『もう一歩』を踏み出すサポートを
教養学科文化研究専攻 4回生
松井 千枝さん
「大学に入ったら海外に行ってみようと思っていました」と語る松井千枝さん。高校生の時、オーストラリアに行ったのをきっかけに、海外に興味を持ちます。「英語がわからなくて、ホームステイ先の家族と全然話せなかった。身振り手振りで頑張ったけど、もっと英語が話せたらちゃんと伝えられるのに、と悔しくて。いかに英語が役立つかを実感しました」。将来は英語の教員になろうと決めます。教員養成課程ではなく教養学科に入学した理由は、教育という視点から英語を学ぶのではなく、英語そのものを深く学びたいと思ったからです。
入学後は、アメリカ、タイなど海外へ次々に飛び出していきます。中でも、国際ボランティアサークルの活動で訪れたフィリピンが一番印象深い経験でした。「大学が主導する活動ではないので、自分たちでやることを決めます。サークルの皆と相談して計画書を作り、それを現地のNGOの人に修正してもらうという過程は、とても勉強になりました」。時には「そこを変えるとこの企画の意味がなくなる。譲れない」と交渉することもあったと言います。現地では生活スタイルや文化の違いに戸惑いましたが、「滞在するうちに人の優しさが伝わってきて、他人を思いやる根本の部分は同じだと感じました。共通するところと違うところがあって、皆それぞれの幸せを持っていると気づきました」。いろんな生き方をもっと見てみたいと思うきっかけになった体験でした。
海外での経験を活かして、外国語学習支援ルーム(GLC)でサポーターをしています。「語学を勉強したい人、留学したい人、留学生と話してみたい人、漠然と海外に興味を持っている人など、たくさんの人がGLCに訪れます。サポーターとして、自身の経験を話したり、こういう人がいるから話を聞いてみたらと友人を紹介したりしています」。少しでも英語や海外に興味を持ってほしいという思いで活動しています。
サークルや学業に忙しくする傍ら、大阪市内の小学校で児童の放課後支援を行う活動にも参加しています。大学で勉強するだけではなく、実際に教育現場を見ておきたいと思ったことが始めたきっかけです。「ずっと通っている小学校は外国籍の子どもが多くいます。私はそういう環境で育っていないので、これはいい経験になると思いました」。放課後に集まってくる子どもたちの宿題を見たり、一緒に遊んだりしています。「子どもたちは、同じ本を読んでいても感じ方や目をつけるポイントが違ったり、突然訳の分からない行動をしたりします。とても面白く、勉強になります」。めざす教師像は、“もう一歩”の成長をサポートできる先生。「一人ではここまでしかいけない、これ以上はやる気がでない、というような限界の一歩先へと進めるよう、子どもたちの興味を誘って、やってみようかなと思わせる。そんな後押しができるようになりたい」
8月からフィンランドにある本学の協定校へ交換留学生として派遣されることが決まっています。「フィンランドは英語が母語ではないにも関わらず、上手に話せる人が多い。英語を母語としない人が英語を教えるためのプログラムが発達しているからだと聞きます。現地では大学で勉強するだけでなく、近隣の学校にたくさん通って、どのような教育をしているのか学びたい」と意気込みます。留学には不安もありますが、「やらない理由はいくらでも見つけられる。でも私はとにかく興味があったら何でも飛び込んでみようという性格。恐れずに、たくさん友達を作りたい」と笑顔を見せます。天真爛漫な彼女の目には、好奇心があふれています。
「TenYou ―天遊―」vol.42インタビュー&メイキングムービー
(2017年5月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。
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