STUDENTS NOW! 西本 圭汰 さん

悩んでいる人に寄り添ってサポートできるように

大学院教育学研究科 高度教育支援開発専攻
心理・教育支援コース 2回生
 西本 圭汰さん

たくさんの本が並べられた本棚をバックにほほえむ西本さん

 「公認心理師の資格ができたとき、まさにこういう仕事がしたかった、と思いました」と目を輝かせて話す西本さん。心理職関係の仕事に就きたいという思いをもって本学に入学し、公認心理師国家試験の受験資格を得るために大学院へ進学しました。現在は授業や自身の研究と並行して、国家試験に向けた勉強と実習にアクセル全開で取り組んでいます。

 小学校から高校までサッカーを続けた西本さんは、コーチや学校の先生と関わるなかで元々は教員をめざしていたといいます。そんな西本さんが心理職に就きたいと思ったのは高校生のとき。「僕が通っていた高校では、公民館などの外部機関での実習や自身の将来についての発表などに取り組む授業がありました。とても有意義でしたが、僕は発表することに苦手意識があって…」。インタビューに丁寧に受け答えする姿からは意外にも思えますが、それには理由がありました。

力強く語る西本さん

 「僕は吃音症という言葉が少し詰まることがある発達障がいをもっていて、それが原因で、発表するのがしんどくなってしまった時期がありました。当時、個人的には、吃音の症状よりも吃音から生じる心の問題の方が辛かったのです。だから、この問題に向き合うために心理学を学びたい、他人のこともサポートできるようになりたい、と思いました」。本学を選んだ理由は、教員になっていく人たちを横で見ることができるのと同時に、心理学も学べるという点だったそうです。

 吃音症において併存することの多い各種の心理的問題に着目した研究を学部時代から続けているという西本さん。「心理的問題が生じる原因として、注意的側面が挙げられます。『考えすぎ』と表現すると分かりやすいですが、具体的には『言葉が吃らないだろうか』と吃音症状に意識が向きすぎてしまうことで、対人場面への不安や自己肯定感の低下につながるという考え方です。そこで、より広い視野を持つことができれば、吃音に関する心の問題も改善されていくと考え、現在その研究を進めています」。従来からある注意的側面に着目する心理療法が吃音症にも有効なのかどうかを検討し、「心理的問題に対する支援モデルがあれば緩和できるのではないかと考えています」と力強く語ります。

ステージ上でギターを弾く西本さん

 学部時代や大学院の授業やゼミでプレゼンする機会も多く、研究を進めるなかでも発表への苦手意識は薄れてきたという西本さんは、研究室や授業以外でもさまざまな活動をしています。その1 つが軽音楽部でのギター演奏。中学生時代からギターに興味があったものの、学校に軽音楽部がなかったことから「大学に入学してやっと始められました」と笑います。学部卒業後の現在も、社会人の先輩に誘われてライブに出演したり、PC で作曲から収録までをすべて自分で行ってオリジナル曲も作成したりしているのだとか。「勉強の息抜きにギターを演奏することもあるのですが、つい時間を忘れて弾いてしまうこともあります」。

 将来は、本学で学んだ教育関係の知識も生かして、学校や精神科でカウンセラーとして勤め、自分と同じように悩んでいる人をサポートできるようになりたいという西本さん。興味があることを貪欲に追究し、「やる」と決めたことを実現していく力をもつ西本さんが、インタビューのときと同じ優しい目で子どもや患者に接している姿が思い浮かびます。

(2022年5月取材)
※掲載内容はすべて取材当時のものです。

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