2022年年頭挨拶(1月4日)

2022年年頭挨拶

年頭挨拶を行う栗林学長

 皆さん、あけましておめでとうございます。
 本来なら、年頭挨拶は、教職員の皆さんにお集まりいただいて、私から直接お話をさせていただく機会としています。しかし、ご存知のように、新型コロナウイルス感染症、またオミクロン株の感染拡大が憂慮されている状態ですので、本年も昨年に引き続き年頭挨拶はオンデマンド配信により、ご挨拶させていただきます。
 私は本年の3月をもって学長職が満期となります。これまで私の拙い業務を支えてくださった教員の皆さん、そして職員の皆さんに心より感謝申し上げます。本学はこの間、徐々にではございますが、日本の中でしっかりとした教員養成大学の重要な地位を占めつつある、と考えています。北海道教育大学との連携をもとにした新しい博士課程の設置、さらには天王寺における大阪市との連携による合築棟が十分な機能を果たして、日本の新しい学校教育の在り方を構築するために貢献してくれることを祈念しながら、3月末日をもって学長職を閉じさせていただきます。
 日本の学校教育は、戦後様々な経緯を辿って現在に至っています。本学はこの間、そうした日本の学校教育を根幹で支えながら、それらの発展に向けて取り組んできています。本学は、他の教員養成大学と比べても引けを取らず、業績や行動において非常に優れている教員が多いわけですが、職員の方も長い間大学を支えてきた優秀な方が多いと考えています。私が8年間学長職を務めることができたのも、皆さんのサポートがあってのことだと、心より感謝しております。
 学長になってからは、一貫して実践的な学校教員を育成するための取組を進めてきました。平成27年に教職大学院を設置、これは定員30名で実験的な形で始まりました。平成29年には教員養成課程を中心とする組織全体の改革である学部改組を行い、3つの教員養成課程と、教員をサポートする人材を育成する教育協働学科を設置しました。これらは、教員養成の中身を新しい形に変えていくという目的と、教員養成のサポート体制を強化する目的がありました。また、平成30年には、教員養成の大学院修士課程を全て教職大学院に一体化し、定員を150名に拡大しました。これも、学校現場で実践力を発揮できる教員を育成するための取組です。さらには、平成29年に設置した教育協働学科に入学した学生が卒業するのに際し、教育学研究科の一体化を行い、従来までの4専攻を1専攻に集約しました。これは、教員養成に関わるサポート体制を一体化するという目的のために行った取組です。これからは、令和6年度の大学院博士課程の設置に向けた改革が、本年から進んで行くことと想像しております。
 こうした一体的な改革は、教育力の強化、また同時に教員としての実践力の強化のために行ってきました。しかし、これからの教員養成の在り方は、これまでと大きく変わっていくと私自身は考えています。そうした取組を根底から支えるために、教育委員会及び学校現場との協調体制や、連携した研究をより強化していく必要があり、そのためには、教員養成のPDCAを築き上げることが必要不可欠です。また、それには教職大学院の実践力、及び高い研究力を持っている博士課程の設置が、どうしても必要だと考えています。さらに、実践的な教員を支えるための教育の内実を作っていく附属学校園の大改革も必要です。
 私は、3月でこの大学を去ることになりますが、大阪市の教育委員としては引き続き活動を続けていきますので、これからも大阪教育大学の取組を陰で支え、お役に立てることがあればサポートさせていただきたいと考えています。これからの大阪教育大学は、現在の活動に加えて、日本の中核的な学校教育のモデルを作る段階に来ています。そうした意味で、大阪府、大阪市、堺市のような大きな都市を背景としながらも、各市町村で様々な取組が行われてきている大阪の地域全体を、いわば実験場として、これからの学校教育の在り方(モデル)を作っていってほしいと考えています。そうしたモデルを、一日も早く次期学長とともに作っていただきたいと思います。
 日本は近隣諸国と比較して、学校教育については特段に進んでいる、と今までのように主張することが難しくなっている現実があります。項目によっては、外国の方が日本の教育よりも進んでいる、といったデータもあります。しかし、本学はこうした国際的な面についても、57校の外国の大学と協定を結んできており、これほど多くの連携を結んでいるのは、教員養成大学では東京学芸大学と本学のみである、と考えています。また、留学生の受け入れ数が突出しているのも、同じく教員養成大学では東京学芸大学と本学のみだと思います。こうした国際性の観点からも、豊かな活動を行ってきている実績があり、そうした面でも、国際的にも中心的な役割を果たすことができる大学に、一日でも早くなっていただければと思います。
 そうした大阪教育大学の益々の発展を祈り、また皆さんの活躍とご多幸をお祈り申し上げて新年のご挨拶とさせていただきます。

2022年1月4日
大阪教育大学長
栗林 澄夫