松本桂准教授の共著論文が科学誌「Nature」に掲載

2022.09.08

松本桂准教授の共著論文が科学誌「Nature」に掲載

 天文学研究室の松本桂准教授を含む14か国の天文学者からなる国際共同研究グループは、ブレーザー(右図)のプロトタイプとして知られる「とかげ座BL」が2020年に観測史上最大級の規模で明るくなったことを確認。その際に、活動銀河核では稀にしか見られない変動現象である準周期的振動(以降、quasi-periodic oscillation の頭文字から「QPO」と略記)を検出しました。


図.ブレーザー(*)のイメージ

 この現象は、とかげ座BLの中心部に存在する超巨大ブラックホールから吹くプラズマの相対論的ジェットの中で生じた、電流駆動型の磁気流体力学不安定性の一種であるキンク不安定性に起因したものと考えられ、活動銀河核の増光がキンク不安定性によって引き起こされた事例を初めて発見したことになります。
 今回の研究結果は、長らく議論の的になっていた、数日から数時間程度の時間スケールで生じるブレーザーの短時間QPOの発生機構について、駆動する主要な機構がプラズマの不安定性であることを示唆し、超巨大ブラックホールが引き起こす大規模な宇宙の活動現象の背後にひそむ物理学の解明につながる成果です。今回を含むこれまでブラックホールに関して挙げた研究成果は、今後も松本准教授が担当する学校での出前授業や教員研修などを通じて社会に還元します。
 本研究成果は2022年9月8日発行の科学誌「Nature」に掲載され、これにより松本准教授の論文が同誌に掲載されるのは通算3度目の快挙となりました。※研究の詳細は別添資料ご参照。

論文タイトル: Rapid Quasi-Periodic Oscillations in the Relativistic Jet of BL Lacertae

論文DOI: 10.1038/s41586-022-05038-9

*ブレーザーは、銀河の中心で激しい活動をおこす天体「活動銀河核」のうち、超巨大ブラックホールをエネルギー源として双極方向へ噴出するプラズマの高速噴流「相対論的ジェット」の進行方向がたまたま地球へ向いているもの。今回の研究ではその「捻じれ」(キンク)を捉えることに成功した。

プレスリリース本文

詳細につきましては、以下のプレスリリース本文をご覧ください。

【プレスリリース】活動銀河核「とかげ座BL」の史上最大の増光と準周期的振動の駆動源を解明(PDF 472KB)

【プレスリリース(別添)】研究の詳細について(PDF 1,171KB)

関連リンク

【2020年4月30日プレスリリース】「ブラックホールの無毛定理」の観測的検証に成功

  ※この研究は JSPS 科研費 JP19K03930 の助成を受けたものです

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