教員養成フラッグシップ大学指定&新学長就任記念

教員養成フラッグシップ大学指定&新学長就任記念「新学長へ学生広報がインタビュー」

大阪教育大学は、2022年3月に「教員養成フラッグシップ大学」の指定を受けました。
全国から15大学が申請したなか、指定校として選ばれたのは本学を含めた4大学。

学生広報「DAIKYO PRESS(通称DKP)」が、
学長着任前には理事・副学長として教員養成フラッグシップ大学構想の作成に携わり、
2022年4月に学長に着任した岡本幾子学長にインタビューしました。

「『教員養成フラッグシップ大学』とは?」「指定されるとどんなメリットがあるの?」「新学長ってどんな人?」etc…
学生目線の質問に、岡本学長が答えます。

Q1.教員養成フラッグシップ大学ってなんですか?

A.これからの学校教育・教員養成を変革するけん引役を担う大学のことです。
 文部科学省が新たに創設した制度で、「令和の日本型学校教育(*)」を担う教師の育成や、教員養成の在り方の変革をけん引する役割を果たす大学を、申請に基づいて文部科学大臣が教員養成フラッグシップ大学として指定するものです。指定大学は、教育現場や教育行政、企業や他大学などと協働して、新しいカリキュラムを研究・開発したり、その経験から得られた知見を他大学に展開します。

*デジタル化・オンライン化など急激に変化する社会を背景として、子どもたちの知・徳・体を育む「日本型学校教育」をさらに発展させ、すべての子どもたちの可能性を引き出し、個別最適な学びと協働的な学びの実現をめざす、新しい時代の学校教育のこと。

Q2.指定されるとどんなメリットがあるんですか?

A.10 年、20 年先の教育を提案できる大学になることができます
 制度的な面としては、法律で定められている「教科及び教職に関する科目」の一部に代えて、大学が設定するこれらに準ずる新たな科目を修得することによって、教員免許を取得することができます。
 この特例を用いて編成された先導的・革新的なカリキュラムで、これからの教育で必要とされる領域を学べるということは、学生さんにとってメリットと言えると思いますし、大阪教育大学が研究・開発して提案した教育プログラムが日本の未来を創っていくことに繋がっていきます。
 教育の成果はすぐに出ないとよく言われますが、フラッグシップ大学に指定されること自体がメリットではなく、未来の教育を担う人材を育成するための環境・土台作りができることがメリットなのです。

 

Q3.申請をしたきっかけは何ですか?

A.国の学校教育が直面する課題(*)が顕著であり、縮図化している大阪にキャンパスを置く本学が取り組んできたダイバーシティ教育の実践・研究の知見を共有するためです。

*特別支援学級に在籍する児童生徒や日本語指導を必要とする児童生徒、貧困や不登校、ヤングケアラー等のこと。

 

Q4.教員養成フラッグシップ大学としてどんなことに取り組んでいくんですか?

A.3 つの取組を主軸に、多様性に富む大阪の諸課題に応え、学習者の学びに寄り添う教師を育成していきます。

 

本学の3つの取組の構想

1.先導的・革新的な教員養成プログラムと教職科目の研究・開発

これからの時代に必要とされるスキルを子どもに身に付けさせることができる教員を養成するために、ダイバーシティ教育をベースとして、4つのテーマ領域と実習系の科目で繰り返し省察・協働できるように構成する、革新的なカリキュラムを開発します。また、クラウド上の仮想空間で学校を体験・経験できる教材「バーチャルスクール」や、学部と教職大学院の一体的なカリキュラムの開発、授業を行う大学教員の研修内容の変革など、教職科目の研究と開発にも取り組んでいきます。

2.学び続ける教員を支えるプラットフォームの構築

現職の先生向けの研修において「どのような研修でどのようなことを学んだ先生なのか」を教育委員会と共有しやすい環境を整えようとしています。例えば、「日本語を母国語としない生徒の支援」に関する研修を受けた先生にデジタルバッジ※を付与すると、システム上でそのバッジを確認した教育委員会は、その支援をより必要とする学校にその先生を配置することができるといった仕組みです。

3.他機関と連携を深める共創環境の整備

 「産官学連携」がとりやすい環境にするために、大阪市教育委員会と協働で「大阪アドバンスト・ラーニング・センター(仮称)」を建設します。

大阪アドバンスト・ラーニング・センターのロゴ

大阪アドバンスト・ラーニング・センターの外観完成予想図。2024年4月から供用開始を予定している。

Q5.どんな施設なんですか?

A.大阪市教育委員会との協働により天王寺キャンパス内に建築する10階建ての合築施設です
 日本の将来を見据え、学校教育に求められる変革に対応するため、教育委員会・学校現場・行政・産業界・大学等が、それぞれ抱える課題(弱み)や資源(強み)を一堂に集積して大きな成果を生み出す共創環境として、整備を進めています。

1階~5階が大阪教育大学、6階~10階が新・大阪市総合教育センター

Q6.大阪教育大学のフロア(1F~ 5F)には何があるんですか?

1F:研究室・学生フロア


エントランス(完成イメージ)

2F:大学院協働学習室フロア

大学院生(教職大学院、教育学研究科)の協働学習室として利用するフロア。

教職大学院の院生と教育学研究科の院生が学び合う環境に。1階の学生エリアと合わせ、院生指導も行われる。

3・4F:未来型教室フロア

未来型教室フロア
(完成イメージ)

  • Edtech(*)を活用したSTEAM 学習コンテンツの利用・検証
  • 教師に求められる「新しい専門性」の育成に資するプログラムの開発・効果検証
  • 授業編成や指導案のモデルプランの提案

*Edtechは、教育(Education)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、教育領域にイノベーションを起こすビジネス、サービス、スタートアップ企業などの総称。

5F:産官学共同研究拠点 「ノンテリトリアル・フロア」

ノンテリトリアル・フロアのプレゼンテーションコート
(完成イメージ)

  • 企業ブース:企業やNPO法人と連携して共同研究事業に取り組む場所
  • プレゼンテーションコート: プレゼン・ポスターセッション・授業等に幅広く利用
  • コワーキングスペース: 個人作業や気軽にディスカッションができるエリア

OALeC(大阪アドバンスト・ラーニング・センター)の整備計画について

Q7.岡本学長の今までのことを教えてください!

1977年 大阪市立大学大学院生活科学研究科博士前期課程を修了
1980年 大阪市立大学大学院生活科学研究科博士後期課程を単位取得満期退学(1988年学術博士)
1980年 大阪教育大学教育学部に助手として着任。
助教授、教授、学長補佐を経て、図書館長や理事・学長補佐などを務めてきました。また、大学などの評価に関する仕事や、児童・青少年の健全育成・生涯学習の振興・教育施設の環境整備に関する事業を行う外部機関でも活動しています。
2022年 大阪教育大学学長に就任

[ 教育・研究活動 ]
衣環境学、生活色彩科学

[ 理事・副学長としての主な取組 ]
2016年 HATOプロジェクト、京阪奈三教育大学連携事業
2018年 KAGAC(e-ラーニング 免許状更新講習
2020年 教育研究組織と教員組織の分離 国立大学法人評価 大学機関別認証評価
2021年 教員養成フラッグシップ大学

学長プロフィール

Q8.岡本学長の普段の仕事内容は?

私のとある一日をご紹介します。

  8:30 書類確認・決裁
  9:00 関係企業との打ち合わせ
10:00 オンライン役員協議会
10:30 ダイバーシティ関連会議
11:30 各部署で進めている業務の進捗確認
13:00 昼食
13:30 部局長連絡会議
15:00 大学戦略会議
16:00 教授との打ち合わせ
17:00 翌日の会議資料の確認など
19:00 終業

Q9.岡本学長のプライベートって!?

学生のとき頑張ったこと
「洗濯」です

生活科学を専攻していた私は、今では一般的にも普及している「酵素洗剤」による洗浄について研究していました。垢(表皮角質層汚れ)を落とす際に高い洗浄力を保ちながら、酵素の失活を低減する洗剤の配合を調べるため、試験布を実験着の襟に付けて汚れを採取することを洗剤関連企業の研究員の方々に頼んだことも…今ではいい思い出です。

大教大のお気に入りスポット
柏原キャンパス ⇒ 教材園
天王寺キャンパス ⇒ 中庭

高台にある教材園から見下ろす柏原キャンパスと、中庭から見上げるあべのハルカスが素晴らしい景色でお気に入りです。

学食の好きなメニュー
バイキングで好みのおかずを 選ぶのが好き

学長に就任してからは忙しくてあまり行かなくなってしまいました。忙しいときはお弁当が多いんです。

趣味
ホームセンターめぐり

学生の頃は、色んな材料を見ながら「実験をするときにこれは利用できるかも」と考えながらお店をめぐっていました。今は実験に関わらず、作るもののイメージを膨らませながらいろんな材料を見て歩くのが楽しいです。

願い事が一つだけ叶うとしたら
20年前の体力に戻りたい(笑)

仕事もプライベートも、本当はもっと動き回って、貪欲に楽しみたい。若い体力はとても貴重です。学生の皆さんは今を全力で楽しんでください。

就任の意気込みと本学の今後について一言!

「フラッグシップ大学として日本の教育の未来に向けて全力投球」

大阪教育大学は、令和の日本型学校教育をけん引し、大阪から日本の教育を変えていきます。


大阪アドバンスト・ラーニング・センター(仮称)の建設予定地をバックに記念撮影

DKP取材後記

 学長は、とてもパワフルでチャレンジ精神にあふれる方でした。
 また、教員養成フラッグシップ大学として大教大が選ばれたのは誇らしいことであるとともに、指定大学として前を走り続けるためには、自分たち学生の意識も重要だということが分かりました。
 若い体力や時間を大切にして、これからも大学でたくさん学び、周囲の友人やいろんな方とともに思い出をつくっていきたいと思います。


【写真左から】
根本 晃輔さん(教育協働学科グローバル教育専攻・英語コミュニケーションコース・4回生)
坂井 美波さん(教育協働学科グローバル教育専攻・多文化リテラシーコース・2回生)
池田 堂夢さん(教育協働学科グローバル教育専攻・英語コミュニケーションコース・4回生)

DAIKYO PRESSについて

「TenYou ―天遊―」vol.57インタビュー&メイキングムービー

(2022年5月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。

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