令和6年度進捗状況

教員養成フラッグシップ大学構想 令和6年度進捗状況

フラッグシップ指定大学とのシンポジウム開催

 令和6年9月26日に、「教員養成の課題と未来」と題したシンポジウムを本学主催で開催し、対面とオンライン合わせて約180人が参加しました。
 本シンポジウムは、これからの教員養成のあり方を論じることにより、「令和の日本型学校教育」を担う教師の育成に向けた改革を構想することを目的としたもので、教員養成フラッグシップ大学の指定を受けた東京学芸大学、福井大学、兵庫教育大学、大阪教育大学が話題提供発表を行い、コメンテーターの文部科学省・国立教員養成大学・私立大学の有識者や参加者が意見交換を行いました。


シンポジウムでの意見交換の様子


シンポジウムちらし(PDF 998KB)

【関連リンク】

シンポジウム「教員養成の課題と未来」を開催

先導的・革新的な教員養成プログラム、教職科目の開発

フラッグシップ特例科目

学部


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 フラッグシップ特例科目のダイバーシティ教育科目群を1年生必修科目として開講しました。また、特例4領域科目群のうち、令和7年度に開講予定の「教科横断と探究学習Ⅰ」「教育データの活用Ⅰ」「ファシリテーターとしての教員Ⅰ」「学習者中心の授業デザインⅠ」に関して、それぞれワーキンググループを編成し、コアカリキュラムのブラッシュアップならびにシラバス(授業構成)案を策定しました。
 省察科目については、ダイバーシティ教育科目群を含めた教職課程全体における省察活動の体系化について、省察の深さを三層に分け、それぞれの層の省察に取り組むことができるよう省察活動の体系を構想しました。省察活動は、各学年における実習と事前・事後指導、及びフラッグシップ特例科目において取り組むこととし、1年生科目として「教職のための省察入門」を開設するとともに、2年生における省察活動を担う「教職専門性と省察」の開発を行っています。

教職大学院

 教職大学院の必修単位数の弾力措置を活用し、フラッグシップ大学特例領域科目として4領域11科目22単位を整備しました。昨年度の試行状況をふまえ、令和6年度入学生から新カリキュラムを適用し、新規開講の必修科目を本実施しました。

学部と大学院の一体的な教員養成カリキュラム

 令和6年4月より、学部卒業年次の8名が、教職大学院授業の先取り履修を開始しました。教職大学院の授業を先に履修することにより、教職大学院入学後の学びがより深まるだけでなく、学校現場における実践研究の時間を多く確保できるなどの効果が期待できます。

学習成果指標及び自己評価尺度の作成

 先導的教員養成プログラムにより、教員養成の場において学生に充実した教職科目を提供するのみならず、受講した学生の学習成果、資質・能力獲得状況を把握するため、学習成果指標・自己評価尺度を作成し、測定を開始しました。指標はフラッグシップ特例科目に関する5つのテーマ領域に対応させた内容で構成しています。さらに、作成した指標の妥当性を検証し、シンポジウムや本学内のFDにおいて検証結果を発表しました。

大学教員の学習観・授業観の転換を促すFDシステムの構築

 教員養成を担う大学教員自身の学習観・授業観の転換を促すFDシステムの構築を進めています。大学教員の育成目標(指標)を策定し、これをもとに「FD参加→自己評価→指標の見直し→」のサイクルを通じて継続的に改善を図るFDシステムを構築しました。令和6年8月には、本学全教員による自己評価を試行により実施し、85%以上の回答率を得ることができました。

産官学連携事業

みらい教育共創館を活用した取組

 大学の教育研究機能及び企業・NPO等のオープンラボ(1階~5階)と,大阪市教育センターの現職教員研修機能(6階~10階)としての機能が一体となった合築施設「みらい教育共創館」について、令和6年4月から供用開始しました。
 教員養成及び教育の高度化に資する情報発信を目的として、令和6年4月からみらい教育共創館において「みらい教育セミナー」を定期的に開催しています。教育委員会・学校現場・大学等の教育関係者に向けて、「未来教育のあり方を構想する」を全体テーマとして、産官学連携による学校教育の高度化に関する内容を扱い、公開形式で実施しています。
 また、令和6年7月12日に、教育関係者・学生等を対象に「みらい教育共創交流会」を開催し、教員養成フラッグシップ大学や産官学連携の取り組みを紹介するとともに、パートナー企業17社が教育に関連する商品やサービスを紹介するブースを出展し、最新の教育技術やサービスに触れる機会を提供しました。


交流会の様子


交流会ちらし(PDF 894KB)

【関連リンク】

みらい教育共創館オープニングセレモニーを挙行

オープンラボ企業を含む17社が出展ブースを設け「みらい教育共創館交流会」を開催

みらい教育共創館バナー

教育版URA(eRA)

 令和6年度に、みらい教育共創館を拠点に、未来志向の教育研究を全学一体で推進するための体制強化と、産業界との協働事業・共同研究、先導的な授業科目の開発や、学校と企業・NPO等を繋ぐ研究支援人材の育成に向けた推進体制の強化を実現すべく、産官学イノベーション共創センターを設置しました。研究支援人材の育成事業については、他機関でURA業務の経験を有する者を新たに採用し、学校と企業との組織的共同研究や先導的プログラムの開発を支える人材を教育版URA(eRA:education collaboration Research Administrator)と独自に名付け、人材基盤を拡充するべく、人事制度や育成・研修プログラムに関する検討を進めています。

【関連リンク】

一般企業に所属する大学教員と産学連携授業を実施

特別支援教育バーチャルスクール教材の開発

 発達障害等の器質的疾患のほか、環境要因や心理的要因様々な要因による教育現場での児童・生徒の問題行動や学級内でのトラブル事例への対応を3Dアニメーションによるシミュレーション形式で学ぶことができるバーチャルスクール教材の開発を開始しました。
 令和5年度には教材の導入編(児童生徒の様々な行動事例の体験)・学習編(児童生徒の行動事例を個別に解説)のシナリオを試作し、令和6年度にフラッグシップ特例科目「多様な子どもとインクルーシブ教育」の授業において試行により活用しました。
 今後は、導入編・学習編の授業活用の本実施を行うほか、応用編(仮想空間の学級でトラブルが生じた際のAI活用によるシミュレーション学習)の教材開発を進めていきます。

【関連リンク】

特別支援教育バーチャルスクール教材(教員を目指す学生のための学習教材)を開発

学び続ける教員を支えるプラットフォームの構築

 全国の教員や教員志望者に対して、いつでもどこでも自由に学べるオンライン教員研修プラットフォームとして令和5年度より研修コンテンツの提供を開始した「OKUTEP」について、愛知教育大学との共同運営とコンテンツの相互利用に関する連携協定を締結したことに伴い、今後の全国的な普及・展開に向け、令和6年4月から名称を「OZONE-EDU」へ変更しました。
 OZONE-EDUはユーザー登録さえすれば誰でも受講でき、2分から15分程度で一つの学習が完結するマイクロラーニングの仕組を取り入れています。受講者はカテゴリ等に分類されたリストから研修を自由に選択し、必要なときにいつでも受講することが可能となっています(令和6年度時点で45コンテンツを公開中)。
 これまでに、大阪市、堺市、河南町、藤井寺市、枚方市、和泉市、千早赤阪村においてOZONE-EDUを活用した教員研修が実施されました。


OZONE-EDUについて(「国立大学法人大阪教育大学統合報告書2024」より抜粋)(PDF 979KB)

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OZONE-EDUバナー

実践的研究に重点を置いた大学院博士課程の設置

 令和6年8月に、北海道教育大学・大阪教育大学・福岡教育大学の共同課程による後期博士課程である「共同学校教育学専攻」の設置が認められ、令和7年4月の開設に向け、3大学間の協議のもと運営準備を進めています。
 新しい博士後期課程においては、これまで各大学が取り組んできた教員養成の実績を活かして、新たな時代にむけた取り組みを進めるため、全国を縦断するネットワークを構築しつつ、学校現場をフィールドとした臨床的研究によって課題解決に寄与する大学教員等を養成するとともに、教員養成モデルや教員養成学の開発、個別地域に留まらない全国レベルでの課題解決につながる臨床研究を行います。

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