表現活動教育系の生田泰志教授(*1)と附属高等学校池田校舎の森大光教諭らのグループが、2021年10月24日(日)に開催された日本水泳・水中運動学会の2021年次大会において、「奨励賞」を受賞しました。同学会は、水泳・水中運動に関する研究を推進する学術団体です。
同グループは、平泳ぎのキック動作について、一般的に矯正が難しいとされている「あおり足(*2)」に着目し、その矯正方法の考案・実践を行いました。陸上及び水中で立った状態で、足首がしっかりと曲がっているのかを自ら目視で確認する「平キック体操(*3)」を考案しました。その体操を軸に、附属高等学校池田校舎で行った実践研究をもとに発表した研究論文「一斉指導の体育授業の中で,あおり足の矯正は可能だろうか?~平キック体操の効果検証~」で今回の受賞に至りました。
同グループの実践は、生田教授自らが授業者を務め、平泳ぎの導入部分である1コマの授業を2クラスで実施。始めに平泳ぎの正しいキック動作の習得具合を確認し、その後「平キック体操」を実践後、指導前と比べてどの程度「あおり足」の改善がなされたかを確認しました。その結果、体操前に「あおり足」になっていた生徒は77名中7名、そのうち4名が改善されました。また、改善されなかった3名中2名も一部改善が見られました。このことから、「平キック体操」を導入することで、効果的に「あおり足」が矯正できると結論づけました。
今回の研究について生田教授は「『平キック体操』は以前から大学の授業等で取り入れ、効果は実感していたが、研究データを十分に取ることができませんでした。そんな折に、附属高等学校池田校舎からの提案を受けて、今回の実践研究に繋げることができ、学校現場ですぐに導入できる事例として世に出すことができました。同時に、大学と附属学校との高大連携のモデルケースにできたことを本当に嬉しく思います」と喜びを語りました。共同研究を行った森教諭は「この実践研究により、一斉指導での『あおり足』の修正が可能であることを立証することができましたので、今後の授業でも取り入れていきたいと思います。また、大学の先生と関わり専門的な知識を得ることで、水泳指導の幅を拡げることができ、嬉しく思います」と振り返りました。
また、生田教授と森教諭は、2022年1月28日(金)に附属学校園担当理事である広谷博史理事を表敬訪問し、今回の受賞を報告しました。
*1 生田教授の詳細な情報や論文名等が掲載されている教員総覧はこちら *2 あおり足は、平泳ぎのキック動作で水を蹴る時に足首が正しく曲がっていない(背屈していない)、もしくは足首が伸びてしまっている(底屈している)ために、足の甲で水を捉える状態を指す。 *3 平キック体操は、2006年度に生田教授及び当時大学院生であった中内泰樹氏とで考案した、「あおり足」の修正を目的とした計8種の運動で構成された「あおり足修正体操」が原型である。それを元に、翌年度、神戸市の小学校に勤務する生田真紀教諭が同体操のうちの3種の運動を抜粋し、それらを「平キック体操」と命名して実践し、小学生の平泳ぎの技術向上に取り組んだ。今回の研究では、さらにそのうちの1つの運動だけに絞って授業で実践し、その効果を検証した。
広谷理事への報告時の記念撮影(左から)生田教授、森教諭、広谷理事
附属高等学校池田校舎で授業を行う生田教授
平キック体操実施「前」の様子
平キック体操実施「後」の様子
(スポーツ科学部門・附属高等学校池田校舎)