ペプチドの化学合成を研究
教養学科 自然研究専攻 2010年3月卒
株式会社ペプチド研究所 研究員
河上 紘子さん
「やりたいことは何でもやってみたらいいと、日常的に与えられたテーマで合成研究を思い切りさせていただいています」
研究員となって2年目。仕事では失敗や壁にぶつかることも多々あります。その都度に解決策を考え、上司や同僚からアドバイスをもらいます。1つ1つ壁を乗り越えることで日々成長を実感できているといいます。
理科・科学への関心は小さい頃の昆虫への興味から始まり、いつしかその生命の不思議に虜(とりこ)となりました。そこで生命がもつ独自の生理活性物質について知識を深め、その先の扉を開くと、そこには有機化学という大きな世界が広がっていたとのことです。
「自然研究講座では、有機物質科学研究室に所属し、有機化学の基礎を学びましました」。大学卒業後、さらに学びたいと思い大阪市立大学大学院理学研究科に進みました。
「大学院での主な研究テーマは、昆虫を主体とした毒成分の探索でした」。研究を進める中、そこには重要な物質としてペプチドが含まれていることがわかりました。そこでペプチドに関心が向いたといいます。
ペプチドは、生物で多彩な生理機能を発揮し、生命の恒常性を維持する基本的な物質です。今日安全性と特異性の高いペプチドを基本とした創薬はドラッグデリバリーシステムの進歩とともにますます重要視されています。「化学合成された高純度なペプチドは、ガンワクチンや骨粗しょう症、糖尿病などの特効薬としてニーズが高まっており、やりがいのある仕事だと思っています」と目を輝かせます。
同社はアミノ酸・ペプチド・糖に関する研究を中心として、広く生命科学(バイオテクノロジー)の発展に寄与し、それを通じて人間社会の発展に貢献することを目的としています。「世界のペプチド科学研究をリードする、オンリーワンをめざす企業に身を置く幸せと責任を強く感じています」
大教時代は、中学校から熱中してきたバドミントン部で活動。「スポーツ以外にもいろいろなサークルに頭をつっこんでいました。天体観測のサークルに入り、夜通し星座の観測をしたこともあります。関心をもったらとりあえず行動するというのがわたしのスタイルでした」
現在でも自然や生き物と戯れるのが大好きだといいます。
「身の回りの自然には、未知なことがまだたくさんあるはず。その不思議に心を寄せていきたいです」
職場ではアクティブな同僚が多く、仕事の合間に得意のバドミントンや釣りで仲間の輪を広げているといいます。
後輩には、「大教生であることに誇りを持って、自分の道をしっかりと歩んでほしい。行動あるのみ」とエールを送ります。最後に「これまで熱心にご指導していただいた先生方、また温かく見守ってくれた家族に心から感謝の気持ちを伝えたいです」と感謝します。