6月1日から、学校が再開された。
再開1日目、「K君が休校中に足にけがをして、ギプスをはめて登校してくる」と事前に連絡を受けていたので、車いすを用意して校門で待っていた。
まず最初に、母親が車から降りてきて後部座席を開けK君を抱き上げ、自分のもとにやってきた。「おはようございます。」とK君の元気な声。車いすに乗せて、母親と一緒に教室まで送り届けた。「ありがとうございました。今日からお世話になります。」と母親が言うと、K君も「ありがとうございました」とお礼の言葉を伝えてきた。「さあ、今日からがんばろうね。」と言葉を返して、登校初日の朝は終わった。
学校再開2日目の朝、母親から校門前でK君を預かり車いすに乗せた。K君が自分に話しかけてきた。「ねえ、パパのこと知ってる?パパは先生のこと知っていると言っていたよ。」「どうして、先生のこと知っているの?」と問い返すと、「先生は、中学校でパパの先生だったんだよ。パパが教えてもらったと言っていたよ。」と返事が返ってきた。
「パパの名前は何?」「○○だよ」「おー名前は聞いたことあるぞ」と言葉を交わしながら教室にむかった。自分の頭の中は、その当時の生徒の名前が駆け巡った。担任したことあったかなあと。
学校再開3日目の朝、母親から校門前でK君を預かり車いすに乗せた。今日は、母親も一緒に教室に向かった。母親が「先生、私も同じ中学校にいて、先生のことを知っています。先生がこの小学校にいてくれてよかった。」と話しかけてきた。「そうなの、何年何組だった?」「何部だった?」「担任の先生は?」と会話が弾んだ。なんだか、とても懐かしくうれしくなった。
そして、次の日、いつものように校門前でK君を待っていた。すると、父親がK君を抱きかかえて、やってきた。「先生、いつも子どもがお世話になっています。ありがとうございます。先生、僕のこと覚えていますか。○○です。担任ではなかったけど、社会科を教えてもらっていました。」と話しかけてきた。頭の中のモヤモヤがすっきりした。
「先生は覚えていないかもしれないけど、自分は先生のことを覚えていますよ。先生が、子どもの学校の先生でよかった」とうれしい言葉をかけてくれた。
学校再開から1週間が経った。朝、花壇の水やりをしていると、子どもたちから「先生、うちのママ、先生の教え子だよ」「うちのパパも先生の教え子だよ」と数人の子どもから声をかけられた。運動会や授業参観で顔を合わせるのが楽しみだ。