エッセイ

高等学校
2020/12/02
教師のやりがい
 

私は今思うと教師の仕事をして本当に良かったと思います。なぜなら、退職してもその思い出が今でも鮮明に思い出されるからです。

私は子供のころから授業を受けていて面白いと思ったことはありませんでした。それは先生がただ単に教科書を説明しているだけでそれ以上のものが見つけられなかったからです。そのような事から自分の授業ではその様なことがないようにしたいと思いました。私は、興味を持たせるためにクイズ形式を取り入れました。

1.ディズニーランドでは入り口の所でどんな挨拶をしますか
①こんにちは ②いらっしゃいませ ③楽しんでください

この答えは①ですが以外と③も多いのです。またディズニーランドはあくまでも夢の世界を求めていますので②は誤りなのです。ですからディズニーランドは利潤を求めていますが、それを見せない工夫をしています。

ほかにも世界史の授業でディズニーランドの品物の移動を取り上げて、夢の世界を追求する中で現実の世界の品物を見せないために、タクシーや物を配送するトラックを見せないようにする三階建ての通路を作っていることなどを紹介しました。

これはローマ帝国時代のコロッセウムが、やはり三階建ての建物から出来ていて、それは観客を楽しませるために奴隷と猛獣を戦わせる際に地下の通路から移動させ、中央から登場させることで観客を喜ばせていたということと同じでした。この仕組みを使って、ディズニーランドは夢の世界をつくるために、買う品物を買うまで見せない工夫をしているのです。

このように歴史を見ていると現代でも使われているものが多いものです。単に歴史を説明しても面白くないのです。これを現代につなげて説明してみると面白いのです。このようになるべく歴史の内容と現実を近づけることを、日本史で考えてみますと日本の歴史散歩につながります。

私は卒業生と日本史の歴史散歩をしました。卒業生の春休みや夏休みに5人集めました。そして青春18切符を二回買いますと合計が12人使えることになります。これを旅行に使います。その時の鎌倉の歴史散歩では1人12,400円位でしたが、青春18切符を使いますと6,000円近くなります。このように旅費が安くなりますと多くの生徒が参加できます。

そして生徒と歴史散歩をしますと男子が大銀杏の前で刀を振り回す姿を見せて、ここから〇〇が出てきて〇〇を切ったのだと熱く話し合ったりしました。逆に女子の生徒の場合、〇〇のお寺の前に来て、私に向かって「先生、私のこのバッグをお寺に入れるといくら追いかけてくる人に捕まってもお寺に連れ戻され、一年後は結婚相手と離婚できるのですよね」と聞いて来ました。この様に集団に対しての良い思い出作りも出来ました。

個人的にも正義感の強い生徒が先生と常に反発し合っていました。その生徒は授業内容がよくできないと職員室まで来て話しました。そのような性格もあって、いい加減な説明をする先生には喧嘩になるほど食いついていました。そのようなことがあって問題児として評価されて、先生から相手にされず、ときには暴力的喧嘩になりそうになり私のところに友人が走って呼びに来ることもありました。そのたびに、現場に行くとその生徒は先生の顔を殴らんばかりの態度でした。そして最後には「こんな教師を殴っても本望だ。このようなことが他の先生にわかったら俺が退学処分をされても仕方ない。」と息巻いていました。しかし私の顔を見ると頭を下げて終わるのでした。ただそのようなことがある時に、電気科の職員室に普通科の私がいるのは可笑しいので、ひょっとしたら私が指示をしてその先生に嫌がらせをしているのではないかとその先生から文句を言われたこともありました。しかし幸い、教師への暴行までには至らず、その生徒も卒業できました。

その生徒が、今では結婚し子供を連れて遊びに来ると、教師ほどやりがいのある仕事はないと思います。