附属池田小学校事件に関して 学長からのメッセージ

附属池田小学校事件から22年

 今から22年前、私たちは、8人の児童の尊い命を失い13人の児童と2人の教員が大きな傷を負うという、悲惨な事件に遭いました。

 当時の児童は巣立ち、教員も人事異動で学校を去り、事件発生時に附属池田小学校に在職していたのは現在の校長だけとなりました。大阪教育大学全体では、事件後に着任した教職員が8割を超えています。このような状況にあっても、事件の記憶を風化させず、教訓を語り伝え続けていくことが私たちの使命であると考えています。

 今年も「学校安全の日」事業の取組の一つとして、6月8日に教職員と学生が一体となって事件を振り返り、「語り伝え」を実施することとしています。この取組は平成18年度から継続しており、柏原及び天王寺の両キャンパスにおける約100の授業を対象に実施します[*]

 また、事件のあった6月8日には附属池田小学校で「祈りと誓いの集い」を行い、全ての附属学校園において校園長が事件を語り伝える機会を持つことにしています。このほか、全学で半旗を掲揚し弔意を表します。

 私たちは、事件で亡くなった児童のご家族、そして負傷児童とその保護者の皆様と交わした合意書に基づいて、全ての教職員の安全意識及び危機対応能力の向上を図るとともに、学校安全に関する実践的な教育・研究の充実など、次のような再発防止策の取組を続けています。

 全ての学部学生と教職大学院の学生に対し「学校安全」科目を必修として開講し、毎年約1,000人が受講しています。平成15年度から「応急手当普及員講習会」を実施し、現在178人の教職員が資格を有しています。これらの有資格者が、全学で学生、教職員、保護者を対象に実施する「普通救命講習会」でも活躍しています。附属学校園には、教職員及び幼児・児童・生徒への安全教育推進のため、平成16年度から本学独自の学校安全主任を配置しました。このほか、学校安全推進センターでは、学校安全に関する専門知識の習得と緊急時の対応能力向上を目的とした「大阪教育大学学校安全主任講習会」を全国の学校教職員を対象に実施し、多数の方々に受講いただいています。

 令和4年3月に閣議決定された「第3次学校安全の推進に関する計画」では、全ての児童生徒等が自ら判断し、主体的に行動できる資質・能力を身に付け、学校管理下における死亡事故を限りなくゼロにし、障害や重度の負傷を伴う事故を中心に減少させることを目指しています。このため、本学では附属学校園で展開するSPS(セーフティ・プロモーション・スクール)活動をはじめとする、学校安全に関する組織的取組を引き続き支援していきます。

 本学では、これからも事件で亡くなった児童のご家族をはじめ、事件の被害者の皆様との絆を大切に、事件が残した課題に立ち向かい、二度とあのような出来事を繰り返さないように着実に取組を進め、成果を広く社会に発信していきます。皆様の変わらぬご理解とご支援をお願いいたします。

 令和5年5月23日
大阪教育大学長 岡本 幾子

*…柏原キャンパスの3限(12:55~14:25)
 天王寺キャンパスの3限(12:55~14:25)及び7限(19:40~21:10)


これまでのメッセージへ