令和4年度入学式式辞(4月7日)

令和4年度入学式式辞

 大阪教育大学の学部、そして大学院並びに特別専攻科へ入学された皆さん、ご入学おめでとうございます。大阪教育大学の在学生、教職員を代表し、心からの歓迎の気持ちをお伝えさせていただきます。

 皆さんが本日入学された大阪教育大学は、1874年(明治7年)5月に大阪府が設置した教員伝習所に創立の基盤が求められ、今年で148年を迎える歴史と伝統を有する我が国有数の教育大学です。現在の大阪教育大学は、大阪府柏原市の金剛生駒紀泉国定公園内に約67万m2のメインキャンパスを配置し、教員養成及び教育・学習支援人材養成を通じて有為な人材を輩出する一方、国際都市として交通アクセスはもとより情報・産業の中枢機能を有する大阪市内に天王寺キャンパスを擁しています。さらに大阪市天王寺区、平野区及び大阪府池田市の3地区に初等・中等教育並びに特別支援教育に対応した11の附属学校園を擁した、総合的な教育系大学です。

 本学の長い歴史の中で多くの人材が巣立って、社会に貢献しました。皆さんも名前を聞いたことがあると思いますが、民俗学者として有名な柳田國男の柳田民俗学に対して豊富な資料を根拠として反論し、柳田民俗学を超克したとの評価も高い民俗学者の宮本常一氏、さらには、「太陽の子」や「兎の眼」などの作品で、戦後の児童文学者として有名な灰谷健次郎氏は、それぞれ、大阪教育大学の前身の天王寺師範学校や大阪学芸大学の出身です。また、iPS細胞の研究によってノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大学教授は、本学の附属学校の出身で、社会に多くの貢献をしておられます。大阪教育大学と附属学校は、これまでも、そして現在も、社会に貢献し、様々な活動を通して世の中の営みを支える人材を育成しています。

 大阪教育大学の人材育成の中心は、学校教員の養成で、全ての学校種別と教科を網羅する西日本最大の教員養成大学として、全国の大学における小・中・高すべてを含んだトータルの教員就職者数ランキングでは、常にトップクラスを維持しており、昨年公表された朝日新聞出版の「大学ランキング2021」でも第1位となっていますし、公務員や一般企業の就職においても高い評価を得ています。また、学校教員を中心にすでに約6万人を超える卒業生を輩出し、その数は今後も確実に増加していくものと考えられます。ただ、その活躍の場である学校と学校教育は、大きな転換期を迎えています。

 中央教育審議会での議論の結果を受けて、2020年(令和2年度)から小学校において必修化されたプログラミング教育や外国語活動(英語)については、ニュース等で報じられましたので、皆さんもご存じだと思います。そうした新しい教科に求められる技能は、単にこれまでのコンピューターの運用上の知識であったり、英語の読解力であったりするだけではありません。情報活用能力を言語能力と同様に、「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け、順序だてて考え、試行錯誤しつつ物事を解決する力を養うためであったり、国際共通語としての英語を運用できる4技能、「聞く」「話す」「読む」「書く」の修得であったりしますので、学校教育の中にそれを位置付けていく専門性が必要とされます。また、教育課程の変化が生じているばかりではなく、制度においても、6・3・3・4制の現状の学校ばかりではなく、義務教育学校や、小・中一貫学校など、学校での教育形態にも新たな動きが出てきています。現在の学校制度を根本的に見直すことにならない限り、そうした学校で教えようとすれば、複数種の教員免許を持たなければなりません。今、まさに、学校教育全体にわたる再検討の時期を迎えているとも言えます。

 文部科学省は、そうした新しい教育に対応できるための教員を養成する大学を、教員養成フラッグシップ大学として指定し、これからの学校教育の在り方の検討に役立てようとしています。昨年8月に、国・公・私立を問わず募集されましたが、約半年後に文部科学大臣に、教員養成フラッグシップ大学として指定された大学は国立大学法人のみで、その数は非常に少なく、大阪教育大学を含めて4大学のみです。国の、大阪教育大学に対する期待は大きく、新入学の皆さんを含め、私達の役割が重要であるとも考えることができます。学校教育に情熱を持ち、教育職を目指す皆さんは、こうした背景のもと、目標の達成を信じて学業に邁進してください。皆さんの活動が、日本の未来の学校教育を作ることに貢献すると信じています。

 学校教員の育成は、同時に学校現場や社会の変化と連携し、協働してお互いを高めあうものでなくてはいけません。大阪教育大学はこうした目的を達成するために、現在、天王寺キャンパスにおいて大阪市と共同して、産・学・官が連携する10階建ての研究施設の建設を、令和6年度の完成をめざして進めています。私達大阪教育大学は、所属する学生の学びと研究こそが将来の社会全体の発展と高度化につながることを確信しています。

 皆さんは、国定公園内にある郊外型の柏原キャンパスと、大阪市内の中心部あべのハルカスと同じエリアにある都市型の天王寺キャンパスで充実した学生生活を過ごしてください。皆さんの本学での生活が、これからの皆さんの生涯にわたる成果の基礎となることを心から願い、転換期を迎えている日本の学校教育への貢献に繋がることを期待し、皆さんへのご挨拶とさせていただきます。

 

 

 2022年4月7日
大阪教育大学長
岡本 幾子

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