エッセイ

高等学校
2020/11/05
「学級通信最終号」

58歳で教員を辞めた時、第2の人生を送ろうと考え教員時代の書籍、書類などすべて処分しました。ところが3年前に家のリホームをするため片付けをしていた所、書類の入ったファイルが書棚に残っていました。中を見ると、現役時代に出していた学級通信でした。

高校新入生を受け持って、1年間の最後に出した最終号です。生徒の声がたくさん載っています。読み進めると、夢中になって取り組んでいた当時のことがあれこれ思い浮かんできます。キャンプ、文化祭、運動会など行事への取り組みやクラスの問題が起こると班長会やクラス総会で何回も話し合いました。時には子どもに当たり、子どもに要求し、共に笑い、泣いた日々が懐かしく思い出されます。子どもを指導しながら、子供からまた、職場の先輩、同僚からたくさんの事を学ばせてもらいました。その時の生徒の声を紹介します。

~一年間を振り返って~

「私は、この1年間いろいろなことを学んだと思います。一番むずかしかった事は、人間関係です。弱い子を強い子がおしつぶし、いままで弱い子を救おうと、クラスの仲間が元気づけて支えてきました。私はそんなクラスがすごいと思ったし、それが本当の仲間なんだと思う事ができました。今まで仲間というのは、励ましあい協力しあい支えていくいものだと思いました。それも、決して間違いではないけれど、もっと大切なものに気がつきました。それは、救う事だと思うのです。そして行動に移すことが出来なければ本当の意味の救うとは、言えないのではないかと思います。」

「私は学校をたくさん休んでしまって、クラスの人、先生、親にいっぱい迷惑をかけてしまって、そして、停学になって今までどうしてそんなことをしてたのかがよく分かって、それからは学校もしっかり来てやるようになりました。このクラスになったから、私はしっかりなれたんだと思います。クラスの人も、私のことを心配してくれて、見捨てないでいたことが本当にいちばんうれしい。」

今思い返すと、子供たちのためにどこまで指導出来たか考えると恥ずかしい限りですが、自分にとって大切な記録です。何か活かせることはないかと思いつつ手元に保存して、時々読み返していました。コロナ禍と異常気象が続く中、教師を目指す皆様が健康のうちに勉学に励まれ、活躍される事を願っています。