「国際協働学習(*1)の先進例とこれから」と題した、第14回グローバルセンター国際シンポジウムを11月15日(水)にオンラインで開催しました。本シンポジウムは、FD事業(*2)として位置づけられ、本学教職員・学生の35名が参加しました。 今年度は、島根大学教育学部小学校教育専攻の香川奈緒美准教授、本学から多文化教育系の井上直子教授、副学長の赤木登代教授が講演し、その後「国際協働学習の未来」について討論を行いました。
まず協働学習事業を推進する香川准教授が、国際教育を実施するためのプログラムの設計方法を紹介しました。香川准教授が考えるグローバルな資質形成に必要な3つの能力である「多角的視点の形成」「他者との協働」「社会の創造」を基軸として、カリキュラム設計や幅広い学生の獲得、対象学生に有効なプログラムの形成・改善に取り組んでいると説明しました。その際に、一般的に良いとされている内容ではなく、データによって裏付けされたニーズに合わせてプログラム設計をすることで、参加学生により有意な学びを提供できると述べました。
次に井上教授は、以前から独自に取り組んできたオンラインでの国際協働の取り組みを、主にフランス人学生たちとの3つの交流事例を取り上げて説明しました。オンラインでの交流にあたり、話題の提供などの事前準備やSlack(*3)、OneDrive等、当時から使用していた交流方法を紹介しました。井上教授は、国際協働の成功例として「人との縁」の大切さを挙げ、今後の課題として、日本人学生に「必要な時にきちんと話す」ことの重要性を伝えていきたいと述べました。
最後に赤木教授が、令和6年度より学部2回生を対象に新たに必修科目として導入される「国際協働学習」の意義と課題について説明しました。また、令和5年度に試行した国際協働学習のうち教員研修留学生が担当した授業の様子を紹介し、受講した学生のコメントからも「異文化への関心の喚起」に成果があったことを報告しました。今後は、「多文化共生」のための授業として言語面の障壁を取り除くことや学生の専攻に沿った授業の開発に取り組んでいくことが課題であると説明しました。 講演後は、講演者が共通の課題として取り上げていた語学面以外での学生のコミュニケーション能力や成果の表し方等について討論しました。
参加者へのアンケートでは「国際協働学習の在り方が明確になりました」「日本人学生の巻き込み方を改善すれば、より良い国際協働学習が実現できると感じました」など多くのコメントが寄せられました。
*1 国際協働学習…多様性を理解し、国際感覚を備えた人材を養成するため、海外協定校や教育機関等と連携し、すべての学生がオンラインによる国際交流に参画すること *2 FD事業…Faculty Deveiopmentの略で、教育内容・方法等をはじめとする研究や研修を大学全体として組織的に行うこと *3 Slack…チームでのやりとりを基本とするアメリカ発のビジネス向けチャットツール
エビデンスに基づいた国際教育を紹介する香川准教授
シンポジウム登壇者の記念撮影
(国際室)