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運用担当部局:広報室広報係
大学院教育学研究科学校教育専攻 2回生 阿部海渡さん

 「『教える』という仕事を通じて、子どもの成長を支えることができる人になりたい」と阿部海渡さん。
 高校生の時にオーストラリアに行き、科学が好きな世界中の高校生が集まって実験や議論をするプログラムに参加しました。「議論のテーマは、『科学者は、広島・長崎の原爆投下を防げたか』。みんながいろんな意見を出す中、私は何も言えませんでした」。何より悔しかったのは、原爆の悲劇を科学の視点で考えたことがなかったこと。「日本の外には、同い年でも全然違うことを考えて頑張っている人がいる」と、衝撃を受けます。英語の勉強を続け、今度はアメリカ人高校生との国際交流プログラムに参加。「自分で考え、結論をはっきりと言葉にする喜びを感じた」。この経験を機に、アメリカの大学で学ぶことを決めます。
  「視野が広がりすぎて、頭がおかしくなりそうだった」アメリカでの大学生活は、幸せだったと同時に、恵まれすぎているとも感じていました。「みんな高額な学費を払ってもらって、生活の心配もなくひたすら理想を語る日々。議論は楽しかったですが、社会とどう関わればいいのか分からず、悩みました」

インタビューにこたえる阿部さん

 卒業後帰国し、アルバイトをしながら、中学生時代の恩師である兵庫県立大学・竹内和雄准教授の講演会について回ります。竹内准教授は、子どものインターネットやスマートフォンのトラブル予防に関する研究の第一人者。一緒に活動するうちに、子どもと触れあう面白さに興味を持ちます。「特に面白いのは、子どもたちの価値観が、社会の変化とつながっていること。刻一刻と変わる社会情勢にあわせて、子どもが直面する問題もどんどん複雑になっている。しかも子どもはそれぞれ個性があり、抱える事情も違う。画一的な見方では理解できない現状があると知りました」。そんな子どもたちに寄り添いたいと、教員になることを決意。子どもを通じて、保護者や地域などに繋がりが広がることにも興味をひかれました。

 本学大学院へ進学し、学校教育講座・水野治久教授の研究室に所属します。「先生は毎週学校に足を運び、現場が抱える問題を解決しようと尽力されています。学会で活躍しながらも、困っている子どもやその周りの大人たちへの支援を続けている。本当に尊敬しているし、目標とする存在です」と語ります。

 今年の夏には、日米の高校生がインターネット上でのいじめについて考える「<関西―アリゾナ>ネットいじめ予防会議交流プログラム」を、水野教授や本学初等教育講座の戸田有一教授らのもとで実施しました。日米の高校生18人が、世界共通の問題であるネットいじめを減らすための取り組みを紹介しあい、意見を交換。8か月間テレビ会議で交流し、その後アメリカの高校生が日本へ、日本の高校生がアメリカへそれぞれ訪問しました。「だんだん打ち解けて、自主的に経験を語り出し、大人の力を借りずに思いを共有し学び合う姿を見た時は感動しました」。プログラム実現のために、アメリカ大使館への助成金申請や、クラウドファンディングでの資金集めにも奔走しました。「プログラムを通して、広い社会の中で活動することの難しさと醍醐味を感じました」

アメリカの高校生が日本を訪れた様子

 今取り組んでいるのは、困っている時に助けを求める行動「援助要請」についての研究です。「悩みがあっても、相手が気を悪くするかもと考えるなど、いろんな理由から助けを求められない子どもがいる。特にインターネットの問題は大人には理解しにくいことも多く、子どもも助けを求めにくい」。中でもSNSでの出会いから起こるトラブルや犯罪被害に着目しています。
 「子どもの頃から好奇心が強い。その分飽きっぽい」と笑う阿部さん。「現状に納得がいかない時は、新しい視点から現状を再評価し、もう一回やってみます」。行動力の源は、あふれる好奇心と情熱、冷静な現状分析にあるようです。

 

(2018年11月取材)

※掲載内容はすべて取材当時のものです。