学校教育教員養成課程 中等教育専攻 音楽教育コース
音楽の深い専門性に根差した教育を実現する教師
音楽に関する高い専門性を基に、音楽教育に関する理論に基づいた授業実践を通して、生徒の豊かな感性を育み、地域の音楽科教育をリードする人材を育てて行きます。
求める学生像
- 高等学校で履修した教科・科目の基礎学力を十分に身につけた人
- 人間愛に満ち、人々とのコミュニケーション能力を身につけようとしている人
- 音楽表現に関する強い関心をもち、中・高等学校の音楽科教員としての実践的指導力を身につけようとする意欲あふれる人
学びのポイント 1
教師に求められる実践的指導力が身に付くカリキュラム
音楽の授業を実践していく上で必要となる能力の中で、積み重ねが必要な技能については1回生で基礎から学びます。2回生からは、教科専門について実技面と理論面の両方から学び深めると共に、教科教育では教科としての音楽科の教育理論や授業理論、ICTの活用について実践的に学んでいきます。また、毎年2月に行われる、学生自らが企画運営する「定期演奏会」で1年間の学習の成果を発表し、自らの学びを振り返ります。
学びのポイント 2
教科専門と教科教育が連携した指導体制
教科専門で学んだ知識・技能を教科教育の理論に基づき授業の中で活用できる力を養う体制で授業が行われます。例えば声楽やピアノのレッスンの多くはグループで互いの演奏、つまり音楽表現を批評し合う形態で行われます。そこでは音楽科教育法で学ぶ、子どもが表現意図をもち音楽表現の創意工夫を通して技能を習得するプロセスを実際に体験することになります。また、模擬授業や研究授業を行う際には教科専門、教科教育両方の教員からアドバイスを得る体制が取られています。
教師としての実践的指導力を身に付けるために「観察実習(1回生必修)」→「体験実習(2回生選択)」→「基本実習(3回生必修)」→「発展実習(4回生選択)」と、4年間を通して教育実習を積み上げていきます。それぞれの教育実習には、音楽科授業と連動させて取り組みます。
募集人員
10人
学習領域
音楽科教育学、 器楽(ピアノ,打楽器、箏、三味線)、声楽、音楽学、作曲
取得できる免許・資格
●:中学校教諭一種(音楽)
○:高等学校教諭一種(音楽)
□:特別支援学校教諭一種
資格:学校図書館司書教諭、図書館司書
●:卒業要件単位で取得できる教員免許状
〇:卒業要件以外の単位を併せて履修することによって取得できる教員免許状
(ただし、授業時間割上の制約によって希望する免許状が取得できるとは限りません)
□:履修要件を満たした者に限り,取得のために必要な単位修得が認められます。
(ただし、授業時間割上の制約によって希望する免許状が取得できるとは限りません)
4年間の学び
学校での音楽教育は今大きく変わろうとしています。上手な演奏を作ることを目指した授業から、生徒が音楽表現をすることで育っていく授業への転換です。そこでは「音楽」という概念も広がりをもってきます。西洋の古典的な音楽や日本の唱歌だけでなく、日本の伝統音楽、世界の諸民族の音楽、ポップス、パソコンメディアを使った音楽、さらには環境にある音も音楽になっていきます。本専攻では、このような広い視野から人間と音楽とのかかわりを軸として、これからの日本の新しい音楽教育を創っていく人を育てようとしています。
1回生
音楽の教師になるための基礎を学ぶ
「教職入門」で教職についての基礎を学ぶと共に、「ソルフェージュⅠ・Ⅱ」「演奏基礎(こえ)Ⅰ・Ⅱ」「ピアノ伴奏法」で実技の基礎を、「創作表現Ⅰ(編曲法)」では音楽作品をアレンジする力を身につけると共に、理論面では「音楽学」で日本を含む世界の様々な音楽の営みについて理解を深めます。
主な授業
- 教職入門
- ソルフェージュ I・II
- ピアノ伴奏法
- 演奏基礎(こえ) I・II
- 音楽学 I A
- 創作表現 I(編曲法)
- 教育総論
2回生
教科教育と教科専門の確かな能力を身につける
教科専門の授業では、実技面で「演奏基礎(ピアノ)Ⅰ・Ⅱ」「合唱指導法Ⅰ・Ⅱ」、「創作表現Ⅱ(アナリーゼ)」で演奏表現力や楽曲分析力を身につけると共に、理論面では「音楽学1B」で日本を含む世界の様々な音楽の営みについて更なる理解を深めます。教科教育の授業では「音楽教育学Ⅰ」で音楽教育の概要を視野に入れ、「中等音楽科教育法」で授業の理論と実践について学びます。
主な授業
- 音楽学 I B
- 音楽教育学 I
- 中等音楽科教育法 I・II
- アンサンブル指揮法
- 合唱指導法 I・II
- 演奏基礎(ピアノ) I・II
- 合奏 I・II
- 教育課程・方法論
- 生徒指導・進路指導論
3回生
大学で学んだ成果を基本実習で発揮
学びのメインは4週間の基本実習になります。基本実習では、皆さんが教科専門、教科教育のそれぞれの授業で身に付けた全ての能力が統合され、実際の授業の中で生徒の学力の育成にどのように生きて働くかが課題となります。また、「定期演奏会」の企画運営を通して、学校行事等を行う能力を身につけます。
主な授業
- 基本教育実習
- 中等音楽科教育法Ⅲ・Ⅳ
- 伝統音楽の歌唱
- 混声合唱Ⅰ・Ⅱ
- 和楽器アンサンブルA・B
- スコアリーディング I・II
- 創作表現III
- 音楽学II
- 音楽教育学II
- 教育相談の心理学
- 教職インターンシップ
4回生
課題を発見、解決しながら、学び続ける教師になる力をつける
演習を通して学ぶ授業が多くなります。より実践的な学びを通して、基本実習などで得た課題を解決するための力をつけていきます。それらの学習が、教員採用試験や大学院の入試につながります。また、卒業に向けて、音楽教育について日頃自分が考えていることを卒業論文にすることを通して考えを一層明確にし、卒業してからも学び続ける力を付けます。
主な授業
- 教職実践演習
- 音楽科内容構成演習
- 和楽器アンサンブルC・D
- 音楽教育実践
- 音楽学演習 I・II
- 音楽教育学演習 I・II
- 卒業研究
教員からのメッセージ
音楽を教育する上で理論より前にある本質的なこと、例えばそれは、小節線の役割とは何か、小節のなすフレーズとは何か、強拍弱拍の変化がいかに楽曲に影響を及ぼすか、など、音楽の本質に切り込んだもの、教育者として理解していなければならないことを教育しています。それは音楽作品を鑑賞して物語を作るというようなものとは違い、音楽の本質を、音楽で正面から考えるということです。そのために物理的な動きから音楽をいかに表現できるかということを考える指揮に関する授業、音楽経験の有無に全く依存しない、五線紙を用いない新たな作曲法など、多彩な可能性を網羅した授業を用意しています。
(音楽教育講座 猿谷紀郎)