学生や教職員を対象に指導者用デジタル教科書の多様な機能や活用事例などを紹介する「デジタル教科書セミナー」を2月5日(水)に柏原キャンパスで開催しました。 このセミナーは,デジタル教科書を開発・販売する東京書籍の協力によるもので,教職員約40人が参加しました。 2019年4月の学校教育法等の一部改正により,紙の教科書だけでなく,学習者用デジタル教科書を併用することが可能となり,デジタル教科書を活用することで「主体的・対話的で深い学び」の実現や特別な配慮を必要とする児童・生徒等への対応など様々な効果が期待されています。 セミナーでは,東京書籍株式会社の関西支社参与の日高大蔵氏が,国が掲げるGIGAスクール構想(*)やデジタル教科書の制度化など教育環境の変化について解説し,児童・生徒1人1台のコンピュータ端末が実現すれば「より効果的な学びが実現できる」と話しました。 続いて,東京書籍関西支社第一営業課課長の佃公範(つくだきみのり)氏と,同支社の三田恭裕(みたやすひろ)氏が,指導者用デジタル教科書の機能や学習者用デジタル教科書との違い,教科における活用事例などを紹介しました。指導者用デジタル教科書には,図表の拡大表示や書き込み等の基本機能のほか,文字色・背景色の変更,ふりがな表示,音声読み上げ機能など,児童・生徒の特性に応じた支援機能が装備されています。また,資料動画を再生したり,ネイティブによる英語発音や国語の朗読を聞くことができるほか,算数では立体図形を触って動かしたりするなどの多彩な機能も紹介されました。三田氏は,「全てをデジタル教科書で行うのではなく,図の拡大表示や動画再生などから始めて,紙の教科書と併用しながら,無理なく広げていってもらいたい。効率的な授業準備ができるので先生方の働き方改革にもつながるのでは」と話しました。 セミナー後には,学校教育教員養成課程小中教育専攻数学教育コースでデジタル教科書について研究している学生グループ2人が,算数の指導者用デジタル教科書にある「天びん」を使い,「一次方程式」授業を効果的に実現できるとの研究成果を発表しました。 参加者からは,「充実した資料とデジタル教科書の機能を実際に見ることができ,授業で使う様子が想像できた。来年度から小学校教員になるため,予習することができた」「デジタル教科書は,学習者,指導者ともに使い勝手の良い機能がかなり多く盛り込まれていると思った。社会科は,図版や資料を多く使うので,将来ぜひとも活用したい」などの声が寄せられました。
*GIGAスクール構想とは,児童生徒向けの1人1台端末環境と高速大容量通信ネットワークを一体的に整備し,子供たち一人ひとりに個別最適化され,創造性を育む教育ICT環境の実現する構想
指導者用デジタル教科書の機能を紹介する東京書籍の三田氏
デジタル教科書を使うことで一次方程式の授業を効果的に実現することが可能であると発表する学生
(教務課)