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2019.01.10

貧困の中で生きる子どもに向き合う 人権教育全学シンポジウムを開催

 第41回人権教育全学シンポジウムを12月6日(木),柏原市民文化会館リビエールホールで開催し,学生や教職員が多数参加しました。今回は,大阪市西成区釜ヶ崎にある子どもたちの憩いの場「こどもの里」を舞台としたドキュメンタリー映画「さとにきたらええやん」の上映を通じて,貧困の中で懸命に生きる子どもたちの現実を学びました。
 上映の前に,映画を制作した重江良樹(しげえ よしき)監督が登壇。こどもの里が置かれている状況や,社会的な背景などを説明し,「『子どもの貧困』という言葉がキャッチーで取材を受けることが多いのですが,私自身はそういう意識ではなく,里の子どもたちに心から魅せられてこの映画を撮りました。子どもは他人を思いやりしんどいことをしなやかに跳ね返す,すごい力を持っている。映画を見てもらえばわかりますが,貧困と不幸は違います」と力を込めました。
 こどもの里は,0歳から20歳ぐらいまでの子どもたちを,国籍や障がいの有無にかかわらず無料で受け入れており,学校帰りに遊びに来る子から,さまざまな事情で親元を離れた子,さらには親たちも休息できる,貴重な地域の集いの場として活動しています。映画では,さまざまな困難にぶつかり,時に悩みながらたくましく成長する子どもたちと,それを支える職員たちの日常に密着。子どもも大人もそれぞれの「しんどさ」を抱える中で奮闘する,釜ヶ崎の人々の姿を映し出しています。
 重江監督は上映後再びステージに上がり,「若者の自殺率が高く,いじめも多い世の中で,これから子どもたちと出会っていくみなさんの存在は非常に大きい。一市民としてみなさんに期待しています」と学生たちにエールを送りました。
 参加した学生たちは,「映画を見て,子どもが本当に必要とする居場所とは,『場所』ではなく『自分を理解し支えてくれる人がいること』であると気づきました」「里の大人たちが,子どもを本当によく見て行動していたのが心に残りました。自分は同じようにできているだろうかと考えさせられました」などと感想を寄せました。

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(教務課)