•  
  •  
    学長対談「先端技術を活用した新たな学びの実現~GIGAスクール構想のその先へ~」(1/2)
Facebook 大阪教育大学ページ YouTube OKUChannel Instagram 大阪教育大学 twitter 大阪教育大学
運用担当部局:広報室

学長対談「先端技術を活用した新たな学びの実現~GIGAスクール構想のその先へ~」(1/2)

*

「先端技術を活用した新たな学び」の実現が求められる中、GIGAスクール構想の前倒しにより児童生徒一人一台端末の整備が2021年度から実現することとなりました。今後、指導者用デジタル教科書とともに学習者用デジタル教科書を広く活用することが予想される中、教員養成段階でICTを活用した授業を実践することが求められるなど、教員のICT活用指導力を向上させることが重要となっています。児童生徒一人一台端末が整備された後、「どのような学びが実現するのか、また、教員養成の在り方はどう変わるのか」、大阪教育大学の栗林学長と東京書籍株式会社の川瀬顧問が対談しました。

※本対談は2020年12月15日、柏原キャンパス附属図書館「東京書籍Edu Studio」において執り行われました。なお、対談はパーティションを隔てて行い、写真撮影時のみ一時的にパーティションを取り払っております。

 

栗林澄夫
大阪教育大学長

【略歴】
富山大学文理学部卒、大阪大学大学院文学研究科修士課程修了、文学修士。大阪教育大学理事・副学長を経て現職。昭和23年生まれ、72歳。

川瀬徹
東京書籍株式会社 顧問

【略歴】
1981年に東京書籍株式会社に入社。
主にICT事業に関わり、ICT事業本部 第一営業部 部長、取締役 教育文化局次長などを経て現職。一般社団法人日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)の常任理事、公益財団法人学習情報研究センターの理事、日本視聴覚教具連合会の理事としても活動。昭和32年生まれ、63歳。

 

ネーミングライツに関する協定の締結と東京書籍Edu Studio の設置について

*

栗林 東京書籍株式会社様には、2020年4月に本学と包括連携協定を締結、続けて9月にネーミングライツに関する協定を締結し、本学の附属図書館に「東京書籍Edu Studio」を設置していただきました。このEdu Studio には、自由に利用できる「デジタル教科書体験コーナー」や「教科書ライブラリー」が設置されているわけですが、この取組の理念についてどのように考えていらっしゃるかお教えください。
 また、2018年に、紙媒体の教科書に加えてデジタル教科書の併用を認める法改正が行われましたが、この点について、今回のネーミングライツに関する協定の締結をきっかけに、どのような取組を進めていこうとしているか、この件についてもお聞かせください。

川瀬 法改正の趣旨である学校現場でのデジタル教科書の導入にあたって、文部科学省は2019年12月頃に一人一台端末の構想を打ち出して、2020年に入ってから新型コロナウイルス感染症の流行による学校の閉鎖で、オンラインでの授業が実施できる環境が必要となり、PC等の情報端末や校内LANの整備を進める「GIGAスクール構想」が一気に前倒しされました。

 じゃあ、次は何が必要とされるかを考えた時に、我々のデジタル教科書だろうと考えました。そんな折に貴学と包括連携及びネーミングライツに関する協定を締結しましたので、学生さんが教育実習に行かれた時や教員になった際に困らないようにデジタル教科書に慣れてくれたらと思い、体験できるライセンスと設備を提供したいと考えました。それが「東京書籍Edu Studio」です。

児童一人一台端末が整備された後の教育及び教員養成の在り方とは

栗林 おっしゃられたように、児童一人一台端末の環境が整った後、次のステップとしてデジタル教科書をどのように活用するのかという話に移ってくると思います。さらに、それらをどう使って、学習内容をどのように組み立てていったらいいのか、これは教員の課題でもあろうかと思います。それらの課題解決に向けて、今後どのように進んでいくのが望ましいのか。もちろん、国と大学が一体的に進むことは本来のめざすところですが、現実に今、情報端末と校内LANが先に提供されたという中で、教員養成の役割をどう考えればいいのか。それから日本における教科書発行のリーディングカンパニーである東京書籍としては、今後の展開についてどのようにお考えなのか教えていただけますか。

*

映し出した資料を使って説明する川瀬顧問(右)

川瀬 ご指摘の点は非常に大きな課題だと、我々も思っています。学習者用デジタル教科書の前には、指導者用のデジタル教科書がありました。この指導者用のデジタル教科書は、先生のコントロール下にありましたので、特に授業での取り扱いが難しくありませんでした。しかし次は、子どもの方の情報端末にデジタル教科書が入ってきます。また、文部科学省も主体的・対話的で深い学びを重要視しており、主体的・対話的で深い学びとは、子どもが主体的に学ぶ授業に変わっていくことだと思います。そうすると、先生がいわゆる「教える」というよりも、その子が学んでいくのをうまくサポートすることにより、自主的に学ぶ中で、迷いや疑問が出てきたときに先生がうまく導いてあげる、そういう「ファシリテーター」のような役割になってくるのだろうと思います。そうならないと、子どもたちが学習を自ら進めていくことができないし、それらの学習形態を認めるように先生方の意識改革も進めていく必要があるかと思います。

栗林 今ご指摘いただいた点は非常に重要で、主体的・対話的で深い学びを実現するために、教員の役割や学習形態の転換期に直面しているのだと思います。デジタル教科書は便利で、しかもその視認性の面から言えば、理解も促進してくれる側面があるかと思います。そのデジタル教科書を、子どもが考える力を自ら身につけていくための道具として考えた場合には、どういう特徴があると言えるでしょうか。

川瀬 学習者用デジタル教科書になると、子どもが勝手に使い出す可能性もあるので、ある程度親切に作る必要があります。また、知識としては教えたけど、子どもの身についていないと困るので、学習内容を習得するためのドリル演習のようなものも用意しなくてはいけません。そういう点では、学習者用と指導者用のデジタル教科書の作り方も違うし、子どもが深く考え、この問題はこの先どうなるのかと気になったとき、その説明が後から出てくるとか、発展的な教材が出てくれるとか、子どもの要求に対して応えられるようにする必要があるかなと思います。

 

※掲載内容は取材当時(2020年12月)のものです。
※広報誌「TenYou ―天遊―」特別号掲載→本誌はこちら(PDF 2,410KB)
広報誌「TenYou ―天遊―」のページから、最新号・バックナンバーをご覧いただけます。