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運用担当部局:広報室広報係

平成24年度入学式式辞

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 入学おめでとう。みなさんの入学を心から歓迎しつつ、大阪教育大学とはどのような大学なのか、少し申し述べたいと思います。そして、みなさんにこれからの大学生活の中でどのようなことを身につけてほしいのか、お話をさせていただきます。
 大阪教育大学は非常に長い歴史をもつ、そして規模の大きい大学であります。本学のルーツは、1874年(明治7年)の教員伝習所にあり、今から138年前に産声を上げました。昨年、司馬遼太郎原作の『坂の上の雲』というNHKのテレビドラマがありましたが、そこに重要な登場人物として秋山好古(あきやま よしふる)という人が描かれていました。秋山は、大阪にできたばかりの師範学校に入学したことがドラマの中でも、小説の中でもふれられていました。「日本騎兵の父」として大きな功績を収めた人です。そういう人が一時期、本学に在籍していました。残念ながら在籍を確認する資料は見つかってはいませんが、いずれにしてもそのような古い歴史をもつ大学であるということを物語っています。

 その後、天王寺・池田・平野の3師範学校が統合する形で戦後1949年(昭和24年)、「大阪学芸大学」としてスタートします。そして、1967年(昭和42年)、「大阪教育大学」と学名を変え、現在に至っていますが、5,000人近い学生数に、11の附属学校園の児童・生徒数を合わせると、およそ1万人が本学の名の下に学んでいるという、西日本でトップレベルの規模を誇る教育大学となっています。
 そのように長い歴史と大きな規模をもつ大学でありますから、著名な人や有用な教育者、各分野で様々に活躍している卒業生を数多く社会に送り出しています。そのようなことを大阪教育大学に入学してくれたみなさまに申し上げたのは、本学に自信と誇りをもっていただきたいということです。
 そのうえで、大阪教育大学が有している幾つかの特色を紹介したいと思います。1つは教育学部の中に教養学科という学科をもっている全国で唯一の大学だということです。教育養成系大学ですから、卒業の際に教員免許の取得を必要とする、教員養成課程があります。しかし、今日の約1,200人の入学者のうち400人以上が、教養学科という教員免許の取得を卒業要件としない学科の入学者だということです。教養学科が設立されてすでに20年以上が経ちます。教員養成課程は先ほど申し上げた、戦前からの歴史を引き継ぐ形で長い伝統をもっています。その性質の異なった2つの教育研究組織は相まって、ともに大阪教育大学の教育と研究をより特色あるものにしています。
 2つ目は、大阪教育大学は2つのキャンパスをもっているということです。多くの学生は柏原キャンパスに所属しますが、もう1つ、第二部夜間の学生が所属する天王寺キャンパスがあります。柏原キャンパスは国定公園の中にあり、非常に美しい環境の中にあります。みなさんの入学を祝うかのように、今、あちこちに桜が咲き誇っています。ジョギングコースもあります。人工芝のグラウンドもあります。この春、ランニングコースも新しく設置しました。
 一方、天王寺キャンパスは、大阪の中心地にあり、都市型キャンパスとしてその機能を備えています。現在、国立大学法人で大阪市内にキャンパスを有するのは本学だけです。
 このように、郊外型と都市型の2つのキャンパスを有しているということです。しかも、2つのキャンパスは大阪の歴史にとっては極めて重要な、意味のある場所に位置しています。柏原の地には国分(こくぶ)があり、地名の由来は河内と大和の国を分けるということからきています。かつて、大坂夏の陣で西軍の知将と称された後藤又兵衛が陣を構え、徳川方の東軍と、国分の近くにある玉手山で戦いました。その意味では、柏原の地は大坂夏の陣で1つの拠点でありました。一方、天王寺キャンパスのある大阪市内の茶臼山付近は、これも西軍の知将と称えられた真田幸村が陣を構えたところであります。このように、歴史的に柏原と天王寺は、大坂を守る要(かなめ)ともいうべき主戦場に当たっていました。しかも、天王寺キャンパスは、全国で唯一の夜間の教員養成課程を有しています。2つの教育研究組織、2つのキャンパス、そういう中で学生たちは様々、活発な活動を展開してくれています。

 3つ目の特色は、大阪教育大学の学生は、極めて活発に課外活動に取り組んでいるということです。それは、スポーツであり、文化活動であり、社会活動であり、ボランティア活動であったりします。一例を挙げれば、スポーツでは近畿の国立大学の競技会では例年、総合優勝を果たしています。女子ハンドボールや剣道の実力は、全国トップレベルです。また、硬式野球部は数年前、国立大学の星として神宮大会に出場しました。サッカー部やアメリカンフットボール部は毎年、近畿の強豪私学と競合しながら一部二部の入れ替え戦を戦っています。

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 さらに昨年、学生たちは、東日本大震災の被災地である宮城教育大学と連携しながら学習支援ボランティア活動として参加してくれたり、特別支援教育課程の学生たちは被災し障害を受けた子どもたちの支援活動をしたり、極めて積極的な活動をしてくれています。そのことをわたしとしては本当に嬉しく思っています。
 そのうえで、そういう特色ある本学に入学してきたみなさんに対し、大学は何をするところなのかということについて、今少しお話ししてみたいと思います。
 何のために大学に来たのか。何のために大阪教育大学で学ぶのか。そこには、いろいろな目的があり、それぞれの個人によって本学への期待、目的は異なるかもしれません。しかし、教育は何のためにあるのかという、その根本に立ち返って考えてみなくてはなりません。教育の基本を示している法律に教育基本法があり、それは“教育の憲法”ともいわれています。そこには第一条として教育の目的が掲げられています。「教育は,人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」とあり、教育の目的は人格の完成にあると謳っています。同時に、教育の目標とはいかなるものかを示す第二条で、この人格の完成を実現するには、「学問の自由が尊重されなければならない」と言っています。それでは、人格の完成と学問の自由とはどのように結びついているのでしょうか。教育基本法では、学問の自由を尊重しつつ、その中で幅広い知識と教養を身につけ、真理を求める態度、これが教育の目的すなわち「人格の完成」を図っていくための大きな手段であると言っています。そして、それ故に、大学は学術の中心として高い教養と専門的能力を養い、深く真理を探究し、新たな知見を創造していく、それを使命とするのだということになっているのです。
 さて、ではその具体化はどのようになっていくのかということは、みなさんのそれぞれの修学年限の中で様々な多様性として、表れてくるかもしれません。しかし、いずれにしても大阪教育大学で共に学び、研究を体験していく基本的な意味は人格の完成にあり、そのためにこそ大学は幅広い知識と教養、真理を求めていく態度が必要だということは、是非とも、入学に際して心に刻んでほしいと思います。それが、大阪教育大学で学び、研究を経験していくことの基本的な方向であり、意味であるということです。
 大阪教育大学は特色のある、活気に溢れた、美しい大学であります。この大阪教育大学を、みなさんの手によってより充実した大学として、わたしたち教職員とともに、さらに尽力してくれることを期待してやみません。よくぞ大阪教育大学に入学してくれました。感謝の気持ちとそして入学おめでとうの言葉とともに、これから本学をますます自信と誇りをもつことのできる大学にしてくれることを期待していると申し述べて、餞(はなむけ)の言葉とさせていただきます。