ラボ訪問 峯 明秀 教授

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社会科学習におけるPDCAシステムを開発

教員養成課程 社会科教育講座
峯 明秀 教授

 「PDCAサイクルが学校現場の授業の中でうまく機能していないのではないか」「教員自身は日々の実践の中で、授業をどのように省察し、評価・改善を行えばよいか」の問題意識から研究を始めました。学校や教員、学習者をとりまく状況に応じた社会科授業力向上のあり方について、教育内容や教科の固有性と絡めて追究しています。
 PDCAサイクルとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の4段階からなるマネジメントサイクルのことです。生産管理や品質管理に取り入れられるこのサイクルを授業の開発・改善に応用しています。

 教員が抱く切実な課題、学習者の変容や成長を促すために、個々の教員が柔軟で継続的な授業改善をどのように図るのか、授業研究をどう進めればよいのか、同僚やグループ、附属学校や教育委員会、研究者らがどのようにかかわり、協働の研究組織・集団をつくればよいのか、授業力向上のPDCAのあり方に焦点を当てて実践研究を進めています。「最終段階では、一人ひとりの教員が自らの授業観を批判的に吟味し、首尾一貫した授業改善ができるようになることがねらいです」

 教科の中でも社会科は指導者によって授業観が大きく異なる傾向があります。「社会科の場合、教員個々人やグループごとに授業はかくあるべきだという願望が強く、一人ひとりの目標達成がばらばらです。それぞれがもつ社会科観、授業観の違いが壁となってこれまでは研究が踏み込めませんでした。私自身も中学校社会科教員として長年務めていたのですが、そのことに気付けなかったのです」

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 香川県出身。1986年香川大学教育学部を卒業後、高松市の公立中学校教員として採用されました。18年間学校現場に身を置き、日々の教科指導や生活指導、部活動の指導に明け暮れました。その間、教材研究や学習指導の様々な実践上の課題について、香川県内の全中学校社会科教員で構成された研究会の一員として、事務局で組織をけん引しました。

 教員となって5年目に、鳴門教育大学大学院に内地留学し、中学校教員に復帰したのち、2001年に国立教育政策研究所の評価規準・評価方法等の作成委員、その後中央教育審議会初等中等教育分科会専門部会の委員を勤め、全国に視野を広げることができました。

 「当時は、寝る間もないほど忙しかったです。でも、学校現場の実践や評価の現状について知ることができました。これから、相対評価から目標準拠評価の導入へ、大阪府教育委員会が大きく舵を切るに当たって、これまでの経験を生かしてサポートさせていただきます」

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 2004年、大阪教育大学に教員として着任。「当初、社会科における評価研究をめざしましたが、なかなかまとまらず苦しむ中、恩師のお導きにより、広島大学大学院博士課程で従来の授業評価とは異なる改善研究のあり方をようやく見つけることができました」

 30代の頃は価値認識形状を振りかざしていたので、「周りから“かちかち山”というあだ名がついた」と笑います。現在も全国を忙しくかけ回っており、学生の間では「先生、いつ寝るの?」と不思議がられ、“鉄人”のニックネームを頂戴しているとか。

(2012年12月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。

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