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2017.12.06

附属平野中生が北原白秋をしのぶ白秋献詩で文科大臣賞

 近代日本を代表する詩人である北原白秋をしのび,自作の詩を朗読する「白秋献詩」(主催:福岡県柳川市,応募総数:9136篇)で,附属平野中学校3年の曽山詠心(そやま えいしん)さんが最高賞である文部科学大臣賞を受賞し,同校3年の森山広暉(もりやま ひろあき)さんが福岡県教育委員会賞を受賞しました。
 昨年度も入賞している曽山さんは,今回の作品について「国語辞典を無造作に広げたページにあった『誘蛾灯』という言葉からインスピレーションを得て,『希望』というタイトルで詩を作った。誘蛾灯から特攻隊をイメージし,登場人物を鴉(からす)に置き換え,光という確定した絶望に向かう者の,あきらめともとれる勇ましさを表現した」と説明しました。
 森山さんは,四天王寺のお盆供養である「孟蘭盆会(うらぼんえ)」の様子を描きながら,2月に他界した祖父との別れや今後の自身への思いを「万灯篭(まんとうろう)」という詩に込めました。出来上がった作品を祖母に見せると感激し,受賞を伝えたときにはとても驚いていたそうです。
 アニメや漫画を見たり,絵画を描いたりするのが好きという曽山さんは,「将来は何らかの形で誰かを楽しませることができる創作活動がしたい」と夢を語りました。真面目にコツコツ取り組む性格という森山さんは,「医療従事者になって人の役に立ちたい」と話しました。
 曽山さんは,北原白秋の命日である11月2日(木)に柳川市で開催された白秋祭で,受賞作「希望」を朗読しました。

 

『希望』
其所(そこ)には,大きな光が在(あ)る。
いつか自分達を呑(の)み込む程,強大で,眩(まばゆ)い。
鴉(からす)が天高く,何処(どこ)までも黒い空へと飛び発つ。
制止する声,嗚咽(おえつ),怒号。振り返る事は無かった。
鴉は咆哮(ほうこう)と共に前進する。
鴉は血走った目で,真っ直に光を捉(とら)えている。その小さな躰は禍々(まがまが)しく,
それにしては,あまりにも,弱々しかった。
何処かで,砂時計の砕ける,音がした。

 
写真左=曽山詠心さん,写真右=森山広暉さん(ともに附属平野中学校3年)
白秋祭で「希望」を朗読する曽山さん

(広報室)