「大学全体に対する大学院の有機的統合化」を達成する努力目標として設定することは,日本の教育界のためにも強く求められていると思うのである。
 3)最後に,外部評価活動の運営について一言したい。
 委員の意見のなかにもあるように,率直に言って時間が短かすぎた。学年末の最も慌ただしい時期に開催されたという事情は理解できるとしても,また学部学生からのヒアリングにある時間を割かなければならないという制約もあったけれども,委員同士が討議検討する時間が数倍は用意されるべきであった。
 もっとも,外部評価にかける時間が不足するのは多くの大学のいわば通例であって,当大学だけの問題ではない。そのことを承知しつつも,なおこの事態が改善されることを望みたい。前提となる自己点検作業が多くの労苦に支えられたものであることを考えあわせると,まことに惜しまれることだからである。
                                           
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外部評価の結果について

石  野  伸  子  委 員
(産経新聞大阪本社文化部長)

1)自己点検・評価項目の設定について
2)自己点検・評価の観点について
 過去2回の自己点検・評価をふまえて実施された第3期自己評価委員会は,評価の観点を「教育活動の自己点検・評価」,とりわけ「授業評価」においている。この点は,大変評価できた。教育現場が大きな社会問題となり,教員の質,あるいは教育の目的・質が厳しく問われる中で,教育活動とその中心をなす授業について,自己点検を行おうという行為はまさに時機を得た観点(テーマ)といえる。
 テーマにもとづいた点検・評価項目は,内容がふたつに大別された。すなわち,「組織としての教育活動」と「個々の教員の教育活動」で,この項目の分け方は評価をする上で大変分かりやすく,妥当と思える。とりわけ,組織としての項目では,学生の受け入れからカリキュラムの編成,教授方法から成績評価・単位認定,さらに卒業生の進路まで,学部の入り口から出口までを見渡す観点での項目設定で,要点を衝いている。一方,個々の教員の教育活動については,授業・課外活動・研修への取り組み・教育に関する組織の活動への貢献など幅広い項目設定だが,例えば成績評価についての具体的設問などがあっても問題点がよりクローズアップされたのではないか。

3)自己点検・評価の方法について
 教育活動に関する自己点検・評価の中枢を担う「授業評価」の手法は,いわゆる「授業アンケート」調査を活用したとある。結果からみれば,点検・評価に至る過程においてこの手法の効果にはかなりのばらつきを感じた。もちろん,任意のアンケートであるから当然の限界はあるとしても,例えば教養学科では,「個々の教員の教育活動」における授業調査について,アンケート結果だけでは不十分であるとして時間割表等の資料に基づき全教官の授業時間数等について別途調査し評価の資料とした。また,シラバスについても評価・検討を加えるなど,工夫がみられる。こうした多角的点検が自己評価においては大いに求められることではないだろうか。

4)自己点検・評価の結果について
 結果報告については,それぞれの学部の現状に応じて現実問題を直視した真摯な分析が行われている。アンケートの緻密な分析のほか,全体的問題把握について工夫がみられるものの,各学部をとりまく教育活動について,もっと問題点をクリアに抽出する結果がほしいとも感じた。とくに,教員養成課程においては,卒業生の半数しか教員になれないという厳しい現実があるが,この問題点に直結するような結果がみられず,全体的に物足りない感じがする。また,教養学科のアトランダムな意見として「教官によるセクハラ」「アカデミックハラスメント」などが挙げられていたが,これらは今日的に社会問題として大きくクローズアップされている問題でもあり,これらに対して何らかの対応策・回答もほしかった。
5)改善についての提案について
 教員養成が教育改革の最重要課題のひとつとなっている現実の中で,自己評価委員会がまとめた改善のための提案は,大変総合的で,積極的なものとなっている。数多い課題の中から,第3期委員会としては7つの提案がなされた。中でも注目されたのが,提案@教育系大学としての自覚を高め,責任を果たすための提案。「学生に教員になるのだという強い意志を持ち続けさせる教育背景を提供する体制の構築に具体的に取り組むことを提案する」という決意には大いに期待したい。また,提案B「カリキュラム及び授業の評価システムの開発のための提案」にある「各学部共通な基準の採用」は早急に望むものであり,これはまさに提案C「他者評価に対応できる点検評価体制の整備」についての提案に直結する問題であろう。

6)自己点検・評価の実施体制について
 平成13年3月9日に行われた外部評価委員会においては,外部評価委員だけで学生自身からの聞き取り調査を行い,これが大変興味深かった。20分という短時間であり,わずか6人(3部局)という少人数にもかかわらず,大学の授業・教育活動について大変示唆に富む意見が聞かれた。さらにこの聞き取り調査で印象的だったのは,学生たちがこうした意見を恒常的に述べる場はない,と答えている点で,今後の自己評価においてはアンケートという間接的な手法だけでなく,自己評価委員による学生への直接的な聞き取りなども参考意見として有効ではないかと感じた。

7)学部教育の現状について
 3月9日当日の外部評価委員会において,もっとも興味深かったやりとりは,学部教育のめざすところ,いわば教育の理念についてだった。今回の外部評価委員に課せられた課題からは少し論点がずれてしまうのかもしれないが,コトは教育活動にかかわる根幹であり,少し意見を述べておきたい。子供の教育を担う教師を養成するにあたって,もっとも大事な点は何だろうか。コトの発端は,学生への聞き取りで(当日は大学から選ばれた大変学業成績優秀な学生であったにもかかわらず),授業が難しい,という指摘だった。例えば,数学においては,高校生までの受験数学との距離があまりに深く,ついていけないという声。あるいは,大学生となって,もっと幅広い教養を身につけたいから一般教養に幅をもたせたいのだが,教育大学においては専攻がはっきりとしているため,専門教科に縛られ多くの一般教養科目をとれないのはつらい,といった声。今日,大学生の学力不足が言われているが,ここには大学がめざすレベルと,学生の思いとのギャップが如実に現れているといえないだろうか。大学としては,伝統の教育大学にふさわしく,厳しいカリキュラムを課し,学問する喜びと深さを知らしめ,学びの指導者としてよき教員となってほしい。しかるに学生の方は,もっと全人的教育を欲している,といった具合に。専門的学問を極めた教師が,果たしてよい教師なのか。それとも,もっと全人的教育を施され,人格まろやかな教師がよい教師なのだろうか。現実を無視して理想だけに走っても,また理想を失い現実に迎合してもよい教育はできないだろう。ひょっとしたら,いまの学生は一般教養を身につける時間がもっと豊富に必要で,専門教育を受けるには4年間では不十分なのかもしれない。となれば,大学院教育との連動,あるいは学部・大学院の再構成といった課題がここには横たわっているのかもしれない。当日の短い時間では明快な答えは得られず議論も尽くされなかったが,今後さらに学内での論議の展開を期待したい問題だった。

8)大学院教育の現状について
 現職教員の修士課程における再教育の実施,また,教員養成が果たして4年でよいのかどうか,などといった議論も起きる中で,大学院機能はますます多様化・重層化しており,今後ますます,そうした多様なニーズにこたえる内容を備えてほしいと切望する。


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外部評価の結果について

荻  巣  史  恭  委 員
(近畿日本鉄道株式会社専務)


1)自己点検・評価項目の設定について
平成5年から大阪教育大学では自己点検を実施されており,今回はその第3回に当たる。自己点検・評価項目は第1回,第2回の反省・結果を踏まえたものになっている。各部門の特性を生かし,学生に直接関わる授業,カリキュラム,学生生活,成績評価,卒業生の就職,等々の項目が設定されている。このような点検・評価の方法が効果を上げるには,取り上げられる項目の如何にその成否がかかっているように思われる。項目の選び方が各小委員会で異なっているのは,独自性を出すという点からは評価されるにしても,外部評価をする立場から言えば,せめて学部部門では共通項目にして頂いた方がよいように思う。
 もっとも教育の素人である私が,項目の設定について意見を述べるのは筋違いかもしれない。

2)自己点検・評価の観点について
 日本がこれからの厳しい国際社会に生き残り,かつリーダーシップを発揮していくための人材を養成するのは,ほかならぬ教員である。優秀な教員を教育界に送り出す使命を負った大阪教育大学が他に先駆けて,大学設置基準(文部省令)に基づく自己点検・評価を積極的に実施され,今必要とされている大学改革の柱としておられることは報告書から充分理解できた。
 部外者として最も要望したい点は,言うまでもなく,大学が実践される教育・学術研究と,学生,一般社会が求めている教育との間に「距離」があってはならないということである。今後とも社会の求める人材と大学教育とが決して乖離することのないよう,社会要請に応えられる大学作りをめざして頂きたい。そのために,今実施されている自己点検・評価をぜひとも有効に活用して頂きたいと思う。

3)自己点検・評価の方法について
 学長を長として,全学的に自己評価委員会の組織を構成され,様々な角度・切り口から,現在に至るまでの過程に反省を込めて自己点検・評価を実施されたこと,自ら自己点検・評価することの難しさを乗り越えて実施に踏み切られたこと,又,過去の点検・評価を仔細に検証の上,新たに項目を設定されたこと,第3回目には多くのアンケート調査も取り入れられたこと,等々,いずれも評価に値する。
 しかしながら,報告書からはその方法について充分な理解ができかねる面もある。今後とも他者評価を考慮の上,自己点検・評価方法について,より成果に結びつくよう工夫に一層の努力を期待したい。

4)自己点検・評価の結果について
 自らの点検・評価,という性質上,その結果については,どうしても肯定的で甘くならざるを得ない。自己満足に陥り易いという弊害を併せ持つのはある程度いたしかたない。
 例えば,学生が,大学における講義,施設,教官の教育研究に対してどう思っているのかというアンケートの結果からも全般に肯定的な傾向が見られる。学生諸君は意欲的に授業に出席し,授業内容に大いに関心を示し,教官に信頼を寄せている,と回答している。僅かに,板書の使い方,教材の使い方,予習・復習を殆んどしない,といった課題が指摘されているにすぎない。
 自己点検・評価にも限界はある。評価の基準をどこに置くかで見方も一変する。第三者による評価は的外れなところもあろうが,門外漢ゆえの自由な視線ととらえることもできる。多様な視点をとるという意味で,自己点検と外部点検との調和を測った点検が今後必要ではないかと思われる。大学院教育学研究科の報告書の自由記述部分が全てを言い尽くしているように思う。アメリカやイギリスの大学において,既に第三者評価が採り入れられていることを注視して頂きたい。

5)改善についての提案について
 自らが自らを点検するのは,意義もあるが限界もあるということは既に述べた。しかし,日常の授業内容を自らが点検し,評価し,確認することによって,より良い授業を積極的に創造していくのが肝要であるのは言をまたない。
 今回,外部評価をさせて頂いたが,相当量の資料と報告書を検討するには日数が足りない。又,半日だけの報告会では,いきおい形式的にならざるを得ない。その報告会において約30分というわずかな時間ではあったが,学生諸君6名とのヒアリングの機会を設けて頂いた。このことが,大学の実状を垣間見ることのできた一番の事柄であったように思う。さらに学内の施設,事業内容,等々を見学するチャンスを作って頂ければ,私のような素人でも外部評価委員として今少しお役に立てたのではないかという思いがする。
 前述した如く,自己点検の限界を充分認識されているのを知りつつも,あえて他者評価との調整を再度要望しておきたい。
 大学は青年期の一時の学習機関にすぎないのではなく,卒業後も必要に応じて随時接触の可能な場でありたい。教師となってからも卒業生が常に関与できる機関としての整備が望まれる。その意味からも,自己点検をしっ放しというのではなく,出てきた課題を今後どのように改善へ向けて検討してゆくのか,その取り組み方を示してほしいと思う。

6)自己点検・評価の実施体制について
 平成5年6月に大阪教育大学では自己評価規程を制定され,大学の教育活動,研究活動,及び社会的活動の推進を図るべく自己評価委員会を組織された。そしてより良い大学運営を目指し,自己点検・評価を実施された。まずこの事実を評価したい。
 しかし,同大学の教職員約500名,学生約5,200名の中に,この体制はどの程度浸透しているのであろうか。疑問に思うところである。各小委員会の報告書を通読すると,各部門のまとめ方には,ばらつきが見受けられる。各部門の特徴の表れと言えなくもないが,やはり一応の統一性のある方がよいのではないか。
 ただ,先生方もご自分の専門分野の研究や講座を抱えながらの取り組みで,その御苦労のほどが偲ばれる。

7)学部教育の現状について
 昔の学生はなかなか授業に出なかった。昨今は真面目に出席するものの質問は殆どしない,予習復習もあまりしない,ということらしい。それは必要以外のことはしない,という日本社会の現状を反映しているかのようだ。
 学生の成績評価・単位認定については,絶対評価(56%)と相対評価を組み合わせて実施されていることは評価できる。記憶力だけでなく,理解力,思考力,興味,意欲など多様な資質を測る相対評価を取り入れることにより,人間的魅力の形成に努力されている様子が伺える。
 卒業生の就職先は大半が教師と思っていたが,予想に反し,現段階で教職に就かれた人は30%を切っているという事実には非常に危機感を覚えた。学校としては可能な限りの施策を講じ,就職比率を高めることに尽力して頂きたい。一旦社会の他部門に就職したものの,やはり教育者として自分の力を発揮したいという考えの方,又,他大学を卒業後もう一度教員養成(第二部)で勉強された卒業生の方,こういった方々が教育界へ就職できないという現実は非常に問題であると思う。その熱意に報いるべく何らかの手段方法の検索を望むものである。
 学生との関係,授業の工夫,カリキュラムの弾力化,等々,その必要性を充分認識された上で先生方は日夜努力しておられるが,ファカルティ・ディベロップメント(F.D.)の更に本格的な取り組みが今後の課題と思われる。
 大学教育に競争原理を取り入れ,それをシステム化するのは如何だろう。そうすることで語弊はあるが,不良品(不適教師)を生産しないようにできるのではないか。一般企業であれば不適格品があればすぐさま倒産につながる。大学は品質保障をしっかりとして頂きたい。学校生活を通して,個性豊かな,優れた資質を備えた教員養成に努め,将来の日本構築のための努力をお願いしたい。
 
8)大学院教育の現状について
 大学院ができてから30年余が経過し,その間2,300名を越える修了者を社会に送りだした。その半数が学校教育機関で活躍されている一方,一般企業においても得難い人材として重宝されていることは喜ばしい限りである。外部評価委員会の当日にも話題に上がったことだが,日本人の学歴が全体的に高くなっている現在,将来の日本を担う子供達の教育者として教師は高学歴の方がよいのではないか。一律には論じられないが,教師の学歴は高く,教職の資格取得は厳しくした方が,社会にも親にも子供にも教師に対するより大きな尊敬の念を生ぜしめ,ひいてはそのことが多くの問題により良い解決をもたらすのであれば,それに越したことはない。
 国際化に即した将来の教育システム作りは急務で,そのために大学院に課せられた役割は大きい。

 結び
 今回,外部評価委員に任命されたものの,何ほどの役にも立てず,心苦しく思っているが,次の5点を敢えて提言したいと思う。
@ 自己点検・評価は各部門において広範囲に実施されているのは理由のあることと思うが,焦点を絞った項目を各部門共通のものとして実施された方がよいのではなかろうか。
A 教職への就職率向上のため,学校,教官全てがこの危機感を共有して,より一層努力してほしい。
B 自己点検と第三者評価点検とをうまくからませた評価方式の検討。
C 外部評価委員に,学校の施設,授業の見学等の機会を設け,学校の実状をもう少し公開した上での評価方式を考えて頂きたい。
D 教師の質向上とレベルアップのために,卒業後のフォローを強化してほしい。学校と,教育界の現場が一体となって,より強固な協力態勢を築いて頂きたい。

拙い意見を述べるにあたり,学長はじめ皆様には本当にお世話になりました。大阪教育大学の益々の御発展を祈念しております。

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外部評価の結果について

玉  井  由  夫  委 員
(大阪市教育委員会教育長)

1)自己点検・評価項目の設定について
2)自己点検・評価の観点について
 教育活動評価に焦点を絞った項目の設定は概ね妥当であると思います。ただし,「1.組織としての教育活動」と「2.個々の教員の教育活動等」に敢えて分ける必要があったのかどうか。例えば1の(5)教授方法の工夫・研究と2の(1)授業は集合として重ならないか。或いは2の(4)留学生の指導等は「組織としての教育活動」という面も考えられるのではないか。実際,教員養成課程(第二部)や大学院教育学研究科の結果報告では「組織としての・・・」と「個々の教員の・・・」に大別した形にはなっていません。こういう大別方法がいいのかどうか事前にどの程度共通理解が得られていたのでしょうか。
 他に項目として,例えば,卒業生への追跡調査のようなものはどうでしょうか。教職に就いた者(新任,5年目,10年目等)が学校現場でどのような状況であるのかを把握するのはカリキュラム等の改善に必要なことではないでしょうか。

3)自己点検・評価の方法について
 アンケートというものが一般的な方法だと思いますが,他の方法は考えられないでしょうか。手間かもしれませんが,例えば,抽出した学生からのヒアリングとか,抽出した或いは希望する学生によるフリートーキングやディスカッションなどの方法はどうでしょうか。
アンケート項目の整理やある程度の統一が必要ではないでしょうか。例えば,教養学科の教員用の「授業方法の工夫・研究に関するアンケート調査」と「授業評価に関するアンケート調査」で同じ項目がいくつかあります。

4)自己点検・評価の結果について
 評価項目について各自己評価実施機関で取捨選択があるにしろ,結果のまとめ方があまりにも差がありすぎるような気がします。

5)改善についての提案について
 改善についての提案が確実に実現されることを期待したいと思います。

6)自己点検・評価の実施体制について
 各小委員会では,自己点検・評価を実施し,結果を自己評価委員会に提出することになっていますが,大学総体としてだけでなく,「目標設定→計画→実施→評価」の改革サイクルが,各機関においても機能するような仕組みになっているのでしょうか。そういう意味では,大学総体としての改善策だけでなく,各機関(教養学科,教員養成課程第一部等)においても,それぞれの改善策を結果報告に載せるべきではないでしょうか。
 今回初めて外部評価を実施されたようですが,今後,外部評価と自己点検・評価をどうリンクさせていくかが課題だと思います。

7)学部教育の現状について
 主に,教員養成に関して,卒業後のことも含めて,以下思いつくままに何点か箇条書きにします。5)の「改善についての提案」に対する意見にもなるかと思います。
・ 他の教育系大学と比べて大阪教育大学の特色,目玉,売りは何なのでしょうか。総合的な「教育大学」ということですが,教養学科(将来的には学部化を考えておられるようですが)を設置していることが,教員養成課程に対して,或いは大学全体に対して,どう生きているのか,相乗効果が現れているのか,そのあたりが,自己点検・評価の結果にはもう一つはっきりと出ていないように思います。
・ 一般大学卒業の教員と比べて教育系大学卒業の教員であることの付加価値が当然あると思うのですが,それが現場で明確に現れているでしょうか。前述の追跡調査の必要性とも関係しますが,現場の管理職等からそのあたりの情報を得ることがどの程度行われているのでしょうか。教育系大学の評価は,結局,卒業生の教員としての評価がどうであるかにかかってくると思います。「さすが大教大卒業の先生は違うなあ」と言われるくらいであってほしいと思います。
・ さらに,大教大卒の教員の比較ということで,教養学科卒業の教員(数は少ないですが)と教員養成課程卒業の教員はどう違うのか,また,それぞれの現場での評価はどうか等について把握・分析はしておられるのでしょうか。(第一点で述べたことと関連します。)
・ 大学教員の研修ということになると思うのですが,附属学校以外の一般の学校現場(附属学校はある意味で特別な学校だと思いますので)の実態をどの程度把握しておられるのでしょうか。例えば,卒業生が教鞭を執っている学校の授業参観に行くとか,その学校の管理職や教職員と情報交換・意見交換をするとか,教員になっている卒業生からヒアリングするとか,研修で受け入れている現職教員から情報を得るとか,なさっているのでしょうか。そのことが,学校現場の課題に対応した科目設定など,カリキュラムの工夫改善につながっていると思います。
・ 「改善のための提案」でも書いておられますが,大学の教育活動と附属学校の教育実践が相互に寄与し合えるように,附属学校と大学の連携・協力を,教育実習以外でも,もっと日常的に行うべきだと思います。

8)大学院教育の現状について
 社会人,現職教員,留学生の受け入れは今後とも充実していただきたい。多様な人材が学んでいることは,大学院の活性化になると思います。
 修士課程修了の教員は,やはり,より高い専門性,プロ意識を持っており,現場での評価も概ね高いようですので,今後とも期待したいと思います。

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外部評価の結果について

浪  本  勝  年  委 員
(立正大学教授)

1)自己点検・評価項目の設定について
 第1期及び第2期自己評価委員会の自己点検・評価活動の成果と課題を踏まえ,今期の第3期自己評価委員会が,その自己点検・評価活動の力点を「大学における教育活動の質的向上」に置くこととした点は,今日における大学をめぐる社会的な要請を自覚的かつ的確に認識して設定されたものとして高く評価できる。けだし,大学がその社会的使命をまっとうするためには,大学が研究機関としての役割を十全に果たすとともに,教育機関として学生の教育について,今日の状況を踏まえて,その積極的機能を果たすことが求められているからである。とりわけ,大学における教育機能の質的向上が,従来にもまして期待されている今日,「教育活動」に焦点をあてた自己点検・評価項目の設定は,ある意味で当然とはいえ,的を射た設定である。  

2)自己点検・評価の観点について
今回の自己点検・評価は,評価項目の重点を「教育活動」に置き,それを,大学及び学内の各実施機関等の理念・目的に応じ,「組織としての教育活動の評価」と「個々の教員等の教育活動の評価」の側面から,評価項目の観点を設定し,それを生かしながら実施したものである。
前者の「組織としての教育活動の評価」の項目をみるに,学生が入学し卒業するまでの大学における学習・生活に対する配慮がうかがえる。また後者の「個々の教員等の教育活動の評価」の項目は,学生指導のみならず「地域貢献」及び「研修」との項目にも見られるように,単に授業のみに焦点を絞るのではなく,幅広く教育活動をとらえている。この点も適切なものとして評価できる。ただし,上記項目は,いずれも大学の教職員の側からのみとらえた観点であり,大学における重要な構成要素である学生の側からの観点,すなわち学生による自主的なさまざまな活動の中に見られる「学生同士の相互教育活動」といった項目を設けるのも一案ではないか,と感じた次第である。

3)自己点検・評価の方法について
 大学が教育機関としての機能を積極的かつ効果的に果たすことのできる基本的な場面が授業である。この授業に対する適切・妥当な評価を行うことは,至難の業である。しかし,困難だからといって避けて通ることはできない問題である。まず考えられるのが,学生による授業評価である。これは当然必要であるが,その前提として,学生が授業にすべて出席し,内容について全体にわたり十分理解できている場合とそうでない場合とでは,授業評価の質に大きな差が生じることへの配慮が必要である。
 教員の自分の授業に対する評価もアンケートによる回答を得ている点は,大いに評価できる。しかし,アンケート結果は,特定の授業についてのものではなく,あくまでも全体の一般的傾向がわかるように集計されている。それはそれでよいのだが,ある特定の授業について,学生と教員とのアンケート結果の比較研究があってもよかったのではないかと思われる。

4)自己点検・評価の結果について
 教育活動に関する現状分析のため,主としてアンケート調査をもとにした詳細な分析がなされている。その努力・エネルギーたるや大変なものであり,敬服に値する。学生の授業に対する出席率も高く,新キャンパスの施設・設備が充実している点は,学生にも好評のようである。
 ただし,匿名アンケートのなかにセクシャル・ハラスメント,アカデミック・ハラスメント,担当教官が追試をしないこと等,教官と学生の個別的な関係に関する「深刻な問題の相談」があった,との記述があるが,それにどのように対応したのか,あるいは,今後の予防策等の具体策が発見されず,報告書としては,この問題に対する積極性にやや欠けるとの感を禁じえなかった。

5)改善についての提案について
 第3期自己評価委員会が,今回の自己点検・評価を踏まえて行なっている改善のための7つの提案は,教員養成,とりわけ国立教員養成系大学の置かれている今日の政治的・社会的環境に照らして考えるに,きわめて的を射たもの,といえる。それは,大学の現状を教育活動の側面から分析した結果を踏まえ,意欲的なものとなっている。
 要は,これを今後どう実現していくか,ということである。教職員定員の削減,少子化による新規採用教員数の激減という一個別大学における努力だけでは限界のある政治的・社会的なマイナス要因を抱える環境の中で,この提案を最大限生かしていくような努力に大いに期待するものである。
 なお,IT革命が叫ばれる中,以前から時折筆者が訪問している大学のホームページは,なかなかよくできている。このホームページは,在学中の学生に対する指導的役割を果たすだけではなく,高校生など入学志願者に対する広報として重要な役割を,今後いっそう増していくであろう。さらなる充実を期待している。

6)自己点検・評価の実施体制について
 自己評価規程に基づき,学長を先頭に自己評価委員会を設置し,計画的に自己点検・評価を続けて3期行なってきていることは,高く評価できる。しかし,自己点検・評価の意義は,自己点検・評価報告書の作成や公表それ自身に最終目的があるのではなく,その結果を踏まえて,いかに大学をより質の高いものへと改革・改善していくのか,ということにある。したがって,今後は,自己評価規程15条(自己評価等の結果への対応)をどのように発動していくかが,重要となる。
なお,大学の重要な構成員である学生が,単に授業評価のアンケートに答えるだけでなく,自己点検・評価の実施体制の中にどのように参加していくのか,ということは,今後の自己点検・評価の在り方ともかかわり重要な観点ではなかろうか。外部評価委員会開催当日,直接学生諸君から意見聴取を行なったが,教職員とは異なる観点からの大学に対する鋭い注文などが出されたことは,印象深いことであった。

7)学部教育の現状について
 大学は,いうまでもなく研究機関でありかつ教育機関でもある。しかし,近年,研究機関の側面よりも教育機関としての大学の在り方が強調されることが多くなった。それは大学の大衆化現象を背景としており,こうした点をも踏まえて,今回の自己点検・評価は,教育活動に焦点を当てたのである。しかし,優れた教育活動の展開は,十分な専門的・科学的な研究成果を背景としてなされなければならない。釈迦に説法だがまず,このことを再確認しておきたい。
したがって,大学の教員は,優れた研究能力を有するとともに,優れた教育者であることも求められている。この両方を同時に満足させることは,極めて困難な課題である。現実に教育者としての教員に求められているのは,学生に対する尊敬と愛情に裏打ちされた高度な専門的な教育的配慮である。
学生からの事情聴取の際,授業内容が高度でわかりにくいものもある,との指摘を受けたが,今日の大学の教員は,学生の学力の実態をできるだけ正確に把握した上で,授業を行うことが特に強く要請されている。授業は教員の自己満足のためにあるものではない。言うは易く行なうは難し,ということではあるが,学生のニーズに対応する積極的・意欲的な姿勢も求められているのである。
ここで,あえて要望的注文をつけておきたい。それは,大学における単位についての考え方,すなわち,授業や自己学習に関する大学の仕組みについての基本的事項の学生への周知徹底に関することである。
一例であるが,教員養成課程(第一部)の場合,概ね真面目に講義を受けており,かなり意欲的に取り組んでいるようであり,このこと自身は好ましいことである。しかし,その予習・復習となるとあまり行われていないようだ。このアンケートから想起される学生の姿は,学習は基本的には教室のみで,というものである。もちろんリポート作成などの場合,学生は授業以外の時間を使うことになるが,大学としてあるいは授業担当の教員として,学生に対し,大学における単位についての基本的な考え方(大学設置基準21条)を明示し,大学においては,教室以外の場所における学習も重要なものとして考えられている点を強調していただきたい。

8)大学院教育の現状について
 21世紀を迎え,大学院教育への期待とその重要性への認識は,しだいに高まっている。今回の自己点検・評価報告においては,大学院の理念・目的を明確にとらえ,その理念・目的をさらに確実に今日の状況に生かす道が模索されていて好感をもった。
周知のことだが,最近の教育政策,すなわち1988年の教育職員免許法の改正による専修免許状が創設,2000年の教免法改正により免許状上進の際の在職年数に応じた単位の逓減措置の廃止,及び教育公務員特例法改正による大学院修学休業制度の創設,等々教員養成という点に限っても,今後,教員養成系大学院の役割は,ますますその重要性を増してくると考えられる。さらに,現実には,開かれた大学院としての生涯学習への取組み,留学生などを含む国際化への対応など,「教員養成系大学院としては本邦最大規模の大学院」に対する期待は高まるばかりである。
大学院らしい,少人数クラス教育で成果をあげているが,多様化と重層化への対応などは,国の積極的な後押しが重要である。今後,博士課程設置等の課題に果敢に取り組み,教員養成系大学の模範となるような高度な研究教育機関として発展していくことを希望したい。

長い伝統の上に着実な成果を積み重ねてきた教員養成系大学として,将来を見据えた改革の努力におおいなる期待をしている。

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外部評価の結果について

宮  本  弘  子  委 員
(大阪府教育委員会泉北教育振興センター所長)


1)自己点検・評価項目の設定について
2)自己点検・評価の観点について
3)自己点検・評価の方法について
4)自己点検・評価の結果について
5)改善についての提案について
6)自己点検・評価実施体制について
 点検・評価の項目の設定については,適切な設定がなされていると考える。しかしながら,「第3回自己点検・評価報告(抜粋)」(外部評価資料1−5)にも述べられているとおり,各実施機関の特質,状況に応じて小項目の取捨選択が行われた結果,網羅的に結果について講評することに困難さを感じている。
 点検・評価の方法としてアンケートを採用され,入念な点検・評価作業を実施されたことを評価する。しかしながら,実施機関によってはアンケートの回収率が低かったことで,アンケートの実施の時期や方法を再考される必要とともに,全学的に取り組まれている自己評価に対する構成員おひとりおひとりの再認識が必要であるかとも考えられる。
 個々の点検・評価の項目のうち,カリキュラムの編成に関連して,教員養成課程(第二部)において開講されている「教職ガイダンス」への評価が,受講生,講師の双方から高い評価を得ていることは特筆に値すると思われる。
 今後,カリキュラムの改善のために是非生かしていただきたい結果であると思われる。

7)学部教育の現状について
8)大学院教育の現状について
 資料「大阪教育大学の概要―現状と特色」の中の,新たな時代に向けた教員養成の項に,「教育者としての使命感」をはじめ5つの観点を挙げておられる。このうち,「人間の成長,発達についての深い理解」という観点について特に記すものである。
今日の学校における種々の困難な事象をたどっていくと,児童・生徒への深い理解とそれに基づく指導が適切に行われていないところに行き着く。教育のプロとして深い人間理解に基づく洞察力をもつことは,職業上,不可欠のことである。
カリキュラムの編成,学生への履修の手引(開講科目概要)を見せていただくと,心理学の様々な分野の講義を開講されている。人間の成長,発達について深い理解を得るために,これらの講義が生きてはたらくものとなるため,講師の皆様の一層のご尽力と受講学生諸君の真摯な学びに期待したい。
さらに,実践的にこのことを学ぶために,長期にわたる児童・生徒との交流や観察を含めた講座ないし,ゼミナールが今後多く開設されることを希望するものである。 

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   6.大阪教育大学外部評価実施委員会委員名簿

( 任期 平成 12 年 11 月 1 日 〜 平成 13 年 7 月 13 日)


委 員 長 学    長   中 谷  彪 
委  員 副 学 長 教 授  秋 葉 英 則
委  員 副 学 長 教 授 稲 垣   卓 (〜H13.3.31)
委  員 副 学 長 教 授 永 田 元 康 (H13. 4.1〜)
委  員 附属図書館長 教 授 塩 見   昇 
委  員 教員養成課程長 教 授 宮 野 安 治
委  員 教養学科長 教 授 横 山 良 三
委  員 夜間学部主事 教 授 長 尾 彰 夫
委  員 附属学校部長 教 授 堀 内 康 生
委  員 大学院研究科主任 教 授 岸 本 幸 臣
委  員 事 務 局 長   野 田 敏 明
委  員 委員会選出委員 教 授 小 林 正 雄
委  員 委員会選出委員 教 授 後 藤  章 
委  員 委員会選出委員 助教授 野 田 文 子
委  員 委員会選出委員 教 授 横 井 邦 彦
委  員 委員会選出委員 教 授 桝 形 公 也
委  員 委員会選出委員 教 授 有 賀 正 裕
委  員 委員会選出委員 教 授 田 中 恒 子



  あ と が 

                   大阪教育大学 副学長 稲  垣   卓



 大学の在り方を巡る議論がいよいよ深まり,様々な規制緩和が進められる中,各大学ではあげてこれまでにない大改革が進められている。改革のキーワードは,「社会の要請に的確・確実に応える大学」と「教育と研究の国際的競争力の確保」である。経済・産業・教育のグローバルな競い合いの中で,大学に対する社会の要請はますます切迫したものとなってきている。新たな時代の人材育成,テクノロジーの進歩を先取りする先進的な教育と研究,社会変革のリード役としての大学等,大学機能のあらゆる側面で総合的な力量が問われ,大学にはこれまでにない大きな社会的期待が向けられている。これに応えんとして,我が国の高等教育の全面的な再構築は,急ピッチでその実行段階に入りつつあるといってよい。
 この中で,とりわけ「教育と研究の国際的競争力」の視点から,学部卒業生や大学院修了者の資質レベルの内実が厳しく問われ,実効性のある大学教育の品質保証(Quality Assurance)が,大きな課題として取り組まれるようになってきた。研究重視の大学から教育重視の大学への大きな方向転換である。教育の品質保証には,個々の大学教員の熱意・創意・努力・勤勉のプロモーションに加えて,カリキュラムに責任をもつ講座・学科・学部・大学レベルでの日常的・継続的・組織的なモニタリングのシステムが必要である。さらに,重要なのは学習者たる学生自身からのフィードバックのシステムと卒業・修了後の社会での人材評価についてのフィードバックのシステムである。
 折しも,本学では平成9年度・10年度を対象に実施した「教育活動」の自己点検・評価について,この度,6名の学外識者による外部評価を実施していただくことができた。本学における教育活動と点検・評価の実態を,学外者の検証に付す初めての機会であった。本報告におまとめいただいた講評・評価の結果を,大学構成員が真摯に受け止め今後の教育活動の改善・充実に活かし切ることが,多忙な中,外部評価委員をお勤めいただいた6名の識者の労に報いる唯一の道である。
 大学の活動実態について,大学側が何をどのように学外者に見せ伝えるかが外部評価の成否を決めることになる。今回の外部評価の実施を通して,出来る限り手を加えない生の実態を直接見ていただき実状に直接触れていただくことが,外部評価には大切であり有効であることが分かった。今後の教訓としていきたい。最後に,多忙の中,外部評価委員をお務めいただいた6名の識者の皆さんに重ねてお礼を申し上げるとともに,外部評価の実施にあたりご協力いただいた学内関係各位に併せて謝意を表したい。

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