1.教員養成フラッグシップ大学として大阪教育大学が担う役割について
(意見)
フラッグシップ大学として研修機能の強化を図り,地域の管理職層の教員に対し,教育委員会とともに新たな学びを提供する仕組みがあればありがたいと思う。
(令和3年度第3回経営協議会〔令和3年9月16日開催〕より)
(取組)
本学は,大阪府内の教育委員会とともに,教育課題に対する意見交換と教員養成・採用に関わる情報交換等を目的として,毎年合同拡大連携協議会を開催しており,そのもとで大阪府,大阪市,堺市の3教育委員会が策定した育成指標の内容改善や活用方法の研究を目的とした「教員養成共同研究コミュニティ」を設置し,研究活動を継続している。令和3年度は「教員養成共同研究コミュニティフォーラム」を1月22日に開催し,「『教員育成指標』に基づいた教員研修の可能性をひらく」をテーマに,教員研修についての産官学協働の可能性や,教職大学院と教育委員会の連携による教員研修の可能性等について,セッションを行った。
管理職研修に関わっては,大阪市教育委員会が連合教職大学院と協働して,育成指標に基づく研修を企画実施する取組を始めているところであるが,共同研究コミュニティのフォーラムにおいては,大阪府内で共通する課題が多くあるため,各教育委員会を超えて,協働した研修の実施についても方向性として示されている。
また,本学では,令和2年度にオープン・エデュケーション・システムを構築し,本学が蓄積する学習コンテンツを,インターネットを通じて効果的に配信している。令和3年度の免許状更新講習においては,実証研究を開始するとともに,デジタルバッジにより履修証明を行う仕組みを構築している。本学は教員養成フラッグシップ大学として,これらの実績をさらに発展させ,学び続ける教員を支えるためのオープンな学びのプラットフォームである「大阪教育大学オープン・エデュケーション・プラットフォーム」を構築する。
教員養成フラッグシップ大学構想で開発する先導的・革新的な教員養成プログラム・教職科目を,教員養成系大学の教職科目や副専攻プログラム,現職教員研修として配信するとともに,並行して開発する教材や,指導補助資料,FD研修も同時に配信することにより,全国の教員養成・研修機能の高度化の中心的役割を担う。さらに,希望項目や過去の受講歴から,チャットボット(AI)によって,より希望に合うコンテンツにたどり着くためのコンテンツ推奨機能を導入し,研修コンテンツに対する評価や受講履歴を分析することにより,受講生に応じたコンテンツの推奨(個別最適化)を行うことで,受講生の教育・研修効果の向上を図る。
2.地域貢献について
(意見)
教育委員会と連携しながら,大阪府下の小中学校の現場に即した課題・問題に対するシンポジウムを開催したり,コロナ禍における段階的な対応の指標の提供ができたりすると,本学としては非常に貢献度が高いのではないか。
(令和3年度第4回経営協議会〔令和3年11月16日開催〕より)
(取組)
「1.教員養成フラッグシップ大学として大阪教育大学が担う役割について」で記述した「教員養成共同研究コミュニティフォーラム」では,現職教員に加え,教員養成を実施している大学の教職教育担当者や,教育プログラムを開発している官公庁関係者,教員研修に関わった経験を持つNPO法人,企業等に向けて,広くその研究成果を発信した。
また,コロナ禍における段階的な対応の指標の提供はできていないが,本学ホームページ内に「New Normal - 新しい学校生活への支援 -」のサイトを立ち上げ,連合教職大学院と附属学校園が協力して,コロナ禍の中,教師の教育活動のヒントになるような,ICTを活用した授業や教材等について紹介している。
さらに,令和4年2月20日(日)に,ネーミングライツ・パートナーである東京書籍(株)との共催により,「GIGAスクール構想元年の自治体の取り組み」及び「特別支援教育への提案」をテーマに,大阪府内の教育委員会や学校教員の情報交流を行うことを通じて,地域教育の発展に貢献することを目的とした「大阪教育大学と東京書籍とのネーミングライツに関する協定記念セミナー」を開催した
(意見)
家庭の教育については,コロナ禍における子育ての孤立化や,子どもの貧困,不登校,いじめ,障害のある子どもへの対応などについて,悩んでいる人がたくさんいるので,本学の教員がそのような講座をやれば聞きたい人はたくさんいるのではないか。また,オンライン配信を使えば,全国の人が聞いてくれるので,良いことをやっているというのも伝わるのではないか。
(令和3年度第4回経営協議会〔令和3年11月16日開催〕より)
(取組)
公開講座において,子ども向けのアンガーマネジメント講座である「イライラと上手につき合う方法を学ぼう!」及び教員・一般市民向けに,教育をとりまく様々な問題に対して心理学との関わりを学ぶ「現代の教育と心理学」を開講した。また,大学の陸上競技場において,教員と学生が陸上教室を開き,地域の子どもに指導を行うとともに,柏原市と連携し,教員が子育て支援講座や,生活に役立つ心理学講座などを市民に向けて開講し,地域の家庭や子どもの支援に取り組んでいる。
今後は,本学の教育・研究等の状況や成果を国や地域に広く,積極的に発信するため,本学教員が作成した教材等をオンデマンド配信する教育コンテンツ発信プラットフォームを整備し,戦略的で迅速な情報発信活動の推進を図ることとした。このプラットフォームの下に,教育・研究,教員研修,公開講座について専門部会を整備し,令和4年4月1日より運営を図っている。
なお,全学FD事業「教育効果の高い動画コンテンツとは」を3月3日に実施し,本学教員の教育コンテンツ作成の改善等への取組を行った。