新学年が始まってから既に2ヶ月が経過し、3ヶ月目に入っても新型コロナウイルスが世界で猛威を振るい、多くの国で感染による病人や死者の数が増大していることから、日本の社会においても現在の警戒を解くことがまだできません。初等教育、中等教育を実施している学校を始めとして、高等教育機関である大学の教育も大きな犠牲を強いられてきました。これまでの経緯を大まかに振り返ってみましょう。
 昨年末以来の中国における新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて、日本政府は、今年1月28日にこの感染症を指定感染症とする政令を閣議決定しました。さらに2月に入ってから中国から帰国した児童生徒への対応について相次いで指示を行い、2月28日には、全ての初等教育学校、中等教育学校について、特別支援学校をも含めて一斉に臨時休業することを文部科学省が通知によって指示しました。
 本学は、こうした急速な変化に対応し、2月19日に注意喚起の第一報を発出するとともに、2月27日には、学長・危機管理本部長名による、危機対応の第二報を学内に呼びかけ、2月28日に附属学校の休校措置を政府決定に呼応して指示いたしました。そして、閣議決定を受けた大阪府が3月16日に府立学校全体の暫定的臨時休業を提示、3月24日には文部科学省が追加して学校を再開するとした場合の条件提示を行い、4月3日には大阪府が府立学校の引き続きの臨時休校(大阪府内の大学の臨時休校を含む)を通知、基本的には新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言区域解除措置を受けて大阪府が5月22日に学校再開のための対応の必要を発表するまで、休校状態が全ての学校で一律に続きました。
 このようにして府下全域及び全国の大部分の地域で事実上の学修の空白が続いたこの期間、本学では3月11日に新型コロナウイルス感染症対策についての基本方針を明示し、学修の回復に向けた検討を役員会で行いました。そして、外出禁止の環境下にあっても、新入生を含む学生たち全体の学修を保障するための環境の整備について様々な可能性を模索しました。3月に行った検討で、外出が困難な環境下にある学生たちにとって(留学先からの帰国を禁じられている学生たちもいる中で)、最も学びの継続を保証できる可能性が高い方法としてインターネットを活用したオンライン授業実施の案が上がってきました。
 情報基盤センターの佐藤隆士センター長、同センターの尾崎拓郎講師を始め、センターの皆さんが教育の可能性について献身的に方法を模索してくださいました。その結果を受けて、3月後半にはオンライン授業を暫定的に導入することを決定し、3月31日には実施方針を明らかにするとともに、第一回のインターネットを活用した授業運営についてのFD(ファカルティディベロップメント,大学教員の授業内容や教育方法を改善し向上させるための取組)を実施しました。
 このように本学は、政府方針と大阪府の実施方針を受けて、直ちに対応を図り、実施してきており、学修環境の整備プロセスに不足はありません。もちろん早くにオンライン授業を主張された大学もありますが、本学はそれらの大学よりも早く4月20日に講義を開始させています。とはいえ、3月9日には学位記・修了証書授与式の中止を、3月10日には入学式の中止を決定せざるを得なかったこと、3月18日には全教職員対象の第4回全学説明会の開催がイレギュラーな形になったことなど、安全を最優先にするために必要な決断であったとはいえ本当に残念なことでした。
 さて、この4月20日の授業開始まで、情報基盤センターの先生方の献身的なご協力により、インターネットを活用した授業の実施に向けた説明会や、学習管理システム「Moodle」の利用法をFDで開催頂いたことについて、深謝いたします。当初は、暫定的に5月の連休明けまでの2-3週間の学修サポートのつもりでしたが、新型コロナウイルス感染症の脅威が収まらないために、前期全体を通して行うことを続けて発表することになりました。このことに伴う大学教員の皆さんの負担については、他大学の例も含めて承知しています。しかし、こうした取り組みを通じて学生たちの学修の権利を守り、学修環境を維持できたこと、困難を乗り越えて巣立っていこうとする学生たちをサポートできていることを私たちは誇りに思いたいと考えます。
 新型コロナウイルス感染症をめぐる困難が続くことで対面授業に弊害があっても、今回踏み切ったオンライン授業導入が、このコロナ禍という壁を乗り越える手段の一つとして自覚できたことを教員と学生たちの間で再認識し、今後の大学の活動の中に効果的に利用していくことが望まれるのではないでしょうか。

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