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    安全教育の新基軸 セーフティプロモーションスクール(SPS)
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運用担当部局:広報室広報係

安全教育の新基軸 セーフティプロモーションスクール(SPS)(2/2)

チーム学校はどのように機能するのでしょうか?

7つの指標に基づくPDCASサイクル(図2)で動いていきます。「計画」を立て、「実践」に移し、「改善」するのは、学校安全コーディ
ネーターを中心とした学校ですが、「計画」「共有」に地域アドバイザーの声を反映することで、地域が一体となって学校安全に取り組み、ひいては地域安全に結びつくことになります。とりわけ「共有」が重要で、過去10年間の学校での死亡・事故例700件のヒアリング調査でも、その教訓が学校内でしか共有されていないケースが多く、今後は、活動の成果を地域関係者に広く発信していくことが求められます。安全を築くには,過去の教訓を生かすことが大事で、そのためにどうするかということを皆で共有し、考えていくことが必要です。

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「実践」では、具体的にどんな取り組みが展開されていますか?

避難訓練でいうと、東日本大震災前の東北の学校では、例年6月に実施している所が多かった。しかし、地震が起こった3月は雪まじりの雨が降り、肌寒く、足元はぬかるみ、避難が迅速に進みませんでした。このような教訓を踏まえ、毎年季節を変えたローテーションを考えてもらいます。また、学校自体が避難所に指定されている場合は、地域の人にも訓練への参加を求め、自治会の年間計画ともすり合わせます。もっと身近なものでは、遊具点検などの安全点検を、教員の目視だけでなく実際に使って確かめます。それでも慣れると気づきの力が低下しますので、教員間でローテーションを回したり、保護者の目を入れたりという工夫をしています。また、大人だけでなく、子どもに気づきの力を養わせることも対策の上で大事なことです。

SPS認証はどういった手順を踏むのでしょうか?

認証希望校は、本センターが統括する日本SPS協議会の事務局である、日本SPS理事会に活動申請を提出し、SPSの推薦委員の指導・助言に基づき、活動を進めます。活動実績が1年を超え、認証申請の手続きを踏み、実地審査に合格すれば、SPS協議会への推薦を経て3年間有効の認証が交付されます(図3)。附属池田小学校を筆頭に、附属池田中学校、台東区立金竜小学校(東京都)の3校がすでに認証済みで、京都市立養徳小学校が正式に認証活動に取り組んでいます。このほか、高知県の3校、宮城県の18校が認証に向けた動きを見せています。いずれも、過去に事件や災害が発生した学校・地域で、事故の風化を防ぎ、教訓を生かしていこうという気概が感じられます。

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また、首相や文部科学大臣をはじめとする政府、国会でもこの制度を高く評価し、活動を支持する旨の答弁を得ており、今後は6か年で50校まで認定を増やす計画です。

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海外展開の可能性は?

指標はその国の風土に合わせつつ、生活・災害・交通という日本独自の概念を広めていきます。特に東アジアは、地震・水害など災害の種類が共通しているので、親和性も高い。すでに、中国の華東師範大学の研究所と協定を結んでおり、北京の中国教育科学研究院とも協定に向けた手続きを進めています。台湾も関心を示しており、まずはアジア太平洋地域での普及をめざします。

SPSは今後どう発展していくのでしょうか?

安全教育の場は学校だけではありません。SPSの掲げるチーム学校は、地域の人々が相互に働きあい、持続可能なシステムを作ることも使命です。災害により学校が避難所となった際、自治会は高齢者が多く、設営や物資の運搬をするのは体力的に難しい。そこで、若い親世代に活躍の場が出てきます。子どもたちも、普段お世話になっている安全指導員のおじいさん、おばあさんにかわって、自分の両親が汗を流している姿を見ることで、大人を、地域を信頼するようになるのです。そして、20年後には、子どもたちが大人になり、親となって、安全の担い手となる。地域を守るそのバトンを次世代につなぐことが、SPSのめざす道なのです。

※2 学校安全コーディネーター資格
教員であることが必要条件で、同センター主催の安全主任講習会、もしくは、教育研修センター主催の学校安全コースを受講し、さらに安全コーディネーター研修を受講することで認定される。

 

(広報誌「天遊」vol.35掲載)
※掲載内容は取材当時(2015年8月)のものです。