未来へ向けた新たな一歩
大阪教育大学は、創基150周年を迎えたことに伴い、記念式典を2024年10月27日(日)に、シェラトン都ホテル大阪にて開催しました。本式典には、多くの教育関係者や地域の代表者、卒業生が一堂に会し、本学の長い歴史と現在の取り組み、未来への展望についての新たな決意を共有しました。本記事では、式典の内容や当日の様子について詳しくご紹介いたします。
150年の歩み
本学の起源は、1874年(明治7年)にさかのぼります。「教員伝習所」が教員養成を担う施設として設立され、その後、時代とともに役割を拡大し、1949年に「大阪学芸大学」、1967年に「大阪教育大学」、2004年に「国立大学法人大阪教育大学」と名称を変え、今日に至ります。本学は、創立以来、幼稚園から高等学校、特別支援教育に至るまで、幅広い教員養成に携わり、西日本最大の教員養成大学として多くの教育人材を輩出してきました。 また、地域連携を重視し、教育課題への取り組みを進め、各教育委員会等と連携をしつつ、地域教育の発展に貢献してきたことも本学の特徴の一つです。
【第一部】記念式典
記念式典は、学生の司会による挨拶で幕を開け、表現活動教育系の中務晴之特任教授、神代修教授及び大学院 教育学研究科 高度教育支援開発専攻 教育ファシリテーションコース1回生の小路桂さんによる演奏が参加者を迎えました。演奏後、岡本幾子学長が、来賓や卒業生、教職員に感謝の意を表しつつ、大学の歴史や今後の抱負について語りました。
岡本学長は、150年にわたる大学の進化を振り返り、「現在の大阪教育大学は教育現場の多様な課題に取り組むため、教員養成課程、大学院連合教職実践研究科のみならず、教育協働学科や大学院教育学研究科などの学生組織を整備しており、多職種協働による教育現場の課題解決に資する教育・研究の展開を進めています。さらに、来年度からは北海道教育大学及び福岡教育大学と共同で博士後期課程を設置する予定であり、複雑に絡み合う多くの教育課題の解決と未来教育の構築に貢献するために、大阪教育大学のすべての構成員が一丸となって、社会と連携し、希望あふれる未来をめざします」と抱負を述べました。
演奏する中務特任教授(左)と神代教授(右)
挨拶をする岡本学長
本式典には文部科学省、国立大学協会、大阪府教育委員会などから、多数の来賓が参列し、本学への期待とともに、今後の教育界における役割への期待も述べられました。まず、文部科学省 森友浩史大臣官房審議官(高等教育局担当)が文部科学大臣からの祝辞を代読されました。そこでは、本学が「日本型学校教育の先導的役割」を果たすべき大学として「教員養成フラッグシップ大学」に指定されていることを評価し、今後の発展に対する期待が寄せられました。
大阪府教育委員会の水野達朗教育長は、多くの教育委員会と連携協定を締結して事業を行っている本学が、大阪府内の教育活動に果たしている貢献を称えました。また、本学と大阪府で新たに着手した特別支援教育プログラムなどの新しい取り組みへの期待が述べられました。
国立大学協会からは、藤澤正人副会長(神戸大学学長)が会長永田恭介氏の代理として、本学が「教員養成フラッグシップ大学」の指定を受けてダイバーシティ教育に取り組んでいることと、令和7年度に北海道教育大学、福岡教育大学と共同して博士後期課程を設置することを中心に、本学への期待を述べられました。
日本教育大学協会の国分充会長(東京学芸大学学長)からは、創基150周年と時を同じくして、令和6年度から始動している学校教育教員養成課程において、次世代の学校教育を牽引できる人材を養成することの期待などが述べられました。
大阪商工会議所の近藤博宣常務理事・事務局長からは、人工知能の出現など、大きな変化が起こっている教育界においても、最適な解を導くのはやはり最終的には「人」であり、そういった人材を生み出すことこそが最も重要だと述べ、万博のテーマになっている「いのち輝く未来社会」をデザインできる人材を育む優れた教育者を輩出することへの期待が寄せられました。
大阪教育大学同窓会天遊会の島内武会長は、150年にわたる本学の歩みが、卒業生や教員の努力と共に地域や国の発展に貢献してきたことを強調されました。本学の歴史がブランド力とさまざまな活動の土台となり、今後も新しい土台作りに協力していきたいと述べられました。
文部科学省 森友大臣官房審議官
大阪府教育委員会 水野教育長
国立大学協会 藤原副会長
日本教育大学協会 国分会長
大阪商工会議所 近藤常務理事・事務局長
大阪教育大学同窓会天遊会 島内会長
これらの祝辞からは、本学が今後も教育現場のさまざまな課題解決に貢献し、持続的な発展をめざしていくことへの期待を感じることができました。
また、主な来賓として、池田市の瀧澤智子市長の代理で出席いただいた石田健二副市長、富田林市の吉村善美市長、柏原市の冨宅正浩市長の紹介をしました。
続いて、次の5名の卒業生からのビデオメッセージが流されました。
京都教育大学教授 黒田 恭史氏
小学校教員養成課程 数学専攻 卒業
大学院教育学研究科 数学教育専攻 修了
TUNED Sports & Performance Nutrition 代表 イギリスAfN公認スポーツ栄養士 (RNutr Sports & Exercise) ドバイ在住 根本 裕理氏
教養学科 スポーツ・健康科学・生活環境専攻 生活環境コース 卒業
大阪大学人間科学研究科 准教授 玉城 明子氏
小学校教員養成5年課程 3年次編入学 卒業
大学院教育学研究科 実践学校教育専攻 修了
大阪府教育庁 市町村教育室小中学校課 生徒指導グループ 山元 行平氏
大学院連合教職実践研究科 高度教職開発専攻 援助ニーズ教育実践コース 修了
岡山天文博物館 館長 粟野 諭美氏
教養学科 自然研究専攻 物質科学コース 卒業
大学院教育学研究科 総合基礎科学専攻 修了
それぞれから、大学時代の思い出や本学への期待が温かい言葉で述べられ、会場は穏やかな雰囲気に包まれました。
卒業生からのビデオメッセージ(左上から、粟野氏、玉城氏、黒田氏、山元氏、根本氏)
また、海外の大学からもビデオメッセージをいただきました。ベトナムのホーチミン市師範大学からは本学と連携実施したプロジェクトの成果が、ベトナムの初等教育に大きな影響を与える可能性があることを述べられました。また、カナダのビクトリア大学からは、本学と共に作り上げた英語指導法研修プログラムが未来の教育者のニーズに応えるものだと伝えられました。
ホーチミン師範大学からのビデオメッセージ
ビクトリア大学からのビデオメッセージ
最後に、本学小学校教員養成5年課程を卒業し、本学学務部入試課に勤めている西芝陸さんより、本学の沿革と現状について、スライドを使った説明が行われました。本学の歴史を振り返りつつ、現代的な課題に対応するためのいくつもの取り組みを紹介した後、150周年記念のロゴマークの成り立ちから、「大阪から日本の教育を変える」ことへの意気込みが語られました。
本学の現状と沿革を説明する西芝さん
未来への展望
本学は、150周年という節目を迎え、新たな未来に向けた一歩を踏み出しました。学長の挨拶でも強調されたように、今後も地域や諸団体と密接に連携し、教育課題の解決に向けた実践的な研究や教育を推進していきます。また、ダイバーシティ教育の実践や、高度な臨床教育力を備えた教員の育成にも力を入れてまいります。