大学院教育学研究科の国際協働教育コース(日本型教育システム開発領域)1回生の西村明梨さんが、東京工業大学で5月26日(木)から28日(土)にかけて開催された、有機・分子エレクトロニクスに関する国際シンポジウムISOME(International Symposium on Organic Molecular Electronics)において、最優秀学生ポスター賞を受賞しました。
受賞した西村さんのポスターのタイトルは「Fabrication of fine organic semiconductor patterns using maskless vacuum evaporationbased on selective deposition of diarylethenes」。この研究は、光を照射すると別の状態に変化して変色する「フォトクロミック」化合物の材料である、有機分子「ジアリールエテン」がもつ金属蒸着選択性(*1)という性質を応用して、従来不可能であった有機半導体材料のマスクレス蒸着(*2)による微細パターン形成を実現したものです。
指導教員の理数情報教育系の辻岡強教授は、指導院生の受賞を喜ぶとともに「本技術の発展は、有機ELディスプレイでより精細な画像を表示させることなど、パソコンやスマートフォンのような有機エレクトロニクスデバイスの高性能化に役立つ可能性があります」と展望を語りました。
*1 金属蒸着選択性は、有機分子「ジアリールエテン」に光を当てて作成した有色・無色の2種類の膜に、蒸発させた金属を付着させる「蒸着」を行うと、有色と無色によってその付着状態が異なるという性質。西村さんが所属する分子ナノ光学研究室では、この「金属蒸着選択性」に着目した研究を行っている。
*2 マスクレス蒸着は、通常の蒸着において有機パターン形成する際に必要となる金属製の「シャドウマスク」を介さないことで、シャドウマスク自体の変形防止や、パターンのさらなる微細化を可能とする技術。
表彰状を手にもつ西村さんと辻岡教授
受賞したポスターと並ぶ西村さん
(理数情報教育系)