トピックスバックナンバー(2011年~2020年)

2020.06.11

新入生がどんなことに困っていたか 全学FD事業で共有

 大学教員を対象とした全学FD(*)事業「オンライン授業への挑戦3」を6月3日(水)に開催しました。当日は,ウェブ会議システム「Microsoft Teams」を使用し,非常勤講師を含めて約110人が参加しました。
 情報基盤センターの尾崎拓郎講師による司会進行のもと,大学祭準備会委員長で,学校教育教員養成課程2回生の小田村美湖さんが,「新入生がどんなことに困っていたか」と題して,この準備会のSNS新入生歓迎アカウントを通じて寄せられた新入生の質問や悩み(2,227件)を分析し,発表しました。質問や悩みは,「ターム制や学年暦,シラバスなど,用語の意味」や「時間割の組み方」などの教務に関することや,「課題の指示がわからない」「レポートの書き方」などの授業に関することが,全体の8割を占めました。小田村さんは授業に関して学生の声を代弁するとともに,「日々アップデートされる新入生の悩みに耳を貸して頂きたい」と教職員に呼びかけました。
 続いて,オンライン授業における実践事例を5人の教員が紹介しました。
 教育イノベーションデザインセンターの仲矢史雄教授は,アンケートをリアルタイムでウェブ上にフィードバックできる「Mentimeter」を活用したウェブ会議システム(Zoom)の授業事例を紹介。高度教職開発部門の庭山和貴准教授は, Zoomを利用した授業において,受講時の設定ルール(ミュート,カメラon/offなど)を提示し,ワークを頻繁に入れることを意識していると話し, Zoomのブレイクアウトセッション機能やGoogleフォームを活用した実践事例を発表しました。
 スポーツ科学部門の橋本恒特任助教は,オンラインでの体育実技の授業について,オーストラリアで開発されたF45というトレーニング手法を取り入れた実践事例を紹介。ソフトボールの投球・打撃の動作を9つのパーツに分けて,各45秒のトレーニングを繰り返す効率的なトレーニングを行い,活動をウェブアンケートで記録することで,効果を自己分析できる実践を紹介しました。
 グローバルセンターの長谷川ユリ教授は,授業におけるフィードバックの重要性を語り,Moodleに提出した課題をフィードバックする事例を紹介。また,留学生の約5%が海外(母国)にいることや,海外では教科書が買えないこと,留学生にとってZoomによる授業では話し方が早すぎて聞き取れない場合があることなどに留意してほしいと話しました。
 4月に着任したばかりの家政教育部門の村田晋太朗特任准教授は,会ったことのない学生とどのように学んでいくのかに悩みながらも,事前アンケートで,授業設計のための情報収集を行い,学生が受講前,受講中,受講後の成果を記録し,自己評価する「OnePagePortfolio(振り返りシート)」を作成し,クラウドストレージで共有しながら展開している実践事例を紹介しました。
 参加者からは,「小田村さんの堂々とした姿と,新入生に対するフォローが行き届いて素晴らしいと思うと同時に,大学側の新年度の組織としての体制構築と個々の意識について,見直しが必要と強く感じました」「学生ががんばってくれたことを頼もしく感じました。留学生のためにできることをしようと思います」「より具体的で実践的な内容で,大変興味深いです。ぜひ色々と活用をしたいと思います」などの感想が寄せられました。

*ファカルティディベロップメント,大学教員の授業内容や教育方法を改善し向上させるための取り組み

「Teams」のライブイベント機能で「新入生がどんなことに困っていたか」について報告する小田村さん

(教務課)