家族のような仲間と過ごした4年間
養護教諭養成課程 4回生
仲田 絢音さん
中学2年生で養護教諭になろうと決めていたという仲田絢音さん。部活動の副顧問だった養護教諭の先生に憧れたからでした。「優しいだけでなく、怒るときはきちんと怒って指導する。生徒の微妙な表情や態度の変化にすぐに気づいて、話を聞いてくれる。そんな先生でした」。目先のことだけでなく、子どもの将来を考えた上で、その時その時に必要な助言をする。自分もそんな養護教諭になりたいと、本学養護教諭養成課程に進学します。
「養護教諭養成課程は、医師、看護師、元養護教諭などの先生がいて、いい方ばかり。授業には実技もあります。3回生の時、授業で開業医の方が来られて、さまざまな症例とその対処の仕方について、実際の患者さんの写真を使って教えてもらったことが、とても印象に残っています」。学生も、穏やかで優しく、人の心がわかる人が多いと感じています。また、教員という同じ夢をめざす学生が多いことから、モチベーションが下がった時も周囲を見渡して頑張ろうと思い直すことができました。「授業での発言一つにしても、この人はそんな所まで考えているのかと驚いて、同じように採用試験を受けて教師になるのだから自分も頑張らなければと、いい刺激をもらえます」
怪我などの救急対応に慣れようと入部したのは、アメリカンフットボール(以下、アメフト)部。もともとアメフト自体に興味はなく、最初に希望していたのは、怪我をした選手の応急処置などを担当する『トレーナー』になることでした。「でも、先輩から外部の人たちとの連絡調整が主な仕事である『主務』を担当してほしいと言われました。新しい人と出会い、人脈を広げるのが好きというのもあったので引き受けることにしました」。
主務は地味な事務仕事が多く、あまり評価されていないと感じることもありました。「でも、主務になったからこそ、他大学や関西学生アメフト連盟、OBOGの方など、たくさんの人と出会うことができました」。普段あまり話すことのない上の年代の人たちと関わる機会が多く、それも楽しいと感じています。「アメフト部の同期は、友人というより家族に近いですね。週5、6日練習があるので、一緒にいる時間は家族よりも長い。ずっと一緒に戦ってきたので、彼らが勝つためなら何でもできます」。辞めたいと思った時も、同期の存在に励まされ乗り越えてきました。
今は卒業論文に向けて、熱中症の実験を行っています。「大学内に、温度と湿度を自在に調整できる部屋があります。例えば気温30度、湿度80%というように条件を設定し、30分程度おいておくと、目的の環境ができあがります。その部屋を使って、条件を変えながら体温の上がり方などを調査しています」。ゼミ生みんなで作業する毎日です。
教員採用試験に合格し、春からは念願の養護教諭になります。「子どもの表面的な言葉ではなく、その真意をわかってあげられるようになりたい。教育実習の時に『こんなこと言われたから、お母さん嫌い』という子がいました。でも嫌いなわけがない。子どもの気持ちに寄り添いながら、本当はお母さんが好きだという思いをなんとか引き出せないかと試行錯誤しました」。子どもの多面的な部分に振り回されないようにしたいと気を引き締めつつ、一方で不安もあります。「実習に行って、とにかく先生方の仕事量が多いと感じました。あれもこれもしないといけない、でもどんどん子どもたちはやって来る。効率良く時間を使わないといけないと頭ではわかっていますが、難しいですね」
「大学という最後の学生生活で、就職や社会人になることを見据えたことばかりやるのはもったいない。私はこの4年間、学生らしいことをいっぱいやれて、後悔はありません」。一度始めたことは簡単に辞めたくないという仲田さん。誰も見ていなくても、些細なことでも、手を抜かず、やり通す。そんな姿が皆から信頼を得ています。
「TenYou ―天遊―」vol.46インタビュー&メイキングムービー
(2018年11月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。
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