国立大学法人大阪教育大学は、特別支援教育バーチャルスクール教材(教員を目指す学生のための学習教材)を開発しました。
本学は令和4年3月に文部科学大臣から「教員養成フラッグシップ大学」に指定され、ダイバーシティ教育や教育DXの推進、学習観・授業観の転換といった教員養成の高度化に向けて、大学全体で先導的かつ革新的な教員養成プログラムや教職科目の研究・開発等に取り組んでいます。
これらの取り組みを推進するために設置された未来教育共創推進統括本部の下、本学総合教育系の大内田裕教授がリーダーを務める「バーチャルスクール教材開発ユニット」では、特別支援に役立つ学習教材を開発しています。
本教材は、教師を目指す学生等が将来、学校現場で直面する可能性の高い児童・生徒のさまざまな問題行動について、深く学ぶことを目的に作成しました。
教材の構成
構成は、導入編・学習編・応用編の3部としており、内容は以下の通りです。
- 導入編:児童・生徒は発達障害もしくは環境要因や心因性要因などが原因で特殊な行動を取る場合があることを、アニメ動画による仮想の事例を体験して理解することを目指しています。
- 学習編:導入編で学んだ行動の原因について、講義形式で理論的に学ぶことを目指しています。
- 応用編:児童・生徒の問題行動によるトラブルに対して、教師としてどのように対応すべきかを、発達障害の特性を学習させたAIとの対話を通して実践的に考えることを目指しています。
受講した学生の声
本学では、教員養成フラッグシップ大学の指定に伴い、新たな特例科目を開設しました。この教材は、1年生全員が受講を義務付けられている「多様な子どもとインクルーシブ教育」の第6回目授業のオンデマンド学習として、令和6年度から使用しています。
前期には1クラスのみで試行的に実施されましたが、後期からはすべてのクラスで活用し、令和7年1月31日現在、約700名の学生が受講登録しています。
- 導入編では、アニメーションを使った事例の説明がとても分かりやすかったです。特に、児童の問題行動が発達障害によるものなのか、それとも心理的・環境的要因によるものなのかを比較しながら学べたことが将来に役立つと感じました。
- これまで文字で学んできた障がいの特徴を映像で見ることで、より理解が深まりました。実際に子どもたちにどのように対応すべきかを具体的にイメージできました。
- 短い動画にまとめられていたため、内容が見やすく理解しやすかったです。特に同じような行動でも、その背景や原因が異なる場合があることを学べたのが印象的でした。
- 16の事例を視聴して、行動の原因がどこにあるのかを慎重に考えることの重要性を再確認しました。この教材は、教育現場で役立つ知識を学ぶために非常に有効だと思います。
今後の展開
受講した学生から、いくつかの改善要望も寄せられましたが、総じて教材の実践性と分かりやすさについて高評価が多く寄せられており、教育現場での活用に期待が寄せられています。現在、導入編と学習編は完成しており、応用編は令和7年度の開発を予定しています。将来、教材を完成させた後には、本学学生に限らず、学外への展開も視野に入れています。
小学校等の通常学級で教鞭をとるための教員養成課程では、特別支援教育について学ぶ機会が限られ、実際に障がいを持つ児童・生徒と接する機会もほとんどありません。
本教材を用いて、まずは疑似体験を通じて課題を認識し、学びを深めることで,教育現場での心構えを養うきっかけとしていただきたいと考えています。
サンプル動画
本教材のサンプル動画は以下URLよりご覧ください。
https://drive.google.com/file/d/1uubFFLKaNQYSELtiMZ7t4tgs2G3eCWRp/view?usp=sharing
プレスリリース本文
特別支援教育バーチャルスクール教材(教員を目指す学生のための学習教材)を開発(988KB)
お問い合わせ先
国立大学法人大阪教育大学 学術部 学術情報課 総務企画係
TEL:072-978-3773 MAIL:tosyosom☆bur.osaka-kyoiku.ac.jp
(☆を@に変更して送信してください)