携帯ウェブサイト
運用担当部局:広報室広報係

キャリアデザイン授業で,北海道農業の取り組みから人の導き方を学ぶ

 キャリアデザイン授業「働き方・働く人ライブ1」が,11月11日(水)に柏原キャンパスで開催され,北海道庁農政部の菊池一史主査と網走農業改良普及センターの山田聡専門普及指導員が,ともに公務員という立場から,北海道における農村振興に向けた取り組みを講演しました。はじめに,菊池氏が北海道農業の特徴や農産物の国内シェアを解説。続いて山田氏が,酪農家や農村が抱える課題を様々な視点・アプローチによって解決に導いていく『普及指導員』の仕事と魅力を紹介しました。
 厳しい農業情勢の中で,山田氏が指導にあたる湧別町では,「大規模経営だけでなく中小規模や苦しい経営も生き残れる地域にしたい」と,17人の有志が株式会社を設立し,TMRセンターと呼ばれる牛の給食センターを平成24年にスタートさせました。2,700頭の牛の栄養管理と17戸の経営改善・法人の運営支援を担う山田氏は,「健康的な乳牛管理の土台として土・草づくりが重要」と考え,農家の後継者や女性,農協職員,TMRセンター従業員,運送会社社員など様々な人・世代の意識改革に取り組みました。
 山田氏は農家が抱える課題の本質を分析し,その解決策を地域の優れた経営の研究からマニュアル化して普及を図りました。さらに,山田氏が中心となる関係機関のチームが育てたモデル農家も,助言者として活用し,課題ごとの指導力を高めることで技術の普及と定着を図りました。このほか,各農家の乳量や経営データも山田氏がまとめ,会社の掲示板やFAX情報として全戸に対し定期的に情報発信することで,競争意欲やモチベーション向上を図りました。
 一般的に農作業の外部委託には,そのコストに応じて規模拡大が求められます。しかし「高品質な自給飼料確保」と「健康的な乳牛管理」の両立によって,規模拡大を一切していない中で「農業所得30%増」「全戸の経営が黒字転換」といった成果をわずか3年で実現しました。全国でもまれに見る快挙にもかかわらず,山田氏は,「今後も農家の皆さんの声をしっかりと受け止めて課題解決をサポートし,頑張っている人が周囲から輝いて見える地域づくりを目指したい」と謙虚に語りました。
 出席した学生からは,「農業を,こんなにもクリエイティブに考えて活動している人々がいることに驚いた」「指導してきたことをモデル農家が自身の経験を踏まえて,自らの言葉で新たな相談者に話すようになったことや,その手法が印象に残った」「様々な工夫や努力のおかげで美味しく安全な食物を口にできているのだと実感した」「アクティブに活動し,着実にステップを踏みながら仕事をしていて,公務員に持っていた印象が変わりました」などの感想が寄せられました。

*
*
*
*

[左上写真]北海道庁の菊池一史氏(左)と山田聡氏
[右上写真]山田氏の講演を聞く約90人の学生
[左下写真]牧草と雑草の見分け方を若手農家に指導する様子
[右下写真]仲間の牧場を訪れての成果共有

(広報室)