ラボ訪問 岡本 麻子 准教授

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志を高くもち、自分のスタイルを貫いて

教養学科 芸術講座(音楽)
岡本 麻子 准教授

 「やる前から『私なんて』と言わず、目標を高くもって世界に飛び出して。大教大の学生は、実力はあるのにめざしているものが小さくて、もったいない」。本学教員となって2年目、学生にはもっと積極性を持ってほしいと感じています。そんな岡本麻子准教授自身のエピソードからは、高い志とそれを支える強い意志が垣間見えます。

 先にピアノを始めていた2人の姉の影響から、3歳でピアノを始めました。「子供のころは、ピアニストになりたいというよりは、ピアノ教室の大会に選ばれて嬉しいというような、目の前のことで楽しくやっている感じでした」。転機は、小学校5年生の時に参加した著名なピアニストによる公開レッスンでした。「衝撃を受けました。その先生と出会ってからぐんと上達し、ピアノがさらに楽しくなりました」と、どんどんピアノにのめりこんでいきました。

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 高校で地元大阪を離れ単身上京し、桐朋女子高等学校音楽部ピアノ科に進学します。東京では一人暮らしで、「7畳1間に小さいグランドピアノを入れ、その下にパイプベッドを置いて寝ていました」。ホームシックになりながらも、朝6時から練習室へ行き、自主練習をしてから授業に行くなど、ピアノ漬けの日々がはじまります。「周囲から、私の音楽は早く外国に行った方が合っているとずっと言われていて、高校に入学した時にはすでに、卒業したら海外へ行くんだという心づもりでいました」

 高校3年生の時にドイツ・フライブルグ大学の教授に演奏を聞いてもらい、同大学へ留学することが決まります。「ドイツではピアノ科の学生でも、合唱曲や弦楽器の曲など、いろんな分野の曲を知っています。どっぷり音楽に浸かっていて、文化が違うと目が覚める思いでした」。ピアノ以外で印象に残っていることを聞くと、「ダンス」と意外な答え。「同じアパートにブラジル育ちの日本人の子がいて、家に遊びに行くといつもラテン音楽を流して踊っていました。サンバがすごく上手であこがれて、基礎から教えてもらいました。腰ではなく膝を使うんですよ」。夢中になって1人で鏡の前で練習したと、ドイツでの学生生活を懐かしみます。

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 帰国後、大学の非常勤講師などを経て、本学に着任。所属する教養学科芸術専攻音楽コースは、教員同士の仲がとても良いといいます。「専攻を盛り上げていこうという教員の団結力がすごい。トランペットの神代修准教授が率いるウインドオーケストラ、毎年のサマーコンサート、秋の定期演奏会など学生オーケストラの活動が盛んだったり、教員個人の活動についても認めて応援してくれたり。教えることも、自分のことも、集中できる環境があって幸せ」と笑顔を見せます。

 目下の課題は、自身の演奏活動と大学での指導者としての仕事を両立すること。自分の練習時間をどう捻出するかを常に考え、コンサート本番前には学食で夕食をとって練習し、帰宅時間が0時近くになることもあります。

 それでも、「演奏活動を全部やめてしまえたらどれだけ楽だろうかと思うこともあるけれど、やっぱりピアノを弾いていると自分らしいと感じるし、音楽を楽しめる瞬間でもあるのです」と、演奏者としてピアノを弾き続けることへの思いを語ります。

 今後の抱負を問うと、力強くこう答えました。「以前出場したコンクールの指揮者に、『自分が一番魅力的に伝わる作曲家だけを弾けばいい』と言われたことがあります。確かに世界的なピアニストの中には、特定の作曲家だけ演奏するというような方もいますが、わたしはまだ若いので幅広く勉強しつつ、将来的に自分のスタイルを持って突き進んで行けるようになりたい」。小柄な身体には,途切れぬ向上心とパワーが満ち溢れています。

「TenYou ―天遊―」vol.39インタビュー&メイキングムービー

(2016年10月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。

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