エッセイ

中学校
2020/09/18
二十歳の便り~愛を届けよう~

38年も先生をしていると多くの教え子がいます。担任が主ですが、病気で体調を崩してからは専科(理科、家庭科等)をさせてもらいました。クラスを受け持つと必ずやる事は、➀見通しを持った教育計画と教材研究。そして②実践記録です。プラス③学級通信と日記を書いてもらう事(理科専科時は”理科だより”)。このように書くこと知らせることを大事にしています。

ですが、年賀状の返事は出さない事にしているのです。実はこういう想いがあるからです。

慣習としては大切ですが儀礼的で愛をあまり感じられないのです。子供達に話すとエーッと言われます。「で、少し経つと会えるし味気ないんだなぁ。もし出したいなら前の先生とか幼保園の先生、田舎のじいちゃんばあちゃんに。きっと喜んでくれるよ。もし、先生にくれるなら、何年かたって”今元気にしてるよ”とか”SOS”とかの便りなら嬉しいなぁ。」

「ところで、先生のとっておきの話。みんなが20歳になった時、全員に必ず便りを出す!からな。楽しみにして。」と。こういう話は、どの子も納得。

この約束は毎年実行しています。途中引っ越し等で住所不明もあり何通かは戻って来ますが、子どものツテでほとんど届きます。教師の仕事は”一過性”と考えている人もいますが、もっと”熱い”ものがあってもいいと思っています。ベッタリは自立を妨げます。メリハリが必要です。

「20歳の便り」はとても喜んでくれます。20歳ですから、同窓会の話が持ち上がります。どの学年をもっても変わらず同窓会があります。ある教え子からの便り「(略)お手紙拝見しました。あまりの嬉しさに母と大騒ぎしてしまいました。」(以下要約)
・大学の助手をしています。
・先生がいらっしゃらなかったら今の私はありませんでした。3年6組で本当に良かったです。先生や友達に会えて、根性がつき、やれば出来る事、楽しいこと頑張ること等数えきれないことを教えて頂きました。
・今思ってることは、「裏表があるが、上に立つ人が多いのでは?」人によって態度を変えるのは好きになれません。

この便りからは正義感、純粋さ、人を信じ人間らしく生きようと言う真摯な気持ちが伝わってきます。「20歳の便り」は、きっとあなたの“宝物”になるはずです。