大学が学生から地域交流やボランティア活動など教育大学ならではの企画を募集し支援する「学生プロデュース」。 今年度採択された取り組みを紹介します。
本学がメインキャンパスを置く柏原市に古くから伝わる、手ぬぐいや浴衣の生地を染める伝統技法「注染」に着目。注染染めを使ったオリジナルデザインのハンカチを4種類製作します。また、その歴史、現状、染めの工程について取材し、ポスターを作成して大学祭「神霜祭」で紹介。ハンカチは、注染染めを紹介する冊子をそえて配布します。
田村彩恵 (教養学科芸術専攻3回生)
私は、ぶどう柄のハンカチをデザインしました。布に染めると、にじんだり少し崩れたりして独特の風合いになり、想像よりかわいく仕上がりました。大学祭での展示では、多くの方にハンカチをかわいいと言っていただけたことが何より嬉しかったです。予想外だったのは、お客さんたちがくじ引きで盛り上がっていたこと。お目当ての柄が当たった、外れたと楽しそうでした。 注染てぬぐいを製作・販売している「CHILL」さんと染め工場の方には、とてもお世話になりました。作業の手を止めて質問に答えてくださり、写真を撮りやすいよう配慮もしてくださいました。また、ハンカチのデザイン面でも無理を聞いていただきました。大学祭で多くの方から「柏原に注染染めというものがあるのを知らなかった」と言われ、発信のお手伝いができたとほっとしました。 振り返ると、大変だったなと思います。あちこちと調整したり、みんなの意見を無理やりまとめたり。気持ちを抑えることを学び、忍耐強くなりました。終わった時は達成感よりも、無事やり遂げた安心感が勝りました。反省点は議事録をきちんと取らなかったこと。情報共有ができていなかったり、認識が違っていたりして、混乱することがありました。 Twitterでの反響も大きく、想定より早くハンカチがなくなり、プロジェクトは成功したと思います。私自身、もともと人に頼み事をするのが苦手でしたが、今回代表を務めたことで、人を信じて任せることができるようになり、成長できました。
「音」や「光」などの性質を学べる実験教材を手作りし、実際に体験してもらう科学館を実施。地域のイベントや学校を訪問し、子どもたちや地域住民に、理科のおもしろさや楽しさを伝えます。
田崎賢也(大学院教育学研究科理科教育専攻2回生)
イベントにどんな教材を持って行くかは、主な対象となる方にあわせて、みんなで相談して決めています。例えば小学校に行く時には、目で見てわかりやすいものや体験できるものが人気ですが、高校生はそれだけだと退屈してしまうので、少し複雑な説明が必要なものを選びます。 難しいのは説明の仕方です。相手がどの程度知識を持っているかを話しながら探り、どう説明したらわかりやすいか考えながら、説明する内容を変えていく必要があります。他の人がどう説明しているかを見て学ぶことも多いです。イベントが終わると、アンケートを見ながら皆で反省会をします。あまり評判が良くなかった実験は、なぜそういう結果になったのかを考え、次に活かすようにしています。 担当者との連絡調整がうまくいかなかったり、運んだ実験教材が壊れて急きょ修理したりと、想定外のトラブルが起こることも多いです。でも、皆さんが楽しんでくれているのを間近に見ると、そんな苦労も吹き飛んで、やって良かったと思えます。理科教員になるための勉強になるのはもちろんですが、子どもに理科の楽しさを知ってもらい、少しでも興味をもってもらえるような活動に参加できることが何より嬉しいですね
学内のバリア(障がい)となり得る場所や事柄などを記載した地図を作成し、バリアを解消する方法を学内に発信する。
柏原市の子どもたちとの合唱や災害に関するワークショップを通して、東日本大震災を始めとする近年起きたさまざまな災害を振り返り、記憶の風化を防ぐ。
図画工作の授業を外国人児童に対する日本語支援に役立てることが可能か、ワークショップの実施などを通して検証する。
本学学生に、自分の中にある差別意識や偏見に気づき、多様性を認めるとはどういうことかを考えてもらうイベントを、1週間にわたり実施する。
(2020年11月取材) ※掲載内容はすべて取材当時のものです。
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