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運用担当部局:広報室
多文化フィールドワーク グローバル教育部門・高山新教授

 「それでは前回に引き続き、班に分かれて『龍田古道・亀の瀬』(*)の活用方法を考えていきましょう」と、グローバル教育部門の高山新教授はZoom上で話し始めます。

(*)「龍田古道・亀の瀬」:「亀の瀬」は、奈良と大阪の国境に位置し、奈良盆地の水を一手に集める渓谷地帯。そこは、4万年前から地すべりが繰り返されてきた難所でありながら、古代より都の西の玄関口として交通・経済・治水を支えてきた心臓部。「龍田古道」は、「亀の瀬」を含めた大和川に沿った山越えの道で、都の発展とともに整備されてきた交通網。2020年に日本遺産に認定。(Adless 大阪府柏原市安堂町・奈良県生駒郡三郷町)
Zoom上でグループワークを行う様子

 この「多文化フィールドワーク」では、まず統計書等の地域に関する資料の読み方や活用方法について学びながら、柏原キャンパスが位置する大阪府柏原市について理解を深めていきます。そしてそこで得た知識をベースにしながら、地域の抱える課題の解決策をみんなで議論して考え、提言策定を通じて、まちづくりに携わることを経験します。2018年から始まったこの授業で、学生から提言された政策のいくつかは、実際に柏原市で取り入れられる計画もある、とのこと。
 今年度の授業では、2020年に日本遺産に指定された「龍田古道・亀の瀬」をより多くの人に知ってもらい、訪れてもらうためにはどうすればいいか、その活用をテーマに取り組みます。

授業ではまずこの場所の理解を深めるために、国土交通省近畿地方整備局大和川河川事務所建設専門官の方から大和川や亀の瀬の地すべりについて、そして柏原市歴史資料館館長から「龍田古道・亀の瀬」の歴史的背景についてお話をいただきました。
 しかし、ただアイデアを出して、と言っても簡単に出るわけではありません。高山先生は「様々な情報を組み合わせて、結び付けていく」「『昔』を『古(いにしえ)』といったように、言い方を変えてみる」「資料等から知識を得て、議論のための材料や要素を増やす」「ときには題材を忘れて雑談する」などのアイデアを出すためのコツを紹介します。

 その後、学生たちはZoomのブレイクアウトルームで班に分かれて、議論を重ねていきます。ある班では、ターゲット層に視点を置いて、「外国人向けには桜や紅葉をアピールするのはどうかな」「花のアーチを作ってライトアップすれば、若者向けのインスタ映えスポットになるよ」と議論を展開します。
 また別の班では、既存の要素を上手く活用できないか、という視点で「急な斜面はボルダリングに」「登った後はフリーフォールで降下」「それぞれをストーリーで繋げて、脱出ゲームのようにするのはどうか」「トンネルをカプセルホテルにするのはどう?」と大盛り上がりです。

Zoom上で柏原市職員に質問をする様子

 

 そのほかにも、「ハングライダー」や「マウンテンバイク」などの地形を活かしたスポーツの導入を検討する班、交通アクセス面にも注目する班、訪れる人が増えた際の環境問題などの課題点について話し合う班など、多種多様な視点で議論が深められていきます。中には、歴史的に見て地すべりがあったエリアとそうでないエリアでアクティビティを変えるなど、リスクを考慮した検討を進める班もあります。
 講義には柏原市役所の企画調整課の職員の方も毎回参加しています。職員の方もブレイクアウトルームで各班を回り、質問を受けたり、その場でアドバイスや意見交換をしたりして学生と交流していただきます。この点もこの授業の特徴です。

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 高山先生は、この授業は大きく4つのパートで構成されているのだと言います。「1つ目は、市の統計書や住民アンケートなどを見て、調べて、自分なりに地域を知ること。2つ目は、『地域』という世界で生きていくうえで、頼りになる役所のことを知ること。3つ目は、色んな人の色んな意見を聞いて、自分が知らない世界を知ること。4つ目は、地域の課題に対して、限られた資源や決められたルールの中でその対応を考えることで、まちづくりに携わるという感覚を知ること。そして、それらを通して学生には、まちづくりは『住民が主人公』なんだということを実感し、自分が住む地域のまちづくりに関心を持つような住民になってほしい」

 学生たちは引き続き、「龍田古道・亀の瀬」のことを調べ、他者の意見を繋ぎ合わせながら活用方法を話し合い、最後の授業での政策提言に向かって、まちづくりに挑戦していきます。

【授業DATA】
対 象 学 年 :学部2回生
主な対象学生:教育協働学科グローバル教育専攻
開 講 期 :2021年度前期 水曜2限
 

(2021年6月取材)

※掲載内容はすべて取材当時のものです。