多文化社会における教育の在り方を考える 第12回グローバルセンターシンポジウムを開催

2021.07.13

多文化社会における教育の在り方を考える 第12回グローバルセンターシンポジウムを開催

 グローバルセンターが,全学FD(*1)事業「多文化社会における教育の可能性―ヨーロッパと韓国,日本の取り組みから―」を,6月23日(水)にZoomを用いてオンラインで開催し,本学の教職員・学生110名が参加しました。
 ゲストスピーカーとして,本学の協定校であるジュネーブ大学の心理・教育学部アブデルジャリル・アッカリ教授,関西学院大学の李順蓮(イ スンヨン)講師,兵庫県加古川市立若宮小学校主幹教諭の滿石大輔(みついし だいすけ)氏を招き,本学からはグローバル教育部門の中山あおい教授が登壇しました。
 シンポジウムでは,諸外国の事例と日本の実践例の紹介を行いました。諸外国の事例については,まず,アッカリ教授が事前に収録した,ジュネーブにおける移民の子どもの受け入れ状況や支援プログラム,また,それに伴うパラダイムシフト(*2)等についての講演映像を流しました。続いて,中山教授が,ドイツにおける移民の子どもの受け入れに伴う教育上の対応や,マイノリティとマジョリティの共生をめざす異文化間教育について,李講師が実体験を踏まえて,韓国で増加している外国籍者との婚姻家庭の子どもの支援と課題について,それぞれ紹介しました。日本の実践例については,滿石氏が,日本語指導が必要な児童は,外国人の児童だけではないという観点から,「教科指導型日本語指導(*3)」を用いた,すべての児童が理解できる授業づくりについて,実践例を示しながら紹介しました。
 質疑応答では,教員をめざす学生から,教科指導型日本語指導や,教師間で問題意識を共有する方法についてなど,日本の教育現場について質問のがありました。終了後のアンケートでは「移民の方々が自国の文化を大切にしつつ,居住国の文化にも親しめる環境が必要であると改めて感じました」「スイスやドイツなどを参考に,より柔軟に教育プログラムを考えていくべきだと感じました」など,多くの感想が寄せられました。

*1 FD(ファカルティディベロップメント)は,大学教員の授業内容や教育方法を改善し向上させるための取組
*2 パラダイムシフトは,ある時代・集団を支配する考え方が,非連続的・劇的に変化すること。社会の規範や価値観が変わること
*3 教科指導型日本語指導は,教科学習の場面で使用する学習言語(日常会話では使用しない言葉や,日常で使用する場合とは異なる意味を表す)の習得を促し,教科の内容理解を支援する指導法

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2021年7月13日掲載
(国際室・グローバルセンター)