エッセイ

恩師への手紙
2020/08/26
慈愛
 

K先生、「ポストカプセル2001」以来のお手紙となりご無沙汰いたしております。今も絵かきさんを続けていらっしゃるでしょうか。 

小学校1、2年の頃の私は、クラスの中でも目立たない存在でしたし、忘れ物が多かったのでその度に怒られ悲しい思いをしていました。3年生になり間もなく、先生が私の苗字に一文字そえたのがきっかけで、初めて友達からあだ名で呼んでもらえるようになり嬉しかったのを憶えています。また、毎日私たちが書いた連絡帳を一人一人チェックしてくださったので、家ではそれを見て明日の用意をすればよく、忘れ物の恐怖から解放されました。 

とある授業中、高学年の生徒が廊下を走っていったのに気付き、先生が教室のドアを開け物凄い形相で叱ったあと、こわばっている私たちに振り向いてニコッとされたので皆で大笑いになったことは忘れられません。名前を書きにくいリコーダーには一本一本私たちの名前を彫り込んでくださいましたので、特別で大切な一本となり、飽きずに吹きまくりました。ご専門の美術では、水彩画や木版画などでちょっとした(でも多分重要な)コツを教えてくださったことで、絵を描くのが好きになりました。長距離走大会では、上位ではなかったにもかかわらず、最後のごぼう抜きがすごかったと私をほめてくださり、それ以来走るのが好きになりました。それから、もう授業だったのか休み時間だったのか判然としませんが、ドッジボールや缶蹴り、馬乗りなどなど私たちとよく遊んでくださいましたね。 
3、4年生の間に好きになったことは、その後得意なことへとつながっていきました。そして何より学校に通うことを楽しみに変えてくださったK先生には、心から感謝しています。これからもどうかお元気でお過ごしください。