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運用担当部局:広報室広報係

平成31年度入学式式辞

 本日、新たな「令和」時代の幕開けとなる年に、大阪教育大学の学部、そして特別専攻科、大学院へ入学された皆さん、ご入学おめでとうございます。本学の在学生、教職員を代表して、皆さんの入学をお慶びし、歓迎いたします。保護者の皆様におかれましても建学百五十年近くの伝統を有する本学で子弟が学ばれることに意義を感じていただいていることと思います。これまで育み、支えてこられましたご家族の方々をはじめ関係の皆様に、心よりお祝いを申し上げます。
 さて、学部新入生の皆さん、皆さんは大阪教育大学にどのような期待を抱いているのでしょうか。これまでの大阪教育大学の活動の多くは、優れた教員を養成し、学校現場で指導的な役割を果たすことのできる人材を輩出することに向けられてきました。大阪教育大学を卒業して教職に就いた先輩たちの数は十万人に近づきつつあり、そのうちの多くは、大阪を中心とする関西一円で広く活躍し、校長職をはじめ、小学校、中学校、高等学校で指導的な立場として活躍しています。また、各学校を指導する教育委員会においても、最高責任者である教育長の多くは大阪教育大学の出身者で占められています。学校教育に情熱を持ち、教育職を目指す皆さんは、自分の目標が達成されることを信じて、これからの学業に打ち込んでほしいと思います。

栗林澄夫学長

 ところで、皆さんが向き合うことになる日本の教育は、今、その全体が質の確保と高度化へ向けて大きく変化する時期を迎えています。日本の教育の根幹をなす学校教育法の改正、学校現場の教育の方向を規定する学習指導要領の改訂、学校教員の在り方を位置づける教育公務員特例法、さらには国立大学の在り方に変更を迫る国立大学法人法等の改正等が矢継ぎ早に行われ、学力の定義、学習の目標、高等教育の役割等について、これからの社会の在り方を見据えた対応が図られているところです。第二次世界大戦後70年を経て、日本は民主主義による政治体制を定着させ、そのもとでの学校教育を保障し、社会を発展させてきました。しかし、グローバル化が進行する世界にあって、これからの日本はこれまでの教育の基盤を大切にしつつも、広くアジア全体の社会と教育に貢献できる活動が求められることになります。日本の社会の発展に貢献するとともに、国際的にも貢献できる活動と教育が求められているのだと考えることができます。折しも、先日の新元号の決定を受けて、国民の多くが新しい時代に向けた変化の息吹を感じ始めているのではないかと想像します。これからの日本を形作る活動を、皆さんの新鮮な感覚で実行してくださることを期待しています。

式典の様子

 皆さんが入学された大阪教育大学は、そのルーツをたどりますと、1874年(明治7年)に「教員伝習所」として産声をあげ、翌年の1875年(明治8年)に、本日入学式を挙行しているこの中之島の地に「大阪府師範学校」として学舎を設立することになりました。私たちが現在入学式を行っているこの地でスタートした「大阪府師範学校」と、池田の師範学校、平野の女子師範学校が、本学の母体として終戦に至るまで、大阪の教育に中心的な役割を担ってきました。現在でも附属学校は天王寺地区、池田地区、平野地区で教育活動を展開していて、附属学校園は合計で11校園にも上ります。

 そうした長い歴史の上に三つの師範学校を統合して、戦後1949年(昭和24年)に新たに発足した組織は、新制大学として「大阪学芸大学」という名称に生まれ変わりました。さらに、1967年(昭和42年)に「大阪教育大学」へと学名を変更し、現在に至っています。
 前身の時代をも含めてこの間、本学からは多くの俊秀の人材が巣立ってゆきました。古くは、司馬遼太郎の「坂の上の雲」の主人公の一人であり、戦前の日本陸軍騎兵隊の創始者といってもよい秋山好古、児童文学作家として有名な灰谷健次郎、また、柳田民俗学に対抗して、豊富な具体的資料を持って柳田民俗学を超えたとも言われる宮本常一などの人材は、いま述べた師範学校、そして大阪学芸大学が輩出した人材です。さらには、11の附属学校園からは、IPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大学教授や、幾多の優秀な政治家や官僚の人たちが育ち、社会で活躍しています。
 このことは、大阪が「大」大阪と呼ばれて日本全体の物流と人材交流の拠点としての機能を果たしていた時代からの歴史と伝統に基づく成果だと考えることができるでしょう。この伝統が今も脈々と地下の伏流水のように皆さんの足元を満たし、大阪教育大学の学生としての皆さんの今後の躍進を約束してくれるよう期待したいと思います。

 また、教員養成機関として長い歴史と伝統を持つ大阪教育大学ですが、二十数年前に特設課程を核とした組織改革を行い、全国の教員養成系大学では唯一の「教養学科」を設置しました。しかし、教員養成を医学部や工学部の人材育成と並ぶ専門職に位置づけ、養成のための基準の充実を図るべきだとする中央教育審議会や文部科学省の意見を参考に、教養学科の特色である国際性、専門のカリキュラムの特色を一部残しつつ、教育現場の課題にアドバイスし、サポートできる人材を育成できる教育協働学科を、平成29年度に新たに立ち上げました。広く高い視点から、学校を中心とする社会の様々な課題に対して支援できる人材が育ってくれることと期待しています。この学科の教授陣は教員養成のための教養教育も担当することになるため、教員養成で学ぶ学生の皆さんにも、学習内容の広がりという点で刺激となると考えています。

新入生代表から宣誓書を受け取る栗林学長

 さらに、特別専攻科、大学院にあっては、学部教育の基礎の上により高い専門性を身につけるための、国立大学ならではの少人数専門教育を構築しています。学校現場ばかりではなく、広く社会で将来指導的な立場に立つ人材に育ってほしいと願っています。そうした観点から、教員養成の実践性の一層の高度化を目的として、平成27年度から専門職大学院である連合教職大学院を、関西大学、近畿大学と共同で設置しました。しかし社会が急激に変化していく中で、専門以外の教科や教職を深く理解し、複雑化する社会のさまざまな問題に対応できる高度な人材を求めるニーズに対応するため、今年度より教育学研究科と一体的な大学院に拡充しました。地元教育委員会との連携を密にして、地域の教育を牽引する教員を養成します。学校現場のニーズに専門的な立場から対応できる能力を一日も早く身につけて、指導的な役割を果たしてくれることを期待しています。
 また、大阪環状線の内側にある天王寺キャンパスでは、新たに初等教育教員養成課程を設置するとともに、教員養成系としては全国で唯一の5年制学部夜間コースによる教員養成、教職大学院の2つのコース及び夜間開講の健康科学専攻といった大学院教育を展開しています。
 以上の教育課程を大阪教育大学は、国定公園内にあるおよそ66万平方メートルの自然豊かな柏原キャンパスと、あべのハルカスの足元にある5万1千平方メートルの天王寺都市型キャンパスで展開しています。これらのキャンパスを活用して、充実した学生生活をエンジョイしてほしいと思います。失敗を恐れず、人生の中で二度とめぐってはこないであろうこの貴重な時期を、自己実現と自己の確立の為に有効に過ごしていただくように強く期待いたします。
 ここで、本日ご出席の保護者の皆様に申し上げます。大阪教育大学は、学生の学びこそが将来の社会全体の高度化と発展につながることを確信し、さまざまな学生支援に取り組んできました。文部科学省の基準をはるかに超える大学独自の授業料の減免措置枠の設定、特別経費による外国派遣への支援、体育系を中心とする学生の実績の表彰等、学生のサポートに努めてきています。将来有為な本学の学生には、しかし、今後さらに様々な面でのサポートや支援が必要であると考えています。教育振興会や同窓会の活動等を通じて、大学とともに学生をサポートいただくことを期待しています。
 それでは、本日入学した学生諸君が、充実した学生生活を過ごせることを心から念じて、私からの挨拶とさせていただきます。本日は、本当に入学おめでとう。