財務省近畿財務局による財政教育プログラムが,9月15日(金),本学附属平野小学校の6年生103人を対象に実施されました。 同プログラムは,日本の財政の現状を知り,財源の確保や配分の問題にどのように取り組むべきか,子どもたちに自身の将来に関わる問題として考えてもらうものです。財務省では平成27年度より全国国立大学附属学校PTA連合会と連携して財政教育に取り組んでおり,同小はプログラムの開発に参画し,初の授業実践も行うなど,当初から深く関わっています。当日は財務省関係者らおよそ50人が視察に訪れました。 授業は,財務省近畿財務局の對中真樹(たいなか まさき)氏が担当。前半で,公共サービスとは何か,税金の種類はどんなものがあるかなど,財政に関する基礎を学びました。税金の主な使い道である社会保障の一例として歯医者の治療費を挙げ,1回の治療で本当は1万円以上かかっていると話すと,子どもたちは声を上げて驚きました。また,国の予算の大きさをイメージするため,アタッシュケースに入った1億円のレプリカが出てくると,全員が立ち上がらんばかりに身を乗り出しました。代表してケースを持ちあげた児童は「赤ちゃん5人分くらい重かった!」と笑いました。 この後,4人1組の班に分かれてグループワークを行いました。日本を100人の村として予算編成を考えるもので,公共事業や消費税といった歳出と歳入それぞれについて,前年度より増やすか減らすかを話し合いました。子どもたちは村の収入,人口推移の予測などの資料を参考に「教育費を増やすために税金を上げる」「公共事業を減らして借金を返す」など様々な提案をし,項目ごとの増減をタブレット端末に入力しました。最後は3つの班が前に出て発表しました。説明を聞いた児童から「科学技術費を増やすとどういう良いことがありますか」と質問が投げかけられると,「科学を進めることでお金を稼いで借金を減らせる」と答えるなど,活発に意見が交わされました。 授業後,對中氏は「授業にあたっては,子どもたちの意見を尊重し,大人の考えの押し付けにならないよう気を付けました。発表の時にも子ども同士で褒めたり批判したりと,一緒に高めあうようにしたいと考えました。初めての経験で緊張しましたが,皆とても反応がよくてありがたかったです」と感想を話しました。同小の丸野亨副校長は「今回で3回目の実施になりますが,子どもたちが日本の未来を考えるいい機会になっています。『予算編成』という大きな枠組みについて考える中で,様々な立場の人を具体的に想像しながら,『あちらを立てればこちらが立たず』と,利害関係が絡み合って簡単には割り切れないことに気付ける授業をしていただきました」と授業の意義を語りました。
授業の様子
班で相談しながら「日本村」の予算を考える
(広報室)