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運用担当部局:広報室広報係

学長対談「いま求められている教育とは、教育者とは」(2/2)

いまの日本はグローバル化の大きな波にもまれ、国内に目を転じれば、少子高齢化、経済の停滞、地方都市の消滅の可能性までが言われる多難な時代を迎えています。
このような状況の中で次の世代を担う教師をどう育成するのか、東京学芸大学の出口利定学長と大阪教育大学の栗林澄夫学長にお聞きしました。

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教員養成大学の叡智を次世代の教育に生かす大学間の連携、教育のモデル作り

栗林:大阪教育大学では、HATOプロジェクト※1、京阪奈のプロジェクト※2などに取り組んでいます。こうしたプロジェクトで教員養成大学の共通のプラットホームを作ることが重要だと考えています。

車で言えば、車台のようなものです。車台は同じでも、上に載せるボディーによっていろいろな車ができますが、それと同じで教員養成大学が自らの工夫で、現場から解決が必要になっているような共通の課題に対する解答を導き出せれば、プラットホーム化できると考えています。それを基盤としてそれぞれの教員養成大学が、それぞれの車を作ればいいのです。大阪教育大学は教員の国際化や学校安全のプログラムを担当してきました。あとは、理科教育について、「コアサイエンスティーチャー」やポスドクで教師をめざしたいという「高度理系教員養成プログラム」も進めています。今年、関西の3大学で作った教職大学院も同じで、単独でつくる以上に内容のある大学院にしていきたいと考えています。

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出口:東京学芸大学では5月に「次世代教育研究推進機構」プロジェクト※3をスタートさせました。世界で日本型の教育は注目され、日本の教師の質の高さも認められています。このプロジェクトでは、そうした日本の優れた授業実践や授業研究を記
録・映像化して収集・分析し、アクティブラーニングを含む授業のあり方と授業研究をモデル化し、OECDを通じて日本型の授業モデルとして世界に発信していくことをめざしています。まずは本学附属学校で行っている授業などを映像化し分析することに着手しました。これらの研究成果は、大学における教員養成に生かしていくとともに、次の学習指導要領改訂への提言として活用することも視野に入れています。

高校の先生の影響力は大きい教科教育を通じて、全人教育を

出口:大学受験で問われる知識というのは、大学に入ってからも役に立つものです。生徒たちに、今学んでいるのは決して受験のためだけではなく、それが将来必ず役に立つことを伝えてほしいと思います。人生の中で一番人から影響を受けたのはどの時代だったかという調査で、回答が最も多かったのが高校時代で、高校の先生からというものでした。それほど高校の先生というのは、生徒に影響を与える存在です。成長していく中で、保護者以外で最も身近な存在として関わる大人が高校の先生方ですから、人生に与える影響が大きいということを再認識して、生徒たちと向き合っていってほしいです。
栗林:担任の先生は、生徒の学習状況や課外活動をトータルに見て、また、それぞれの教科担当の先生は教科を通じて生徒の育成を行っていらっしゃると思います。教科の基礎的な力はもちろん非常に重要ですが、あまりに教科の細部にとらわれるのではなく、全人的な力、国際的にも通用するような人間として確たる判断力をもって行動できる力を育ててほしいです。全人的な力の源となるような判断力や協働の力を、それぞれの教科を通しながらも、生徒に目配りをいただけるとありがたいと思っています。

平成27年6月現在

※1 北海道教育大学(H)、愛知教育大学(A)、東京学芸大学(T)、大阪教育大学(O)を中心に、教員養成教育が共通して抱える諸課題を協働で解決できる体制を整備するとともに、全国の教員養成系大学・学部とのネットワーク化を図り、日本における教員養成の高度化支援システムを構築する手間のプロジェクト。
※2 京阪奈三教育大学連携事業で、大阪教育大学が教員養成の高度化、京都教育大学が教職キャリアの高度化、奈良教育大学がICT活用を中心とする次世代教員養成の高度化と役割を分担するとともに、各大学に連携拠点センターを置いて京都・大阪・奈良3地域で連携していこうというプロジェクト。
※3 今後、子どもたちに必要となる資質・能力を育むための新たな教育モデル『新たな教育モデル2030』を、OECDと日本が協力して作ろうというプロジェクト。世界的なレベルで、子どもたちに必要な力を考え、世界共通の学習のスタイルの構築をめざす。

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(フロムページ『教育人会議』2015年秋号掲載)
※掲載内容は取材当時(2015年6月)のものです。