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運用担当部局:広報室広報係

平成26年度入学式式辞

 大阪教育大学の学部,そして大学院へ入学された皆さん,入学おめでとうございます。本学の在学生,教職員を代表して,皆さんの入学を慶び,歓迎したいと思います。
 本学は,そのルーツをたどりますと,1874年(明治7年)に「教員伝習所」として産声をあげ,1877年(明治10年)に,本日入学式を挙行しているこの中之島の地に「大阪府師範学校」として学舎を設立することになりました。この会場を出て右側に行きますと玉江橋という橋があり,そこを横切って堂島川沿いを百メートルほど進みますと,石碑が建っていて,「大阪府師範学校跡」と記されています。石碑の側面には,1901年に天王寺南河堀町へ移転するまでこの地に大阪府師範学校があったと記されており,本学の前身であったことを証明しています。

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 この地でスタートした「大阪府師範学校」と,池田の師範学校,平野の女子師範学校が,本学の母体として終戦に至るまで大阪の教育に中心的な役割を担ってきました。その長い歴史をもつ三つの師範学校を統合し,戦後1949年(昭和24年)に新たに発足した組織は,新制大学として「大阪学芸大学」という名称に生まれ変わりました。さらに,1967年(昭和42年)に「大阪教育大学」へと学名を変更し,現在に至っています。天王寺地区,池田地区,平野地区では現在も,合計11校園にのぼる附属学校園が教育活動を展開しています。

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 前身の時代をも含めてこの間,本学からは多くの俊秀の人材が巣立ってゆきました。古くは,司馬遼太郎の「坂の上の雲」の主人公の一人であり,戦前の日本陸軍騎兵隊の創始者といってもよい秋山好古,児童文学作家として有名な灰谷健次郎,柳田民俗学に対抗して,豊富な具体的資料を持って柳田民俗学を超えたとも言われる宮本常一等の人材は,いま述べた師範学校,そして大阪学芸大学が輩出したのです。さらには,11の附属学校園からはiPS細胞の研究でノーベル賞を受賞したことで記憶に新しい山中伸弥京都大学教授をはじめ,幾多の優秀な人材が育ち,社会で活躍しています。

 このことは,大阪が単なる大阪ではなく,「大」大阪と呼ばれて日本全体の物流と人材交流の拠点としての機能を果たしていた時代からの歴史と伝統に基づく成果だと考えることが出来るでしょう。この伝統が今も脈々と地下の伏流水のように君たちの足元を満たし,本学の学生となった君たちの,今後の躍進を約束してくれるよう期待したいものです。
 さて,学部新入生の皆さん,皆さんは本学にどのような期待を抱いているのでしょうか。これまでの本学の活動の多くの部分は,優れた教員を養成し,学校現場で指導的な役割を果たすことのできる人材を送り出すことに向けられてきました。今日ここに出席している皆さんの多くは,これまでの先輩と同じように,教員免許を取得し,将来学校現場で自分が大学で得た知識や経験を生徒たちに伝え,その成長を見守ることを喜びと感じて入学してきたのではないかと思います。それはまさに,本学が師範学校であった時代から,大阪を中心とする関西の教育のために中心となって行ってきた活動です。卒業までの4年間を通じた教育実習の実質化は,学校現場での実践能力の育成を保障するものであり,教科の個別テーマによる卒業論文の作成が象徴する教科指導力の涵養は,学校現場での生徒の学力向上の為に欠くことのできない取り組みです。基幹的な教育大学ならではの本学のこうした教員養成教育の特徴は,学校現場での先輩たちの活躍によってその有効性が認められている,とわたしたちは考えています。皆さんは迷うことなく,教員になるための王道を歩いてください。
 本学は,学校現場で生じている新しい課題,いじめの問題,所謂モンスター・ペアレント対応の問題,小学校における英語教育ニーズの高まりの問題,情報機器の操作と情報モラル,情報セキュリティの問題,こうした様々な課題に教育を通して対応を図っています。

 ところで,皆さんの中には,いまわたしが述べたような志を持つ人ばかりがいるわけではありません。教員免許は取りたいが,自分は教科の教育にとらわれないで,これまでよりも広い視野で物事や現象の背景と意義について学び,探求したい,あるいはもっと進んで,教員免許の取得とは関係なく,教科の枠を超えた専門の勉強がしたいという人がいます。教員養成機関として長い歴史と伝統を持つ本学ですが,二十数年前に特設課程を核とした組織改革を行い,全国の教員養成系大学では唯一の「教養学科」を設置しました。教養学科の特色である国際性,専門重視型のカリキュラムの特色は,教員養成課程で学ぶ皆さんにも学習内容の広がりという点で刺激となっていると考えます。

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 さらに,特別専攻科,大学院にあっては,学部教育の基礎の上により高い専門性を身に着けるための国立大学ならではの少人数専門教育を構築しています。学校現場ばかりではなく,広く社会で将来指導的な立場に立つ人材に育ってほしいと願っています。そうした観点から教員養成の専門性の一層の高度化のために,平成27年4月の開設を目指して,専門職大学院である連合教職大学院を関西大学,近畿大学と共同で設置する準備を進めているところです。
 また,大阪市内環状線の内側にある天王寺キャンパスでは,教員養成系としては全国で唯一の5年制学部夜間コースによる教員養成や,大学院実践学校教育専攻,教養学科大学院の健康科学専攻を展開しています。
 以上の教育課程を,国定公園内にあるおよそ66万平方メートルの自然豊かな柏原キャンパスと,あべのハルカスの足元にあるおよそ5万平方メートルの天王寺都市型キャンパスで展開しています。これらのキャンパスを活用して充実した学生生活をエンジョイしてほしいと思います。
 ここで,本日ご出席の保護者の皆様に申し上げます。本学は,学生の学びこそが将来の社会全体の高度化と発展につながることを確信し,この間さまざまな学生支援に取り組んできました。文部科学省の基準を超える大学独自の授業料の減免措置枠の設定,特別経費による外国派遣への支援,TOEFL受験への広範な補助,体育系を中心とする学生の実績の表彰等,学生のサポートに努めています。将来有為な本学の学生には,しかし,今後さらに様々な面でのサポートが必要であると考えています。教育振興会の活動等を通じて,大学とともに学生をサポートいただくことを期待しています。
 それでは,本日入学した学生諸君が,充実した学生生活を過ごせることを心から念じて,わたしからのあいさつとさせていただきます。本日は,本当に入学おめでとう。