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運用担当部局:広報室広報係
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 「お金を払ってでも、今の仕事をやりたい。それぐらい楽しい。そういう仕事に出会えたのは大教大のおかげ」と語るのは、堺市職員・言語聴覚士の花家薫さん。
 フィールドワークが多かったのが、所属した保健行動学ゼミの特徴でした。「一人で入浴するのが難しい方の介助などを担っていた保健師の方に同行し、手伝いながらアンケートをとって研究していました」。指導教員だった故柳井勉先生は、もともと兵庫県庁で子どもの健康に関する仕事をしていた行政マン。「先生の生き方にすごく影響を受けて、行政機関で働きたいと思いました」
 そんな時に実習先で、言語に障がいがあり、上手に話すことができない人と出会います。「相手の意図が汲み取れずにいると、突然『アホ』と言われたんです。なぜ話せないのにアホだけは言えるんだろうと不思議でした」。そこから言語のリハビリに興味を持ち、言語聴覚士という資格があると知りました。言語聴覚士とは、言語や聴覚の障がい、言葉の発達の遅れ、声や発音の障がい、嚥下障がいなどの原因を見つけ、対処法を探し、訓練や指導を行う専門職です。「一般の行政職だと、どこに配属されるかわからない。でもこの資格があれば、ピンポイントで健康分野にいけるかもと思いました」

花家薫さん

 

 大学卒業後、専門学校に2年通い、言語聴覚士の国家資格を取得。「専門学校では知識を叩き込まれましたが、それだけでは人間としての幅がでず、患者さんとうまく接することができない。大学で実習やボランティアを通してコミュニケーション力を培った上で知識を得たというのが良かった」。遠回りではなかったと振り返ります。
 その後3年間の病院勤務を経て、堺市役所に行政リハビリ職として採用されます。最初はリハビリ教室の開催や、外出に付き添うボランティアの養成に取り組みました。10年程たった頃からは、患者を直接支援するよりも、条例の制定など行政職の色が強い仕事が増えていきます。「もともと個別支援より、施策にかかわりたかった。制度を作ることで、85万人の市民がもっと生き生きと暮らせるようになる。人がより良く生きるとはどういうことか、毎日考えています」

 政策作りに携わっていく中で、もっと専門職の視点をいかせる武器が欲しいと、本学大学院教育学研究科健康科学専攻で修士号を取得しました。「例えば事業を評価する時、参加者数とかではなくきちんと統計学を使って評価ができます、と言えるようになりたかった」。夜間大学院には、職種も経歴もさまざまな社会人が集まっていました。「相互に学び合う、とてもいい環境でした。大学院での交流が縁で、看護専門学校に教えに行ったこともあります」
 現在取り組んでいるのは、介護サービスの充実や高齢者の生きがい作りなど、高齢者を地域全体で支える仕組み作り。病院や介護施設、NPOなど、地域のさまざまな機関が連携してサービスを提供していくことをめざしています。それに向け、条例文の作成や関係機関との調整に奔走する毎日です。

 仕事と並行して、神戸大学大学院保健学研究科の博士課程に通っています。言語聴覚士としての専門的な仕事が減ったため、自身の専門に特化した研究をしようと進学しました。「食べ物を飲み込む力を喉の動きから測定するキットの研究をしています。実用化できれば、レントゲンを撮る必要がなくなり、被ばくなど患者さんの負担が減ります」。睡眠時間を削ってでも仕事と研究どちらもやりたい、どちらかだけでは物足りないと笑います。
 「自分の目で見て、体験して、それを自分の言葉で話す。学生時代の学びが、今の私を形づくっています」。大教生にも外に出て実践から大いに学んでほしいと期待を寄せています。

堺市役所前の写真

 

(2018年4月取材)

※掲載内容はすべて取材当時のものです。