ラボ訪問 箱崎 雄子 准教授

箱崎雄子准教授の写真1

英語の不思議を解き明かし、現場に還元を

教員養成課程 英語教育講座
箱崎 雄子 准教授

 「英語の先生だからって英語の知識があるだけじゃダメ。在学中に英語以外のことも学んで」。英語教育講座の箱崎雄子准教授は、英語教諭を志す 学生にこうアドバ イスを送ります。「そのためには、留学も含め、いろんな世界に挑戦して経験値を高めてほしい。会話の引き出しが豊富な、個性ある先生になってください」

 かく言う箱崎准教授の経歴はユニークの一言に尽きます。学生時代には演歌歌手をめざして芸能プロダクションに所属し、ラジオ番組のパーソナリティーも務めました。アメリカ留学を経て、大学院在学中には通訳職も経験。大学院修了後3年間は、アメリカの日本国総領事館で教育広報などを担当しました。

 華やかな職歴を経て、研究者の道へ進んだのは、そんな自身の歩みに基づいたものでした。「通訳の仕事を通して、言葉の奥深さを実感しました。言語としての面白さ、奥深さを研究し、成果を教育現場に還元することで、多くの子どもたちに英語に関心を持ってもらいたい。英語を使いこなせればその分未来に可能性が広がりますから」

授業を行う箱崎准教授の写真

 箱崎准教授が英語の面白さに目覚めたのは中学時代、ある恩師との出会いからです。「その先生の授業は、言葉の不思議にあふれていました。例えば、breakfastという単語を導入する際に、日本語訳との対比ではなく、『なぜbreakfastと言うかご存知ですか? breakは破る、fastは断食、つまり夕食後の断食状態をやめるからbreakfastとなるのです』というように、語源から単語を覚えるということを教えてくださいました。先生に教わった『なぜ?』が今のわたしの研究の源です」と語ります。「奇しくもその先生は大教大の卒業生で、昨年本学に着任が決まった時は、いの一番に報告に行きましたよ」

 目下の研究テーマは、小学校英語の教科化に伴う小中連携を見据えた英語教育の在り方につい て 。箱崎准教授は、日本児童英語教育学会と英語授業研究学会関西支部との合同プロジェクトチームに所属し、「45分授業と関連させたモジュール型授業の在り方」を研究しています。

 モジュール型授業とは、たとえば1コマが45分の授業を、15分などさらに短くコマ分けして、基礎を反復させる授業法です。45分授業の後に、15分授業を3回続ける「45+15+ 15+ 15」型であれば、反復学習の徹底が図れ、45分授業の前に15分授業を組み入れる「15+45+ 15+ 15」型であれば 、予習効果が期待できるなど、組み合わせによって学習効果はさまざまです。

インタビューに応じる箱崎准教授

 また、授業の内容については、中学英語の前倒しではなく、児童の実態や発達段階、興味・関心に合わせることが重要だと強調します。「小学生は柔軟な適応力があるので、コミュニケーションへの積極的な態度を育成したり、英語の音やリズムに慣れ親しませたりすることに適しています。実際、小学校外国語活動によって、英語を聞く力が育ってきています。でも、小学生も高学年になってくると、『聞く』『話す』だけでなく『読む』『書く』の欲求も出てきます。それも満たしてあげないといけないので、モジュールの組み合わせパターンと合わせて、現場の先生方と連携しながら、実証授業を展開していきます」と方針を語りました。

 研究の息抜きはジャズ。ただし、鑑賞ではなく演奏です。本学着任前は、ライブハウスやジャズフェスで自慢の美声を響かせていました。「教壇もステージも、大勢を惹きつける仕事。一回一回を全力で演じています。学園祭で披露してほしいって?安くないわよ」とチャーミングな笑顔を見せる箱崎准教授。次から次へと新しい一面が飛び出してきて、底が見えません 。

「TenYou ―天遊―」vol.38インタビュー&メイキングムービー

(2016年5月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。

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