ブラックホールシャドーの理論研究
教員養成課程 理科教育講座
福江 純 教授
本学には天文学研究室があり、柏原キャンパスのC3棟屋上に設置されている「51センチ反射望遠鏡」の運用を含め、天文学の教育・研究活動を行っています。天文学研究室は教員養成課程理科教育講座に所属していますが、天文学を学びたい人に対しては、望遠鏡の利用を含め、天文学研究室の門戸は広く開いています。
天文学研究室からは、ブラックホールが発見されたX線連星、活動銀河核、宇宙ジェットをテーマに日本でもトップレベルの理論研究の成果が生み出されています。福江教授の「ブラックホール降着円盤~見えないはずのブラックホールを視る」も大きく注目されています。
「降着円盤」とは何か? アインシュタインの相対性理論で予想された謎の天体、光でさえ出ることができない「空間の裂け目」、それがブラックホールです。ブラックホールは周囲に光り輝く「高温プラズマガスの円盤」をまとい、さまざまな宇宙活動の原因となっていることがわかってきました。
光でさえも出ることができず、完全な闇とされるブラックホールをどうやって視るのか? 「闇夜のカラスも背後から光で照らせばシルエットが浮かび上がるでしょう。宇宙に存在するブラックホールも、しばしば光り輝くプラズマガスをまとっているので、その光る衣の影絵として視ることができるはずです。相対性理論や放射理論などを用いたシミュレーションによって、ブラックホールシャドーの姿を求めることができます」。福江教授は、さまざまなタイプの光る衣をまとったブラックホールのシルエットを明らかにしました。
「高校生に関心をもってほしいですから、やさしく分かりやすいように本学の天文学研究の成果を発信することを心がけています」という福江教授は、教育面では「地学II」「天文学Ⅰ」「理科基礎」などを担当しています。学生には、「科学全般に幅広く興味をもち、いろいろなことを貪欲に追いかけてほしい。1、2回生のうちに、情報発信するスキルを身につけてほしい」と語っています。