エッセイ

恩師への手紙
2020/09/03
A先生との二人三脚
 

教員という仕事に就いて、早や20年以上になる。振り返ると、いつも私の傍らにはA先生がいた。

幼稚園から高校まで大学の系列校の私学に通っていた私が思春期を迎えた中学生の頃、A先生と出会った。当時の私は、ただ漠然と将来の夢を友人と語り合い、クラブや生徒会活動に勤しむ普通の中学生だった。そんな時、小論文コンクールで私が日本一を取った。厚生労働大臣賞だった。嬉しかった。担任であったA先生に一番に報告した。「ホームランや」と言って満面笑みで褒めてくださったのを、今でも鮮明に覚えている。
高校生になった。内臓の難病患者である母の病気を治したいという思いから医師になることを夢見ていたはずの私は、いつの間にか、A先生に憧れるようになっていた。そして、教員をめざすようになった。どこの大学に行こうかとA先生に相談し、進路を決定した。東京の女子大学へ進学した。

東京で大学生活を送っているとき、A先生が「ちょっと用事があったから、ついでにお顔を見に来たわよ」と言って、大学の寮まで様子を見に来てくださった。慣れない寮生活は寂しいだろうと、一緒に夕食も食べてくださった。先生の優しさが心にしみた。大学4回生で教育実習のため母校に戻った時、「頑張ってるわね」と励ましてくださった。
そして、教員になった。教育者としての立場で色々なアドバイスをくださった。そして、今現在も、何かあればA先生は私の心の傍に寄り添い、ともに笑い、ともに泣いてくださっている。父が亡くなった時も、泣きながら一番最初に連絡をした相手はA先生だった。今、私はA先生のように、生徒の心の傍で生徒を支えることのできる教員になっているのだろうか。今の私はA先生に「ホームランや」と言って褒めていただけるのだろうか。

最後に、私の中学時代から今まで、ともに歩んで下さったA先生に、心から「ありがとう」を述べたい。80歳を越えたA先生とは、現在も交流が続いている。